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桑の実

ある朝、

小鳥たちの残す落とし物が紫に染まっていた

そう、それが合図


畑の間を縫う田舎道の先に

佇んでいる世話人せわびと知らずの桑の木が

これでもかと言わんばかりの勢いで

小さな粒つぶをぶら下げている


まるで啄まれるのを待つように

陽の当たる子から順々に熟れて

初夏の風に揺れている


わたしは鳥ではないけれど

少し分けていただきますねと

誰にともなく手を合わせ

両手のひらほど持ち帰る


艶やかな色とほのかな甘みを

今年も楽しませてもらえることに

心から感謝して

今年は去年より少し早く桑の実の季節がやってきました。
毎年、自然からのご褒美をいただけること、ありがたし、ありがたしです。



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