見出し画像

なぜスタートアップこそ広報が重要なのか

Image by Thomas Ulrich from Pixabay

日本国内における"PR"は、宣伝活動のように、より多くの製品を売るための取り組みとして、"広報"は各種メディアを活用した自社の情報発信の取り組みとして一般に知られています。

しかしPRはもともと、"Public Relations"の略語であり、あらゆる社会的な組織や人との関係性を意味するものでした。

ここで過去形にしたのは、アメリカから入ってきたPRという概念が、そのまま戦後日本に導入されて使われていたものの、高度成長期に入って以降、今日的な"宣伝"の要素が濃くなった背景があるためです。

そこで、「そもそもPRとは何か」という観点で深堀りし(答えは出ないけど)、その機能や役割が、なぜスタートアップにこそ欠かせないのか、自分なりの考察を交えてまとめていきます。

PRの機能を分解してみる

画像1

PRの機能として、以下の3つに大別されると考えています。

1. 情報のハブとしての機能
2. 危機管理としての機能
3. 異なる産業やアクター間の仲介者としての機能

これら三機能を分解し、言語化してみたいと思います。

1. 情報のハブとしての機能
わざわざ"ハブ"としたのは、情報の流れとして以下の二つに分かれるからです。
社内⇒社外への情報発信
社外⇒社内への情報共有

社内の情報というと、採用関連や製品、業務外の取り組みなど、日々会社で起きる出来ごとのほぼすべてが該当します。

社内へ共有される社外情報では、製品に対する意見や会社の評判、あるいは経営判断に直結するような外部環境の変化など、広いレンジの情報があります。

上記のような情報が往来する環境を、広報やPRが基点になって構築できると、社内外含む情報のスムーズな交換や発信が可能になると考えています。

といっても、最近PRの勉強を始めた身としてはまだまだ体感値としてわかっていないし、会社内でそういった環境づくりを率先してやれているわけでもないので、これから取り組んでいきたいと思います。

2. 異なる産業やアクター間の仲介者としての機能
PRが対象とするものが"Public"であるなら、NGO/NPOのような非営利組織から、教育機関、行政、他業界、あるいは個人まで、そこに含まれる範囲は非常にひろいものになります。

全ての対象に向けた、均質的な情報発信にあまり意味はありません。会社としてどこにスコープしたいかを定め、どのような関係性を構築していきたいのかをきっちりと定めることが重要だと考えます。

宇宙産業で例えても、どこの誰にどんな情報を届けたいのか、どんな組織と何のために関係を築きたいのかによって、取るべき行動が変わります。

個人的に、今後注力していきたい点を共有します。

①近年急速に拡大する地球観測市場の、川下事業者との関係を築く
宇宙ビジネスで急速に伸びているのは、地表面に近い高度を人工衛星が周回し、地球を観測するリモートセンシング事業です。取得された観測データは、最終的に物流や保険、陸海運、一次産業、災害対応まで、ほぼあらゆる地上の産業と紐づいて活用されます。

それまでの商流は図のようになるので、各レイヤーと意見交換する機会を作っていきたいなと考えています。

画像2

②宇宙に挑戦する人を増やすために、業界が求める人材について発信する
宇宙と聞くと、やはり専門/技術職集団な気がすると思います。ただ、業界の人みんながみんなロケットを開発しても意味がありません。ビジネスとして成り立たせるために、経営/セールス/マーケティング/PR/デザイン/ライターといった、一般的にあらゆる企業が求めるような人材を宇宙業界も求めています。

ワープスペースでは、そうした分野横断的な場をつくるべく、warpstationというイベントを定期的に開催しています。サイトを参照ください。

③PRそのものの機能の学びを深め、伝えていく
この記事に書いているように、PRが正しく認知されていないのはもったいないと感じます。繰り返しになりますが、ものを売るだけがPRではありません。それは宣伝であり、マーケティングの一部です。

とは言え、企業として目指しているゴールがあり、その達成のために各ポジションが協力し合うのは当然です。強調したいのは、より経営に近い視点から一度PRの機能を捉えなおす、ということです。

3. 危機管理者としての機能
先日、東証の取引が一日停止になる事案がありましたが、その後の記者会見での対応ぶりを様々なメディアが取り上げました。

こうした緊急の事案において、常日頃からPRを意識しているのといないのとでは、歴然とした差が生じるのではないかと感じます。伝えるべき情報を、届けるべき相手に届けること。

ワープスペースとしても、通信インフラを基幹サービスとして提供するために、研究開発を進めており、東証のような事例が起こらないとは言い切れません。何かあった場合に、迅速に対応できるように経営陣と連携しながら備えておくのも、PRの役割だと思います。

スタートアップこそPRが重要だと考える理由

この点について、理由は二つあります。
①会社のストーリーを発信し、ファンを作ること
②サービスインしていない段階で、信頼を得ること

①は、創業者の想いや、加わった仲間の想いを文章に落とし込んで届けることで、共感してもらったり採用の場面で響いてくると思います。会社のことを正しく知ってもらい、応援してくれる人を増やしたり、実際に働きたいと思ってもらうための発信として、PRが持つ役割は大きいと考えています。

②については、①と重なりますが、ワープスペースのような、まだプロダクトやサービスで信頼を確立できないスタートアップにとって、社会からの信頼をどう得ていくかは重要な課題です。

信頼をはかる指標として、役員陣や投資家、顧問メンバーに誰がいるのかはよくみられますが、自社を主語としたときに、SNSを活用した日々の取り組みの発信や、イベント等を通じて外部との関係性を地道に構築していくことが大切だと考えています。

長々と考察を書いてきましたが、社内向けと社外向け両方を意識しながら少しずつPR活動に取り組んでいきます。

気づきがあれば随時更新していくので、フォローもお願いしますm(__)m

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?