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できるなら時代に遅れていたい

普通、流れには乗りたいものだよね。

小さい時、当時流行りのテレビ番組やアニメを観ていなかったりすると、クラスの男子から「うわー!お前遅れてるー!こんなことも知らねーのー!」って指さされて馬鹿にされる、みたいな経験は意外と誰しもあるんじゃなかろうか。

流れや流行りに乗り遅れるということが、そんな時代からなんだか格好悪いこと、いじめられる原因になること、みたいな印象がこびりついている。つまりは出来るなら遅れることなく、流れにうまく乗って最先端であることがこの社会の中で生きていく上での生きやすさにも繋がるのだろうと思う、きっと。

だけれど、こうして今大人になればなるほど、流れに乗ってるようで乗りたくない、一歩みんなより遅れていたいと思う気持ちが強くなってきている。なんだか世の中に対して矛盾しているような、こんな生きにくい世の中じゃとか言って天邪鬼になってるだけのような気もするけれど。

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最近本を読むようになった私は、今までより沢山本屋に行くようになった。普通の書店も、古本屋さんも。(買うのはほとんど古本屋)

最近はみんなネットで買い物をすることが多いから、自分が欲しいと思ったものをピンポイントで購入することが多いだろうけれど、本屋に行くとそうもいかない。欲しかった本があってもちろんそれを探しに行くこともあるけれど、他にもある沢山の本が自然と目に入るし、偶然の出会いなんてものが存在するのも本屋ならでは。

そして全てがスマホやタブレットでことが済む時代に、本屋で本を見ている人は(特に古本屋さんでは)、ほとんどが「紙」で本を読みたい人たち。Kindleなどで本を読むことがこんなにも容易になってるこの時代に(しかもその方が安かったり、荷物が増えないのに読み放題で沢山読めたりもする)わざわざ本屋に足を運んで、重くてかさばる少し値段の高い紙の本を買っていく。

最先端を行く人たちからすれば「なんで!?」の塊でしかないのかもしれない。それ、時代に遅れて何も良いことないやん!ってくらいシンプルな。全く同じ本をもっと気軽に手軽に読めるのにどうしてデジタルを選ばないのか分からない、そう思う人もきっと多くいるだろう。

今はSDGsの観点から見ても紙を減らす動きも沢山出てきていて、私自身もできる限りサステナブルに生きていきたいと思う人間なのだけれど、本に関してはどう頑張ってもデジタルが好きになれなかった。紙の本が読みたい。

世の中に一気にスマホが流行り出したときに、ガラケーをずっと手放さなかっためずらしい友人がいたのだけれど、今ならその子の気持ちもなんだかわかる気がする。

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なんでもかんでも新しい技術が取り入れられる世の中で、もちろんその社会の中でスムーズに生きていくためにはそれについていく、流れにサラッと乗っていくことが大事なのかもしれないけれど、やっぱり今まであった、不便かもしれないけど少し懐かしくて、結果が出るには時間がかかるけれどそれよりも結果までのプロセスに沢山心動かされて楽しめるような、そんなものが私はやっぱり好きだ。

オール家電になってきているけれど、私はあえて石油ストーブや薪ストーブを選びたい。簡単に冷房をつけるより、風鈴と麦茶と扇風機で少し汗を流したい。火事にならなくて安心かもしれないけれど、引っ越しの時の絶対条件はIHじゃなくてガスコンロがついてるかどうか。

お米も炊飯器じゃなくて土鍋で炊きたい。いつまでもカビない保存料たくさんの惣菜をずっと冷蔵庫に入れておくより、自分で漬物を漬けてちゃんと発酵していく様を見て微生物がこうして生活にちゃんと存在するんだって感動しながら食事もしていたい。

全部スマホやタブレットに書き込めればデータの一括化もできて簡単だけれど、日記はどうしても紙のノートに書きたい。音楽もたまにはスマホから飛ばしたスピーカーからじゃなくてレコードで聴きたい。誰とでもすぐにLINEすれば連絡が取れたりSNSでいつ誰がどんな生活をしてるのかどんな時もキャッチアップ出来るのも楽だし刺激的だけど、たまには心を込めてお手紙書きたいしもらいたいし、最近どうしてるかわからない友達とたまに会って最近どうしてたのって話に長いこと花を咲かせるのもとても楽しい。

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今どきそんな…って、思う人もいるだろうし、私だってそう思って全部そうできているわけではない。もちろん新しい技術に救ってもらうことも日々たくさんあるし、疲れたなっていう時に寄りかかってしまうことも数え切れないくらいある。

でも、同時に時代の流れから一歩遅れて生きてみることで、逆に自分の心や身体に余裕ができたりすることも多かったり。ものすごいスピードでスイスイ走るのも楽しい時もあるけれど、ゆっくり歩いてたまに立ち止まって深呼吸してみたりしながら道端に咲いてる花の美しさに心動かすのも、悪くない。

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