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記憶を纏う色-OSAJI 08 Ameagari〈雨あがり〉

OSAJIというブランドの「雨上がり」という色のリップバームを買った。

化粧品を購入するにあたっては、自分に似合っているかと気分が高揚するかという要素が最も重要なので、いつもリサーチを重ね、店舗で試して、一旦持ち帰り、と検討に時間をかけてから買うようにしている。
でも、この商品に関しては、人に勧められたあと間髪入れずにすぐ買った。似合っているかどうか、時間をかけて選んだかどうかよりもまず、そのときわたしに与えられたコンテクストを大切にしたいと思ったから。

とてもとても大切なコンテクスト;
迷いや焦りの渦中にいて、そこからずっと抜け出せなくて、一方で抜け出せない原因をうすうす感じ取ってはいて、しかし改善に向かうモチベーションも湧いてこない、という怠慢に浸っているわたしに、ある方が、違う視点をくださった。

ことばという形式だけにこだわるのではなく、五感それぞれに目を向ければ、他の形式でも伝えたいことを表現できる可能性があるということ。

自分が求める前に、相手はどうしてほしいかに思いを巡らせることで、アクションの仕方や見え方が変わっていくということ。

すべてに神経を働かせるのではなく、自身が執着する(思考し、ときには後悔する)範囲を絞って、その選択と集中によって、余白を生み出すということ。

前に進むにはどうしたらいいのか、落ち着くためにはどうしたらいいのか、という問いかけから始まった彼との会話は、たくさんの時間とさまざまに分岐する問答を通じて、まだ落ち着こうとせずに攻めていこう、感情の幅を持ちつつも、その振れ方をゆるやかにしよう、そのゆるやかさを大切にしていけるように努めよう、というところへ落ち着いた。

数々のメッセージともに勧めてくださったOSAJIの「雨上がり」はクリアなブラウンで、フレッシュさと、大人っぽさと、モードっ気を少しずつ含む色。彼曰く、全然「雨上がり」の色とは思えないが、立ち込めていたものが晴れて一歩前に踏み出そうとする、攻めの姿勢の表現と解釈しているとのこと。

ブラウンのリップは似合うはずがないと避けてきたけれど、いただいた言葉や込められたストーリーがたっぷりとのっかった今、迷いを晴らす特別な力を持った商品になったのはあきらかだった。だから即断で購入できた。

今日明日で決定的な変化を得られるかというと、そんなに簡単なことではないし、わたしがこの先変わっていける確証もない。でも、今のわたしには、あたらしい記憶とその記憶を支えてくれるリップがある。

前に進もうと思わせてくれる対話と表現に出会えた高揚と、そのような高揚が人生に現れることへの感謝が、このさきリップをひと塗りするたびふっと浮かんでくるだろう。その瞬間だけ、わたしの人生の色は、きっと雨上がり。


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