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タンチョウ

    • 裏金問題

       2008年、リーマン・ショックで世界中が大不況に陥る。京都のモーターメーカー、日本電産(現ニデック)も減収減益を余儀なくされた。そんな時、永守重信社長は図書館で1929年の世界恐慌について文献を読み漁る。当時の不況に対応した企業を調べ、難局を乗り切る糧にした(永守重信著「成しとげる力」)▶政治の世界では過去の教訓が生かされないらしい。自民党の政治資金パーティーの裏金事件だ。「政治とカネ」の問題が浮上するたび規制を強化し、他山の石としてきたはずが、20年以上前から裏金化が続い

      • 出世払い

        ▶出世払いでいいよー。会社の先輩が後輩におごるとき、冗談交じりに言う。出世して本当に支払うことは考えづらいが、「おごられた後輩はその後支払いをするべきかどうか」が裁判で争われたことがある▶判決は、出世しないことが分かったら、その時点で返済しなくてはならない。出世まで支払いを猶予しているとの考え方が取られた▶この裁判は大正時代。当時は立身出世主義が浸透し、勤め人なら昇進を目指すのが当たり前という考え方だった。現代はどうか。出世を望まない若者が増えている▶「責任が増える」「ワーク

        • 能登の都

          ▶能登半島北東部の石川県能登町を車で走ると、”能都”の文字を使った施設や団体の看板が目に入る。2005年に3町村が合併、そのうち一つが能都町だった名残りだ▶さらにさかのぼり1955年の町村合併で「能登の都になってほしい」と思いが込められ命名された。現在の能登町の人口は約1万6000人。七尾市や輪島市などに及ばないものの、漁村、農村が集まり、国指定史跡の真脇遺跡など世界に誇れる文化が根付く▶1月1日に震度6弱の揺れが襲った。懸命の復旧作業が続いている。都のような賑わいは難しくて

          技能実習制度

          ▶外国人の技能実習制度の見直しが進んでいる。2月6日付の日本経済新聞によると、現在は原則認めていない転職の要件を緩和し、同一会社で1~2年就労すれば転職が可能になる見通しだ▶人手不足が深刻な地方から、受け入れ環境の整った首都圏への人材流出が加速する懸念がある。労働者の権利を保護するために必要なことだが、制度の主眼である育成が十分にできるかも気になる▶外国人との共生は避けて通れない道。彼らの働き方にも目を向けたい(No.5)

          技能実習制度

          ▶あたり一面が雪に包まれる。しんとして、夜でもほのかに白んで明るい。ときに豪雪は人間に牙をむくが、雪国の情景はどこか魅力的だ▶雪にまつわるセリフなどを少し▶「天は我々を見放した」(映画「八甲田山」)。日露戦争開戦前夜の1902年、青森県の八甲田山を雪中行軍している陸軍第8師団歩兵第5連隊が遭難し、199人が死亡した世界最大の山岳事故。事件をもとにした小説が映画化され、北大路欣也さん演じる神田大尉が無念の心情を言葉にした▶「雪は死者たちのために降る」(小説「北帰行」外岡秀俊著)

          PERFECT DAYS

          ▶役所広司さん主演の映画「PERFECT DAYS」を見た。役所さんは東京のトイレ清掃作業員、平山を演じる▶平山は何気ない瞬間に幸せを覚える。早朝、アパートを出るときの空、公園に降り注ぐ木漏れ日、浅草地下街の飲み屋で流し込む一杯▶スクリーンでは平山の毎日が繰り返される。静かな日常は幾度か乱れるものの、平穏を取り戻す。平山はそんな日々を愛している▶決して裕福ではない。ただ、そこにあるものから幸福を受け取る。そんなふうに生きたい(No.3)

          PERFECT DAYS

          殺人魚雷

          ▶プロレスのリングに2人の大男がいる。一人は金髪に鋭い目つきで、もう一人は髭をたくわえ、ふてぶてしい風貌だ▶米国人プロレスラーのテリー・ゴディ、スティーブ・ウィリアムス組である。黒パンツを履き、1990年代前半の全日本プロレスマットを席巻した。その名も殺人魚雷コンビ▶物騒なニックネームは、2人の愛称を掛け合わせたもの。ゴディは「人間魚雷」。ウィリアムスは米国で「プロの殺し屋」を意味する”Dr. Death”と呼ばれたが、日本では直訳の「殺人医師」が定着した。かくして、2人の破

          半畳を入れる

          ▶半畳を入れる―。意味は、他人の言動を非難したり野次を入れたりすること▶江戸時代の芝居小屋に由来する。半畳ほどの茣蓙(ござ)を敷いた観客は、役者の芸に不満なとき、舞台に茣蓙を投げ入れた▶街頭演説に半畳を入れることは許されなかったか。2019年7月15日、札幌で演説する安倍晋三首相(当時)に野次を飛ばした男性が拘束された事件は、最高裁に舞台を移す▶原告が訴える表現の自由と、野次を飛ばしている人を制止した警察官の行為の正当性はどちらが優先するのか。本件を題材にした映画のタイトルは

          半畳を入れる

          ひとりごと

          はじめまして。 以前勤めていた文筆業に未練があり、書くことにしました。よろしくお願いします。

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