独白

 私には好きで尊敬している俳優さんがいる。その人の独白を定期的に見たくなって映像を繰り返し見ている。

 パラドックス定数さんという劇団の『インテレクチュアル・マスターベーション』を観る。

 何度も何度も繰り返し見ているから、台詞の一言一句、間まで覚えている。たまに流し見をしながら台詞を同時に言っている。しかし、最後の大杉の独白だけは、聞き入ってしまうのだ。如何にもこうにも井内さんの独白には聞き入ってしまうのだ。おしゃれ紳士を観劇しに行った際にも井内さんの独白にビリビリした。体の芯から冷えるようで、熱いようで、胸の奥がドキドキするのである。彼の演技が好きだ。

 パラドックス定数さんには『5人の執事』では空間の使い方、最後の最後に「あぁ、面白すぎたな」という思いを感じられた。

https://pdx-c.com/past_play/five-butler-2009/

 演劇というもの自体そこまで触れてこなかったが、おしゃれ紳士を通して演劇に触れる機会が多くなった。映像だけではなく実際の熱量で感じたい。インテレクチュアル・マスターベーション、再演してくれないかな。本当に好きな作品です。


 パラドックス定数さんからは少し離れますが、singingdogさんの『ユートピア』には色々な感情が溢れ出した。配信で観劇したが、現地で観ていたら泣いていたと思う。「家族」としてあるべき形というのは定型的なものではないし、ある種の“正義”のように感じて気持ちが悪い。また、singingdogさんの『ブラックアウト』という作品も大好きだ。普段からアルコールに携わる仕事をしているし、大学では中毒性を学ぶことができた。だからこそ自分自身、周りに対しても考えることがある。ブラックアウトでも家族を構成する要素が出てくる。家族というのはどうあるべきでどう存在しているのか分からない。

でも、この悲しみも絶望も全て俺のものだ、自分自身のそれ以外のものになれないという不幸を抱えてわたしも生きていかなきゃなといけないと間違いなく感じるな。

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