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独身の私たちが直面する孤独について

 「このまま独身が続いたら孤独死することになるよなぁ」独身仲間の友人との飲み会でこんな話題が出た。

 この話題になるときにいつも思う。仮に結婚したとしてもどちらか片方は50%の確率で孤独死する。100%そうなるよりも確かに確率は下がる。でも孤独で死んでいく可能性があることには変わりない。

 ということを言って場を白けさせるわけもいかずグッと心の中にしまい込む。

 彼らはなぜ孤独死を恐れているのか。口を揃えて同じことを言うのは何故なのか。もしかするとそこには深い意味はないのかもしれない。ただ単に結婚できない自分に対して戒めの呪文を唱えているだけなのかもしれない。

 そんなことを考えているときに、エーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読んだ。フロムによれば、「人間にとって一番恐ろしいことは孤独である。その孤独を克服するために人は誰かを愛するのだ」と。

 フロムの考えを拝借して彼らが言う孤独死に意味を持たせるならば、こういうことになるのだろう。孤独死とは誰にも看取られずに孤独に死んでいくことではない。孤独に殺されていくのだ。つまり、死という最終的な事象ではなくて、現在進行形で孤独に苦しんでいくということだ。

 そしてその孤独を克服する手段として誰かを愛し誰かに愛される。その一つの形が結婚なのだろう。


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