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オドぜひの"スーパー人間"を探しにカナダへ飛んだ話

4月から始まった旅の最初の行先に、私はカナダを選んだ。

日本を出発する前、周囲の人に「カナダに行ってきます」というと、「何でカナダ?」とよく聞かれた。

「英語を学びたいから」
「オーロラを見たいから」
「なんとなく、カナダに行こって思ったんで」

とか適当に答えていたが、実際どれも嘘ではないけれど、本当の理由は別にある。説明が面倒くさくていつも省略してしまう理由が。

簡単にいえば「人生に迷っていた時に他人に感化された」という話。

*****

社会人2年目あたりからだろうか、自分の人生や幸福について考えることが多くなった。

自分にとって何が幸福だろう。
幸福な人生のために何をするべきだろう。
今の生き方を続けた先に幸福を見いだせるだろうか。

そこにはキャパオーバーな働き方をしていたことや、仕事が人生の目的化していることに対する葛藤とか、いろいろな背景があるのだけれど、少なくとも「今のままではよくない」という結論に至り、社会人3年目からは働き方を変えて新しいことに挑戦したりもした。

それでも進んでいる感覚がなくて、うまく動けていない現状に悶々としていた頃、スーパー人間・高羽がカナダへ飛んだ。



"スーパー人間・高羽" とは何か。

『オドぜひ』という単語を聞いて理解できる人には、その姿を思い浮かべることができるように思う。

それは、中京テレビ『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(略して『オドぜひ』)に度々出演する、スーパー人間・高羽洋平さん(以下、敬称略)。
彼は「自分はスーパー人間だから〇〇ができる」と豪語しながらあらゆることに挑戦し、派手に失敗するという技で『オドぜひ』に出演してきた。

この番組のファンである私は、高羽がポン酢糸こんにゃく一気食いに失敗する姿を見てゲラゲラと笑いつつ、彼の優れたセンスに憧れていた。

そんな高羽は2021年春に『オドぜひ』に出演し、海外へ行くため自分のスーパー人間の能力をオードリー・春日に授ける儀式を行った。

その時は「なぜ海外へ行くのか」ということについて詳しく触れられていなかったが、後日、偶然見かけたインタビュー記事でその詳細を知ることになる。

「日本語教師になるという夢を持ってカナダに行く」

高羽にはもう自分の道が見えていて、着実に歩みを進めていた。

高羽は前に進んでいるのに、私はどうしてこんな場所でくすぶっているんだろう。やりたいこと、なりたいものに向かって生きることをどうして選ばないんだろう。
 
フラストレーションとモヤモヤが爆発して、それはもう思いつきだった。
 
「私もカナダ行く!!」

*****

そんなわけで、高羽に感化されてカナダ渡航を思い立った。
我ながら単純すぎる。だけど、思い付いてしまったからにはやらずには耐えられない性格の私は、実現させる方法を考えてみた。

まずはお金について。
貯金残高を確認すると、なんということだろう、コロナによって使い道のなくなったお金がそれなりに貯まっていた。半年は働かずに生活できる程度はある。この時、初めてコロナに感謝した。

あとはビザの問題。
カナダへ滞在する手段を調べるうちに、コロナ以来ハードルの上がったワーホリビザの抽選が、2021年9月から(ほとんど)だれでも応募できるようになったことを知った。
速攻申し込んだものの、当選倍率約10倍に当たるわけもなく2021年の抽選は終了。「観光目的でも半年は滞在できるらしいからそれでもいいか」と思っていたら、2022年1月にワーホリの抽選が再開し、特に何も手続きしていなかったのに勝手に前年のデータが引き継がれて当選(そんなことある?)。当選していることに気づかないまま1週間が経っていた。
慌てて申請すると、通常2〜3か月かかると言われるワーホリの手続きだが、2週間半でビザ発行許可書が下りた。

いろいろなラッキーが重なって、あれよあれよという間にカナダに行くことが決まってしまった。

*****

もはや運命だったとさえ思う。
高羽を知らなかったらカナダに行こうなんて思わなかったし、貯金がなかったら行けなかったし、ワーホリビザが当選しなかったら1年もいられなかった。
全部自分で決めたことではなく、ある意味、勝手に決まっていったような感覚。まるで神が「行け」と言っているかのよう。

そして2022年4月下旬、カナダ・バンクーバーに到着した。当面2か月を過ごすこの地における目標のひとつに「高羽を探す」が加わった。
(※2022年6月3日現在、高羽は見つかっていません。あと1か月しかないのに…)


さて、「なんで行先がカナダなの?」という質問に対する答えは「高羽がカナダに行ったから」。

高羽を知らない人に説明する時には、まず「『オドぜひ』っていう番組があってね・・・」というところから話さないといけないから話が長くなる。
時間をとって会ってくれる人には丁寧に説明するが、立ち話で何の気なく話しかけてくれた人には適当に答えるようにしている。きっとその人も『オドぜひ』のくだりから長々と聞きたいわけじゃないだろうから。

でもこれからは「なんでカナダ?」と聞いてきた人に、このページのURLを送り付ければ解決することに気づき、意外と役に立つものが書けたと狂喜乱舞しています。

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