オレンジ色のニューモデル(ストライカー田上大地の謎):2020 J2 第28節 アルビレックス新潟×ファジアーノ岡山
以前、「偽すぎるサイドバック」という話をしたのだが、今回はアルビレックス新潟の右サイドバックである田上のプレイを追いながら詳細を確認。
アルベルト監督は柏から借りてきた田上を魔改造しすぎてしまったので今となっては柏のサッカーに適応できないためこのまま新潟に納めてくれても良いと思う。愛してるなら盗んできて。
ちなみに以前の話はコレ。
新潟の基本的な配置はコレ。まぁこの形を見せても全く意味をなさいのがアルベルトアルビな訳だが。田上は右サイドバックがスタートポジション。
アルベルト監督の繰り出すサイドバック戦術を確認する前に田上のスペックを確認しておこう。田上と書いてタガミと読む。ノド輪落としとは違う読み方。
180cm 78kgのスペックだけならどこにでもいそうな大型センターバックと呼ばれる部類でフィジカルがメインウェポンだがフリーキックが結構うまくて曲げたり落としたりできるし実際に直接ゴールも決めたりする。好きな女優は有村架純。
(サムネイルが目線で切れとる...)
さて、田上の新潟デビューはサポーターに取ってそこまで良い印象はなかったように記憶している。良い印象は無いというか「足下うまくないね、というかちょっと... マズいね!」というのが第一印象。
今思えば左サイドバックでポゼッション重視のパス回しを利き足とは逆の左足でやらなきゃいけなくておっかなびっくりプレイするしかなかった田上なんだけど、それでもスタッツを見ればパス数がチーム上位だったりとやれることを精一杯やってきた田上がそこには存在。こんな最新型サイドバックになるなんて誰も予想できなかった。
などなど、いろんな経緯はあるけど全部すっ飛ばして2020年10月の現在ではアルビレックス新潟の右サイドバックの定位置を確保している。いつでも捜しているよ、どっかに新井直人の姿を。
以下本題。
守備とビルドアップのタスクをきちんと遂行
特に絵は書かないけど基本はサイドバックとしての守備要員。
押し込まれればブロックするし、ロングボールが飛んでくればエアバトルで弾き返す。まずは守備を確実にこなすというのはサイドバックとして当たり前のことをやっている。
ビルドアップでの対応としては、田上が起点になることはあまりなくて、早川史哉と本間至恩の技術でより確実に回せる左サイドや島田福田の両ボランチを使った中央からのビルドアップが基本になり、田上はボールを前進し切れない時の逃げ場として機能する。
この逃げ場機能はオフザボール職人である早川史哉が天才的なポジショニングなのだが、史哉ほど美しくはないものの遜色ないポジショニングで「ボールを失わない」という目的を右サイドで完遂する。
偽サイドバックとしての田上
なお、田上は逃げ場となっているばかりではなく右サイドハーフの中島を攻撃の起点とするべくハーフスペースにポジショニングして偽サイドバックの役割も担う。
前半7:30からのシーンは「偽サイドバック×オフザボール」で守備をピン留めしてマウロから中島へ絶好のボールが供給される間接的要因となる。この場面、守備15番は田上に張り付くしか選択肢は無い。
守備19番がマウロにアタックすれば島田福田がフリーになるし、それを防ぐために守備15番が福田に寄れば田上がフリーになる。守備14番とか41番が田上や中島にもっと寄せれば!という選択肢もあるだろうが、それをやってしまうと4-4-2ブロックで守らなくてはならない中央が崩壊して一気にゴール前へボールを運ばれてしまうことになる。
というか、田上のこのポジショニング1つで盤面上はブロックを破壊することができていたりするオフザボール。
左攻めの際にはフィニッシャーとして待機
新潟のスーパーストロングマシーンこと左サイドの本間至恩がキレキレゴリゴリにドリブルで切り込んでくる際、田上は常にゴール前ペナルティエリア手前中央にポジショニングしてフィニッシュの機会を伺う。時間としては前半10:40から。
左サイドタッチライン側で至恩がボールを持って運び始めると同時に田上は忍びながらジョグでペナルティエリア前中央にポジショニングする。
この時は特に何も起きなかったが、至恩から鋭いマイナスクロスなどが入ればゲットゴールという可能性もある。ゴール前中央は最もゴールの確率が高いというのは誰もが知っている事実。
サイドバックがここにポジショニングするということはカウンターを喰らうと一発アウトというのが常なのだが、新潟は田上が上がってもカウンターを受けないようにセンターバック2枚と左サイドバックの史哉、ボランチの島田 or 福田を残す配置にすることで課題を解決していたりする。
今ふと思いついたけど、もしかしたらミシャ式と似てるのかもしれない。が、新潟の攻撃時の配置はミシャ式の4-1-5以上に前掛かりな4-0-6みたいな形になる。
高木の動きに連動した最前線への飛び出し
これとは別に、以前紹介した高木が落ちると同時に田上が上がってハーフスペースを滑走路として使うやり方もミックスしながら試合の主導権を握る。
絵で確認すると、高木が落ちて守備ボランチの14番と40番の間に入ると守備14番と40番は2人で高木を見るしかなくなり、右サイド大外では中島が張り出すことで守備17番をピン留めする。
このポジショニングの結果、マウロと田上の間に滑走路が建設されるのであとは速くて正確なグラウンダーパスを通すだけとなる。
絵を描くのがめんどくさいので省略するが後半47:20からのシーンでは、高木が落ちるのと入れ替わりで最終ラインの裏に走り込んでスルーパスを受ける田上という姿も目撃。これ、対戦相手は予習していてもビックリすると思う。
ということで、これが今まで謎に満ちていたストライカー田上の仕組みではないでしょうか。
パソコンの前からは以上です。
「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。