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偽すぎるサイドバック(ストライカー・サイドバック):2020 J2 26節 アルビレッ クス新潟×アビスパ福岡

昇格に向けて勝たなくてはいけない一戦で普通に負けた新潟だが、ここ最近田上や早川史哉のポジショニングで面白いものがあるので紹介。サイドバックを最前線に配置する「偽すぎるサイドバック」。

最近ではハーフスペース活用がどのチームも当たり前になりすぎて偽サイドバックという言葉を以前ほど耳にしなくなったが、サイドバックがハーフスペースにポジショニングしてパスコースやビルドアップの優位性を確保するのが偽サイドバック。

ポジションはサイドバックなのにサイドバックじゃないポジションに入るから偽サイドバック。改めて説明するのがめんどくさい訳ではないが詳細は以下のエントリーを参照。紹介しているのはハーフスペースだが、このハーフスペースでサイドバックを動かすのが偽サイドバック。偽サイドバックを使うと必然的に5レーンとなる。

さて、本題の偽すぎるサイドバック。

これはサイドバックを最前線のストライカーにしてしまおうという方法である。めちゃくちゃアグレッシブでこんな新潟見たことない!

偽すぎるサイドバックを使う時の新潟は基本的にサイドバックがハーフスペースに入ってサイドハーフが大外にポジショニングするという形になる。加えてボランチがサリーダしたりもする。

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ここまで状況を把握してもらったということで本題。

普通のチームであればここから3-1-4-2みたいに前線に厚みを持たせて猛攻を仕掛けるところだが新潟の攻撃は一味違って「偽すぎるサイドバック」で決定機を伺う。主役はサイドバックかと思いきやキーマンは前線でフリーマンっぽく動く高木。

高木、今シーズンは途中まで「なんでその守備なの?」とか「勝手に動きすぎ持ち場を離れるな!」とか思ってたけど徐々に状況判断が良くなって持ち前のスキルとの相乗効果でここ最近では欠かせないプレイヤーになってしまった凄い奴。今まで文句ばっかり言ってて本当にごめんなさい。

で、偽すぎるサイドバックを成立させるには2トップなりシャドウなりのオフ・ザ・ボールが必要不可欠になる訳で、このタスクをこなすのは他でもない高木。

実際のプレイを見てみよう。時間は前半22:55から。

サリーダ最終ライン3人+ボランチ福田でボールを回しながら守備ブロックを動かしてボールに意識を引き付けている間にスルスルとポジションを落とす高木。

高木はボールから遠い位置にいるので守備ブロックもそこまで警戒せず意識はボールに強く向かう。

ボールに意識が行った福岡の守備の脇をスルスルと高木と入れ替わるようにして駆け上がる田上。気が付けば福岡の最終ラインと同じ位置かつセンターバックとサイドバックの間(チャネルという名称あり。どちらが田上にアタックすれば良いか迷う)に陣取って決定機スタンバイ。

さらに右サイドハーフの中島が大外に張ることで福岡の守備は中島に寄せざるを得ず、結果生まれるマウロから田上への滑走路。

左サイドでも同じことをやって、田上の代わりに早川史哉でマウロの代わりに舞行龍がその役割となる。

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この時間のプレイは中島にボールを預けてから田上に供給という形をチョイスして結果守備の網に掛かったけど、試合を通してマウロ×田上の右滑走路とマイケル×史哉の左滑走路を作ってサイドバックが最前線で決定機創出という形を何度も目撃。これは新しい俺たちの新潟。

これなら最初から高木が最前線のチャネルに入っていても一緒じゃないか?と思うかもしれないが、高木にフラフラ動かれた田上にここまで上られると誰が誰の守備に付いたらいいのさ?と判断できなくするという効果がある。

これは偽すぎるサイドバックの対策を練習しておかないと対応できない仕組みじゃないだろうか。まぁ福岡には普通に負けたけどな!

とはいえ、偽すぎるサイドバックが成り立つのはやはり高木のフリーランであることは間違いない。高木が落ちることで相手守備のボランチ2人を動けなくすることができるので田上を放置せざるを得なくなって結果生まれる滑走路。

前線の選手が怪我やらなんやらで不足気味の新潟だけど、前線が足りないなら後ろから持ってくればいいじゃん!パンチの効いたシュート撃てるやついるじゃん!というアグレッシブな発想をするアルベルトアルビ。

ということで、田上と史哉がこの形からゴールを決める日は近いだろうし、この試合の前半44:00の田上が走り込んでナイスミドルの形には非常に痺れる憧れる。

飲んだら乗るな。ダメ、ゼッタイ!


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。