鯛飯のおいしさは、あるものを1つ入れるか入れないかで変わる
つい先日、都内某所で打ち合わせを終えて歩いていると、わりとにぎわっているお店がありました。
15時にかかるかどうかという時間でしたが、お昼も食べていなかったのでお腹が減っていて。
入り口まで行ってみると、いわゆるカフェ飯を売りにしているよう。
今日は鯛飯がオススメと掲示してあるので、旬はもうちょいだけれど走りの時期だし、じゃあ今日はここにしようと入店し注文。
髭のロン毛お兄さんがオープンキッチンで調理して、北欧系の食器でザ・シンプルな御膳を前に、いただきますから一口。
パサパサしている…。
あと、鯛の香りはあるけれど旨味はない…。
おいしいかと言われると、わざわざ鯛飯にした意味あるかな、という味わいで…。
しかもショウガの香りが強すぎて、醤油とショウガの味が鯛よりも断然勝っている…。
これ、多分ですね、あれを入れていないのではないかと。
鯛飯をつくる
港の近くで育ったもので、お魚の調理方法だけはいろいろ知っていまして。
いい機会なので久しぶりに鯛飯を作ります。
まずはいつも行くお魚屋さんに鯛飯用に小鯛が欲しいことを告げて翌日。
相変わらずいいの仕入れていただけるよなあ。持った瞬間の感触がスーパーのものと全然ちがう。
大きなデパートの鮮魚コーナーでちょっとお金だして買うレベル。
ちなみに、1匹600円。
水と鯛で炊くこともあるんですが、この前食べたお店が昆布出汁だったので、昆布入れます。
ちなみに、ショウガは入れません。
水につけて3時間ほどしたら…
沸騰させないよう弱火と中火の中間くらいで沸かします。
沸騰させると旨味が昆布内に閉じ込められるので。
貧乏性なので徹底的に旨味を出さないと昆布を取り出せません。15分くらい沸かして最後に強火で昆布の臭みを飛ばし、火からおろして冷ましておきます。
米3合。
研ぐ。
米と同量の冷ました昆布出汁をそそぐ。べつにぬるくても、ちょっと熱くても大丈夫。茶懐石では結構熱いお湯で炊くところもあるんすよね。
最後に1合につきおちょこ2杯分くらい昆布出汁を入れて水加減完了。
1時間ほど浸水のために放置します。
さ、スーパーガールの続き見よ。
スーパーガールおもしろすぎて3時間くらい経ったと思う。
まあ、大丈夫っす。
鯛と煮きった酒、みりん、醤油を1:1:1にした調味料を加えます。
醤油は香り付けなので、これで塩味をつける! みたいな心構えでなくて大丈夫です。
塩分入れすぎると鯛の身がしまってふんわり感なくなるので。
後で塩で調整します。
酒とみりんも1合につきレンゲの1杯分くらいかな。
そして、これが鯛飯のうまさの秘訣。
正直、これいれるかどうかでまったくおいしさが変わる。
油揚げ。
鯛って脂が少ないので、これないと旨味としっとり感が皆無になっちゃうんですよね。
この前のお店はこれ入れていないので、パサパサで旨味がないご飯になっちゃったんだと思います。
後は蓋をして強火で加熱して、吹きこぼれそうになったら弱火にして5分。火を止めてから蓋をしたまま蒸らして10分。
炊けたっす。鯛は腐っても鯛と言われるほど香りが強いので、油揚げの匂いはほとんどしません。
この甘いっつーか、なんというか、鯛に熱を通したときの香りは食欲をそそりますね。
油揚は取りだしてポイっ!
魚の嫌み吸っているし。きのこご飯とかなら、きざんで混ぜこんでも美味しいっすけどね。
鯛も取りだして…
ほぐす! それからご飯に混ぜ込みます。
とくに皮目は熱を通すことでゆるくなっていますが、必ずほぐしてご飯に混ぜ込みます。
鯛は皮がおいしいので。お刺身なんかでも皮目を取り除いてしまっているものはちょっとがっかりですよね。
キンメのお刺身の皮なんてほんとにおいしくて。
松皮造りとか、好物です。
それから塩で味を整えます。
9割の塩味をここでつけて、残り1割を炊き込むときのお醤油でつけるイメージ。
味見をしながら少しずつ加えていけばいいんですが、必ず、味見する一口を小皿にのせて、少し冷ましてから食べてください。
炊きたて熱々だと塩を感じにくいので。
それとよく混ぜこんで、30秒くらい置いてから味見を。
塩が馴染まないと、一部分だけ塩辛かったりします。
完成っす。
手前味噌ですが、うまい! このお米の粒立ちだよなあ。ここがパサパサだったりすると、鯛飯のおいしさが際立たないっすよねえ。
香りがよくて、旨味があって、油揚げが入るからこそうまくなるというか。
さきほどちょっと書きましたが、ショウガは昔臭み消しに使っていましたが、冷蔵技術発達以前のお話しなので、ショウガの味をつけたいとき以外は入れなくて大丈夫です。
牡蠣とか、クセが強いものには入れたほうがいいと思いますけど、鯛は淡口にこそ価値がありますよね。
ちなみに、もう一匹の小鯛は焼きでいただきました。
うまい。
秋が深まるにつれおいしくなる鯛。
今年はザル一杯くらいはいただきたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?