宇宙へ委ねる #20

時々、私は寝る前に部屋の電気を消して、窓から外を眺める。

ただただぼーっとする。
ぼーっとしながら考える。将来のこと、今の自分のこと、悩んでいること、みんな同じ人間なんだということ、世界は広くて自分はちっぽけなんだということ。

だんだんと夜風が心地よい季節になってきたこの頃なんかは、ぼーっとしていることも忘れてしばらくの間思いに耽り、肌がひんやりとしてやっと気がつき窓を閉める。

外を眺める時に必ず聞く曲をまとめたプレイリストがあり、その内のひとつが15年前にドラマの主題歌となっていた曲だ。きっと私の世代のほとんどが見ていたドラマだったように思う。当時は“ケータイ小説”が流行っており、たくさんの人気作品はドラマや映画化された。

部屋から見える周りの建物は様々だ。最近建てられた新築から古い家、マンションまで。長い年月の中この土地でたくさんの人が日々を暮らし、はぐくみ、楽なことばかりではない毎日を笑ったり泣いたりしていたんだろう。そのドラマの主題歌を聴きながら、15年前にドラマが放送されていた時にも私と同じようにこの土地で誰かが聴いていたのだろうか、と思いを馳せてしまう。

そして私の住んでいる家が取り壊されてしまう日がきっといつか来るのだろうけど、先の未来でまた私と同じようにこの土地で同じ曲を聴いている人がいるのかもしれない。

この部屋から見える景色が、1人で物思いに耽る時間が、私は好きだ。
その曲は聴く度に今日の風の柔らかさや、夜空の明るさ、次の季節の匂い、抱き合わせている感情と共に、何度も何度も思い出を引っ張り出してくれるんだろう。この先も。音楽にはそんなとてつもない力がある。それなのにひけらかさないから奥ゆかしい。


小学生の頃の私にはわからなかった曲の意味も、今ならわかる。涙する。


外を眺めていると、小さなことでクヨクヨしていたと思えば、気づくとこんな風に人の生活の流れや、繋がってきた命や、今日まで続いている時間の尊さなど、とても壮大なことを考えている。そうするといい意味で小さなことがちっぽけに思えて、また明日から頑張るか、と思えたりもするから、なんとなく願掛けのような習慣になってしまった。

もちろんいつも前向きになれるわけではないけれど、そんな風にして自分という内側と向き合い、自分ではどうにもできないこともたくさんあるわけだし、あとは自分の外側にあるとてつもなく広い宇宙へ、大好きな曲と共に心を委ねる時間をこれからも大切にしたい。

そして私と同じように毎日を乗り越えている人の中で、その相棒として私の音楽を選んでくれている人が一人でもいるのなら、私はこの上ない幸せの中で生きている。"時"という大きな流れの中で、ちっぽけな私が、ひとりひとりの私たちが、誰かのために今日も生きている。



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