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思想や宗教に関すること

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思想や宗教に関することについて、考えをまとめるために書いてるノート。
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宗教について#2

 どこかで誰かを失いつつ生きる私たち。  ポーランドでの生活は、いろいろと制限が増して窮屈に感じることも多いけど、その分様々な事を考えるきっかけをくれるし、自分を省みていられる。最近はずっと部屋の中で本を読んだり、紙と鉛筆だけでドローイングを描いたりして過ごしている。外に出たい衝動に駆られると、キッチンの高いところにある窓から見える、淡い青色の空を見つめて、心を沈める。そうしている時にいつもぼんやり思い出すのは、谷川俊太郎の「空の青さを見つめていると」という詩。      

知ることの可能性

 姉の投稿を読んで、私が思った事を整理して書いてみる。遠い国で起こっている様々な問題について、私たちにできる事はあるのかどうか、について。  私が初めて海外に渡航して、チベットの問題を知った後、私は部屋で1人で悶々として「知るべきじゃなかった」と後悔した事があった。なぜならそれはとても残酷で悲しいもので、それを知らなければ大学を辞める事だって考えなかったからだ。でも、その事をある人に話すと「その分だけ、魂はきれいになっているんだよ」と教えてくれた。それから、「魂はきれいにな

2020/03/22

 ポーランドでは数日前から、無用な外出が禁止になった。出られるのは、近くのスーパーへの買い物だけ。散歩も禁止。スーパーの中も50人の人数制限で、多くの人がスーパーの外で他の人たちと近づきすぎないようにして、扉が開くのを待っている。開いたら、譲り合って入店する。  アンネ・フランクは、これ以上の緊張を強いられた環境で2年間以上潜伏生活をしていたんだと思うと、彼女の心の強さを思い知る。彼女の日記には反省はあっても泣き言のようなものはほとんど見当たらない。時には怒り、時には笑い、

小学4年生

 ポーランドの美大もコロナの警戒のために明日からしばらく休校。時間もあるので思いつくままに思索していきます。  まず、小学校の4年生の頃の話から。昔の辛い思い出話をするのは疲れるし好きではないけど、私はちょっと特殊な子で、特殊な状況だったし、そういう人間が存在していてそう言う状況が今後も起こりうるって事を知ってもらう意味でも、書いておく。  私は小学生の時、学校では大人しい子どもだった。小学校4年生のときも、大人しかったためか、先生に目の敵にされていた。当然そんな状況下で

いいもの

 今日は、いい文章・いい絵画って何?ってことについて、自分なりに考えたことを少しだけ書いてみる。  私の身近に二卵性の双子の子がいるけど、2人は性格が全然違うから、生年月日を利用した「誕生日占い」「星座占い」「四柱推命」などの占いの類は当てにならないのだとわかる。「当たってる!」って思うのは、そう思わせるように書いてあるからだ。同じ文章でも、読む人が変われば受け取り方も変わる。誰もが共感できるように書くことなんて、そんなに難しいことじゃないんだと思う。  でも占いは、次の

命の値

 インドで出会った女の子、スハイマの話。たまに、昔あったことをふと、思い出す。思い出した時が一番の書きどき。  スハイマはインド・ケーララ州のコチというところに住む20代女の子。コチにある美術大学に通っている。絵を書く事、自然を写真に撮る事が好き。彼女のスケッチブックには、自然界のありとあらゆるものがいきいきと描き込まれていた。彼女は私に、植物の名前や木の実の名前、自然との関わり方を教えてくれた。私たちは絵を描く合間を縫って、よくアトリエの外に散歩に出ていた。茶畑の広がる田

「強い現実」と「弱い現実」

 今回は内田樹の「そのうちなんとかなるだろう」を読んだ、その主観的感想と大事だなと思ったところの引用。この本は、内田さんが自分の人生経験を、その時代の周りの状況や、その時の自分の気持ちにまで振り返って書いたもの。人と仲良くなる秘訣や本人の人生観についてもわかりやすく読みやすい文章で書かれている。一冊の文字量はそれほど多くないのだが、不思議なほど充足感がある。  彼の生き方は自分と重なる部分が多かった。もしも、自分の人生を振り返って満足できた人たちを集めて、そう思うに至るまで

宗教について#1

 ポーランドに留学していると、宗教について考えさせられることが多い。ポーランド人はヨーロッパの中でもキリスト教の信仰が厚いことで有名で、私がこの国を留学先に選んだ理由もそこにあるのだが、ここ5年間で95%いたキリスト教・カトリックの信者は、60%にまで減少してしまったそうだ。ポーランドでは今でも多くの人が朝のミサに出席するが、そのほとんどは中年以上の高齢者である。ポーランドで若い人に信仰について聞くと、無宗教だと返って来ることが多い。彼らは小さい時に洗礼を受けており、教会に通