GPファイナルで訪れたバルセロナの、イベリコ豚サンド。

甘くてとろけるイベリコ豚。
それを、クロワッサンで挟んだだけのシンプルな食べ物。
2014年、2015年のGPファイナルで訪れたスペイン・バルセロナを思うとき、真っ先に頭に浮かぶのは、冒頭の写真の、イベリコ豚サンドだ。

ひとくち含むと、えもいわれぬ甘くたおやかな世界が広がり、鼻腔には豊かな香りが漂い、夢の世界へといざなわれてしまう。

それまでスケートの国際大会がほとんどなかったスペインだったが、フェルナンデスの大活躍などもあり、2014年、2015年のGPファイナルは２年連続で、スペイン・バルセロナでの開催になった。

2014年の大会は……すごかった羽生選手や追い上げたハビ、ヴォロノフ３位おめでとう！　無良さん、町田さんも出場。女子ではリーザが頑張っていて、ラジオノワやリプニツカヤ、本郷さんも出場。ウィーバー＆ポジェが嬉しい優勝を果たしたり。

Jr.GPファイナルの方では、宇野選手と山本草太選手が１，２位。女子ではメドベージェワが優勝し、３位に樋口選手、５位に永井優香ちゃん、６位に中塩さん。そうそうこの３人で鼎談してもらったんだった、中２、高１、高３の女子３人、かわいいトークだった。

2015年は、羽生選手が歴代最高得点を更新してはまた更新していたころで、この大会でも更新。すごかった。シニアデビューの宇野選手が３位、パトリック、ボーヤン、村上大介さん、そうだそうだ、懐かしい。女子ではこの年もメドベージェワが優勝し、２位に宮原選手、アシュリー、真央さんも出場していた。ペアのストルボワ＆クリモフがすごくいい演技を見せ嬉しそうだったストルボワの表情が忘れられない。川口悠子ちゃんも３位。悠子ちゃんと観光にも行った。ウィーバー＆ポジェも２連覇。

Jr.男子は、１．ネイサン、２．アリエフ、３．山本草太選手、４．ヴィンセント、５．サモヒン、６．サドフスキー。そうそう、そんな面々だった。対してジュニア女子は、１．ツルスカヤ、２．ソツコワ、３．本田真凜選手、４．フェディチキナ、５．白岩選手、６．三原選手という順。いろいろ思い出します。アイスダンス優勝のマクナマナ＆カーペンターはとても好きだったので、その後の解消、彼の引退は悲しい。。。などなど。

そんなあれこれ、ちゃんと覚えている。
覚えているけれど、あれから６年ほどが経った今、バルセロナといってまず思い出すのは、モールで何度も何度も買った、イベリコ豚サンドのことなのだ。

バルセロナにはおいしいものがたくさんあったし、もっとおいしいイベリコ豚はたくさんあるはずなのだけど、私にとってバルセロナといったら、あのモールのイベリコ豚サンド！
きっと、同じものを食べた方もいらっしゃるのではないかと思うので、そのみなさんと、あの逸品について語り合いたい。そう思うほどに恋しい。

またあの会場で大会があるときのために、場所を記しておく。
ＧＰファイナルは２度とも同じ会場（バルセロナ・インタナショナルコンベンションセンター）。

サイトを見ると写真や動画がたくさんあり、ああ、そうそうこんな会場だったいう懐かしさが、突如噴き出してくる。
そういえば、「ユーリ!!! on ICE」でもこの会場でのGPファイナルの様子が描かれていて、すごーく詳細な描写に、懐かしさに身もだえた思い出もよみがえってきた。

会場（中央の青い印のところ）付近にはたくさんのホテルがあり、そのホテル宿泊者たちが頻繁に使用したと思われるのが、会場と通りを挟んだビル（ホテルSBデアゴナルゼロバルセロナ）の地下あたり（ちょっと曖昧）にあったモールと巨大スーパーマーケット。

ちなみに私はほぼ毎日このモール、およびこの建物の２階とか３階あたりのレストラン街のようなところに行き、ピンチョスをいくつか食べたり、テイクアウトしたりした（ような記憶）。

くだんのイベリコ豚やさんには、エスカレーターで地下1階に降りていく。
そのまま直進してスーパーマーケットに向かうモールの通路の真ん中に、どーんと、あるので、すぐにわかる。

ここで、「サンドイッチのを１つ」的なことを伝えると、この豚ちゃんの脚の肉をささっとスライスしてくれ……たのかすでにスライスされていたものをちょいちょいと挟んでくれたのかも定かではないが、とにかくイベリコ豚をクロワッサンに適当に挟み紙袋に入れて、手渡してくれる。

それが、下の写真！
大しておいしそうに見えないのに、いやはやなんということでしょう、これが大変なおいしさなのだ。

塩コショウを振ったりもしない。何にも足さない、何にも引かない。ものすごーくシンプルな、食材２つだけの食べ物。ああ、エア味とエア風味でやられそう～。

バルセロナは、子どもがもう少し大きくなったら家族で行きたい地の上位にいつもランキングしている。
ここは、観光の中心地からは少し離れた、地下鉄の「Forum」という駅付近なのだけど、それでも、次回バルセロナに行くことがあったら、必ずこのイベリコ豚クロワッサンを食べるつもりだ。
まだ、このお店あるかなあ。

2014年と2015年のGPファイナルのとき、会場近くの地下のモールにあったイベリコ豚屋さんで、クロワッサンに挟んだイベリコ豚サンドを何度も何度も何度も食べたのですが、その味を思い出して食べたくて切なくなる、ということが、年に数回あり、今日はそんな１日。 pic.twitter.com/fA6HqN1Qmo

— 長谷川仁美（Hitomi Hasegawa)／文筆家、ライター (@HitomiHase) September 1, 2021

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