見出し画像

新学長任命のニュース

先週の木曜日、学内を今年最大のニュースが駆け巡りました。

「新学長が決まりました」

当大学では、今年の初めに前学長が辞任してから、研究担当副学長が新学長が就任するまでの一時的な学長として学長不在の期間の学長業務を担い、国内外から新しい学長の募集(といってもヘッドハンティング)を行っていました。数ヶ月に及ぶ大学トップの選出に関して、「もうすぐ発表できる段階にある」ということは、今セメスターが始まる頃に周知されていました。

今回の新学長の任命に関しては、その選出及び発表の仕方が異例中の異例でした(というより、オーストラリアの大学で前代未聞ではないかと思います)。なぜなら、その新学長が、前労働党党首のBill Shorten(ビル・ショーテン)氏だからです。

アルバニージ首相との共同記者会見での発表

Bill Shorten(ビル・ショーテン)氏の当大学の新学長就任(来年2月から)の発表があったのは、現党首であるアルバニージ首相との共同記者会見でのことです。この共同記者会見では、まずショーテン氏が政界を引退する意向(つまり、来年予定されている次の選挙には出馬しないこと)を発表しました。そして、当大学の新学長に就任すると発表されました。

記者会見の模様はこちらでご覧になれます。

この会見が終わると同時に、当大学のスタッフにも一斉メールで新学長の任命が通達されました。

新学長、Bill Shorten(ビル・ショーテン)氏のプロフィール

オーストラリアでは大変に知名度が高いショーテン氏ですが、日本ではほとんど知られていないと思います。ショーテン氏のプロフィールをここにまとめてみました。

1.​​オーストラリア労働者組合の全国書記長を務める。
2.2007年の連邦選挙で初当選(​​メルボルンMaribyrnong選出)。
3.2010年に初入閣。
4.2013年に労働党党首に就任。
5.2016年の選挙で僅差で敗れ、首相の座を逃す。2019年の選挙では勝つと言われていた選挙にまさかの敗退、再度首相の座を逃す。これにより労働党党首を辞任。
6.2022年の選挙で労働党の勝利によって発足したアルバニージ政権では全国障がい者保険制度の担当大臣を務める。
7.義理の母は第25代Governor-Generalを務めたQuentin Bryce氏。

*余談ですが、メルボルンに住む私の夫の甥とショーテン氏のお嬢様は同じ学校に通っていましたので、私も個人的にショーテン御一家のお話はよく聞耳にしておりました。

学術の外の世界からの大学トップの選出

このように、ショーテン氏は政界の中枢を担う人物でした。大学の学長は、大学の教員だった人(学術経験者)から選出されるのが通例です。学内で多くの重要な役割を担った方が学内で選出されるというケースもあります。しかし、当大学では学長はほとんどヘッドハンティング(国内外の大学から)で決められてきました。これは、オーストラリアの大学では良くあるやり方のようです。こうしたやり方に、疑問を持つ方も多くいらっしゃいます。大学は、普通の企業とは違うからです。しかし、大学もビジネスです。特に、オーストラリアの大学にはたくさんの留学生がいますし、彼らの学費が高額なことは良く知られています(留学生の学費が高額なことは、オーストラリアだけではありませんが)。今回の新学長のニュースに関しては、学内でも色々な声が聞こえてきております(学生からの評判は良いようです、おそらく知名度が高いからだと思いますが)。政界とのコネクションは魅力的ですが、大学という特殊なビジネスの舵をどう切ってくれるのか、その手腕は、来年にならないと分かりませんし、組織というのは皆で運営していくものという考え方もあります。当大学の運営は「参加型」でもありますから。

ただ、共通して同意されているのは、当大学には新しいリーダーが必要だということです。まずは新しいリーダーの新学長をお迎えして、来年からの新しい体制に、どんどん参加しこう、という意気込みで来年の2月を待っている、という感じです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?