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Inclusiveな社会(LGBTQI事情)

オーストラリアでは、2017年12月7日に同性愛者どうしが結婚できる法案が可決、即日施行されました。

私はテレビのニュースでこの法案の可決の報道を見ましたが、まさに歴史的な瞬間だったと思います。2017年以前にも、各州及びテリトリーで同性結婚を認める法制化の動きはありました。例えば、キャンベラがある首都特別地区では、2017年に地区内での法案が可決、施行されました。当時、私の知人で、同性結婚が認められていない他州に住む同性同士のカップルが、キャンベラに来て結婚式を挙げたこともあります。

オーストラリアは、もともとは同性愛を良しとしないカトリックの人口が多く、これが長らく同性愛婚を認める法案が成立しない要因でもありました。しかし、近年ではカトリック教会の人口の割合は減少傾向にあり、特に若い人たちの間ではLGBTQIの割合が増えています。私の身近にも、男性同士、或いは女性同士のカップルは多いですし、「どちらでもない」という人もいます。国会議員でも公表している人はいます。例えば現外務大臣のペニー・ウォンさんは、以前から同性愛者であることを公表していますし、パートナーと二人のお子さんを育てています。

毎年3月にシドニーでMardis Grasというフェスティバルがあります。思い思いの格好をした人たちを載せた派手な飾り付けの山車が目の前を通り過ぎるパレードは圧巻です。そして、見物客も皆笑顔で沿道で踊るのです。私も何回か沿道でパレードを見たことがありますが、性別関係なく皆で踊るのは(特に伝統的なダンスは男女の役割がありますので)本当に楽しかったです。

さて、お祭りの時は一体感を感じることができますが、普段はどうかというと、「割とオープン」だと思います。いわゆる「カミングアウト」をして、周囲に自分はLGBTQIであることを公表している人もいますし、そこまではっきりとは言わなくても、隠している訳ではない人は多いです。また、最近では、レストランのお手洗いも、男女分けず、Unisexのところが増えていますので、LGBTQIの方々にとって生活しやすい環境も整ってきているといえます。私の学生でも、こちらから聞かなくても「私はゲイです。」と言ってくれる人もいます。「どうしてわざわざ言ってくれたの?」と尋ねると「多分なんとなく気づいているだろうけど、変に気を遣われるよりは、自分で言ってしまった方が気分的にも楽だし、面倒じゃないから。」と言います。もしかしたら、周囲には公表できず、悩んでいる学生もいるかもしれませんが、大学内では、例えば「ゲイだから。」と言って差別される事はありませんし、もしあった場合には、(どんな差別に対しても)然るべき処分の対象となります。

Inclusiveな社会とは、相手がどんな性でも、宗教でも、文化的バックグラウンドを持っていても、お互いを尊敬し合い、それぞれの良さを高めていけるような社会だと思います。今、世界では色々な社会問題、格差問題があり、「生きづらい」と思っている人が多いのも事実です。LGBTQIの方から個人的に相談を頂いたこともあります。それぞれが価値観や考え方の違う社会だからこそ、よりお互いを分かろうとする歩み寄りが大切だということを、私はオーストラリアに移住して学びました。


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