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災害時の避難シミュレーション

私は当大学ではCentre for Creative and Cultural Researchというリサーチセンターに属しております。このリサーチセンターには、文学、アート、デザインなど様々な分野の研究者が属しているのですが、私もBuilt Environmentの研究者として関わっています。学期中は、毎週セミナーがあり、研究者が最新の研究を発表して議論や交流を深めています。

今年の5月のセミナーで、私がここ数年取り組んでいる災害時の避難シミュレーションに関する研究を発表する機会を頂きました。その時の動画がご覧いただけますので、僭越ながらご紹介させて頂きます。

また、音声のみでという場合は、ポッドキャストでもお聞きいただけます。

Spotifyから貼り付けさせて頂きました。

私の研究では、エージェントベースモデルというモデルを使って、個々人の具体的な行動を再現するシミュレーションを作っています。避難者個人が各指定避難所に向かう場合、すでに冠水している地区を避けながら、どういうルートで避難所に向かうことができるか、その所要時間、また、たどり着いた避難所がすでに定員オーバーだったら、次はどこに向かうのか、を再現します。また、コミュニティ全体としての全避難民が避難所に着くまでの所要時間や道路の渋滞状況などがわかるようになっています。

先週日本には大きな台風が来て、大変な被害がありました。洪水以外にも、津波や山火事など、世界中で「避難」が必要な災害が起こっています。「避難」は他人事ではありません。しかし、実際、洪水などのケースで「避難した」という方はそう多くないのが現状です。東日本大震災や、先月の「南海トラフ地震臨時情報」などによって、個人の方々の意識が高まっていることは事実です。しかし実際の行動になかなかつながっていかない・・・というジレンマがあります。特に日本は年々お手伝いが必要な高齢者の割合が増えており、自分だけ避難しても、取り残される方々がいればコミュニティ全体として大切な命を守れません。

こうしたシミュレーションが、具体的な「災害時にどうする?」の問いに対する答えを、個人レベル、家庭(世帯)レベル、コミュニティレベル、自治体レベルで考える一助になれば幸いです。

本シミュレーションは、より細かいデータを入れながら、アップデートしていっております。近いうちに新しいバージョンを皆様と共有できたらと思っております。


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