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サステナブルの救世主への考察、ジョンガリアーノが魅せる夢の世界

20年ファッションの仕事を続けて来て、大きな壁にぶち当たった。好きでずっと続けてきた仕事で、自信を持ってものづくりしていたけれど、働いているから尚更、業界全体のサイクルの速さに、身を粉にして働いた先に残る過剰在庫に、この業界全体の未来はあるのだろうかと真剣に疑問に思うようになった。
ファッションという括りが夢を売る仕事だった時はもうひと昔前の話で、事実、今やファッション業界は地球環境や人権を脅かす代表的な産業へと成り下がってしまった。
表向きにサステナブルの取り組みしてますっていっておけばどうにかなる的な抜け道はいくらでもあるだろう。でも究極にサステナブルを実行するのであればもう服は作らない、というのが一番の理想である。
ファストファッションを筆頭に多くのファッションインダストリーのシステムが、急速なサイクルで消費者に販売することによって、社内上層部のみをよりリッチにし、末端の縫製工場などが搾取される状況に陥る。
昔はファッションは儲からないから情熱がないと続けられない仕事だったけど、ビジネスに傾倒した途端に石油に次ぐ環境汚染産業になってしまった。
Tシャツ一枚作るのに2700Lの水を、
デニムパンツ1着作るのに7500Lの水を必要とする、らしい。
素材となる綿花栽培(例えばTシャツ一枚綿花250gとして)にかかる水の量という事だがあまりにも予想を超えた量であって、開いた口が塞がらない。
その綿花栽培には、世界で使用される殺虫剤の総量の1/4が使用される。

わたしが高校生や服飾の専門学校生だった頃、バイトをして一生懸命貯めたお金で憧れのブランドの服を買って、着るの勿体無いから見てるだけで幸せ!!みたいな特別な感覚があった。

芸人の滝沢秀一さん(マシンガンズ)は副業でゴミ収集会社で清掃員として働いているそうですが、彼がYouTubeで伝えていた内容で印象的だったのは、中流家庭ほど衣類がゴミとして捨てられる傾向が高く、富裕層が住む住宅街ではゴミ自体の量がそもそも少ないのだそう。

とって変えられる服にはもちろん愛情も湧かないし、そもそも永く着ようと思って購入していないだろう。

そんな夢も希望もかき消されそうな時代の救世主、こんなことまだやってくれるのはあなたくらいです、ジョンガリアーノ。
2024年秋冬のアーティサナル(オートクチュール)のコレクション。
これ、シアターですか?

お金払って会場で観たいです、そう思わせてくれたまさに夢しか売ってないコレクション。実際に服が着れるとか着れないとかそういうのは一回置いといて、服というものを通してそこに居た人たちを夢心地にさせたのは事実。そういう感覚を生産者、消費者共々、1人でも多くの人が思い出せたら、実際に自分が取り組むべき課題は見えてくるはず。

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