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多拠点暮らしと関係人口を考える〜ADDressの利用実態から〜

こんにちは。

普段はWebデザイナーとしてECサイトのLPを制作しています。

旅行が好きで、最近では「マイクロツーリズム」として居住地の周辺地域へ足を運んでみたりしています。なぜなら「関係人口」に関心があり、日本各地に住む方々とできる限り出会って、様々な考え方を知りたいと思っているからです。

昨年以降、社会全体的にも在宅勤務が普及し職種や勤め先の企業によっては「ワーケーション」を実践する方が増えてきているように思います。その延長線上で、多拠点移住やU・Iターンを検討・実践されている方々も増えてきているように思います。

ここで、多拠点移住を積極的に勧めている「ADDress」というサービスが、2021年の利用実態レポートを公開しました。私が今回書くこの記事の内容は、基本的にはこのレポートより引用しております。合わせてご覧ください。

【ADDress】
多拠点生活を促進している、定額移住サービスです。
決まった額を定期的に支払い、登録してある空き家に定められた期間住むことができます。条件によっては住民票を移すこともできます。


ADDress会員への調査結果

会員数は2021年4月時点でアンケート実施期間(2020年12月~2021年1月)と比較し2倍に増えた。
・20~40代の会社員の会員が最も割合が高い。会員のうち4割が副業をしている。職種分布としては、資格が必要な職種(会計・コンサル・不動産関連)の割合が高く、次いでクリエイティブ関連の職種が多かった。
・会員の過半数が、通勤通学をしていない。
・月間利用頻度としては、月15日前後が平均だが、男女ともに20~30日程度利用する層が最も割合が高かった。
・ADDressの利用目的は「ワーケーション」が最も割合が高い。「移住先の検討の際の参考」とするための利用と答えた層の割合が高かった。
・会員の中でふるさと納税を利用している層は3割程度に留まっている。
・地域の人(地元住民)との交流の希望値が高い一方、実際は希望値にまで達成していないと回答した割合が高い。一方、契約された物件を運営する「家守」との交流については、希望値よりも実際に交流していると回答した割合が高かった。
・地域に関する情報は、家守や同じ物件に住む会員など、現地で収集すると回答した割合が最も高かった。


感じたこと1. ネットが発達しても、現地でしか得られない情報がある

この調査結果を見て私が思ったことは、どんなにネットやSNSが発達しているとはいえ、現地で得られる情報がまだまだあることです。

「情報格差」ということばで表現されるように、ネットでの検索の技術やSNSの使い方にかなり工夫がいりますので、大量な情報を収集できるようになったとはいえ、人々が自分が本当に求めている情報にアクセスできているのか疑問が残ります。

だからこそ、実際会員が興味を持って多拠点生活という行動を起こしたからこそ得られる情報がまだまだあるといえる結果だったと思います。


感じたこと2:多拠点生活とふるさと納税は別の話

この調査結果を見て私が意外だと感じたのは、ふるさと納税利用者が少ないことでした。「生活をすること」と「寄付をすること」は別次元の話なんですね。

ふるさと納税は、自分が興味ある自治体に「寄付」をすることでその分返礼品がもらえる制度ですが、返礼品をいかにコスパよく獲得するかに焦点があたってしまっている実態があります。
※例えば、Instagramで「ふるさと納税」と検索すると、主婦や社会人に向けた投稿で「ポイントでお得にふるさと納税をする」などの投稿がよく出てきます。

制度上の課題があることはネットで検索をすると様々な方の議論が出てくるので気になる方は検索してみてください。私が思うのは、ADDress会員は「地方」に関心があるというより、日常生活から離れた生活の体験をしたいニーズがあるのだろうと感じました。
利用者層が(ADDressの登録物件の所在地にもよりますが)関東圏、特に鎌倉・小田原方面に人気があるとのことで、生活圏のちょっと先を求めていることがうかがえます。


感じたこと3:日常生活の延長にADDressがある

満足度の高さの理由について、家守と交流できることを挙げた会員が最も割合が高いと発表されています。一方、静かな環境にいたいと回答する会員もおり、ADDressは「テレワークに適する環境を求めている」と分析しています。

少し別の視点から見てみます。
感じたこと2の延長線で述べると、誰かと交流する目的というより日常生活とは少し違う景色を見たいと考える会員が存在するのではと思うのです。

この「少し」のニュアンスにカギがあります。

人気物件TOP3に尾道・小田原・鎌倉が挙げられています。
これらの都市は、関西圏・関東圏の大都市エリアから公共交通機関で1~2時間程度離れた場所に位置しています。(※尾道は大阪から新幹線で1~2時間。)そして海に面しています。

生活圏からはあまり離れたくないという潜在的なニーズが現れているように感じました。確かに、万が一仕事で何かあった場合。都市圏に住むご家族になにかあった場合、駆けつけられる範囲には住みたいものです。

そして「暮らす」ことは仕事と切って切り離せぬ関係のため、どうしても交流するよりも快適に仕事をする環境を求めるニーズがあると考えられます。


関係人口とは言われつつも…

現状どうしても「地方のため」というより「新しい生活を始めてみたい」というニーズから、自分の合った場所があればそこに移住する方が大多数なのだろうと思います。

ただ私のようなZ世代、ミレニアル世代が労働人口の真ん中を占めるようになったとき、どうなっているのかは今後に期待です。彼らはマーケティング業界では「社会に貢献したい」思いがあってのお金をかけていくスタイルと言われていますから。

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ここまでご覧頂きありがとうございました。

筆者の私がワーケーションを体験してみたり、それに関連する書籍についてまとめた記事をおすすめしています。

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