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洋服の青山「デジタル・ラボ」で小型店でも豊富な品揃えでUXを実現〜DX事例1_青山商事〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。
このnoteでは経営者にITを身近に感じてもらうための記事や、IT活用のヒント、経営者へのお役に立ちそうな記事をお届けしていきます。

前回まではDXについての必要性と進め方についてお伝えしていきましたが、やはりDXの事例がないと分かりにくいと思いますので、今回からはDXを実施してきた企業の事例を紹介していきます。今回は洋服の青山を展開する青山商事の「デジタル・ラボ」についてです。

前回までのDX記事
DXなしに「モノ」から「コト」への変革はシンドい?〜DXの必要性〜
DXは経営者が進めていくもの〜DXの進め方と注意点

青山商事の「デジタル・ラボ」とは何か

2019年11月時点で38店舗を展開しているデジタル・ラボは、試着によるサイズ確認ができる「実店舗」と品揃えが豊富な「ネット通販」を両立した店舗です。
「デジタルを活用した新たなサービスの可能性にチャレンジいていく実験店舗」をコンセプトに開発しており、下記のようなメリットがあります。

①豊富な品揃え
タッチパネル式の大型サイネージから、店舗の在庫分だけでなくECサイト上にある約1,000万点以上の在庫から好みの商品を選ぶことができる。また、条件を入力することでおすすめの商品を提案してくれる。
②購入後手ぶらで帰れる
利用者は、試着や採寸を実店舗で確認ができ、購入後の商品は自宅配送されるので手ぶらで帰ることが可能。※裾上げやオプション縫製なども実施された上で配送される。
③出店/在庫コストの削減
サイネージ等で色柄等を確認できるため、実物在庫店舗に抱える必要がなくなる。それにより限られたスペースで多くの種類を陳列することも可能なため、最小限の面積で出店可能となり、出店コストや在庫コストが削減できる。

01.デジタルラボのメリット


青山商事のミッション・ビジョンとデジタル・ラボの整合性について

前回の記事「DXは経営者が進めていくもの〜DXの進め方と注意点」でも記載しましたが、DXは自社のミッション・ビジョンと合致しているかが大事だとお伝えしました。なぜ大事かというと、DXは人と組織のあり方をガラリと変えながら会社自体も大きく変革させるので、自社のミッション・ビジョンなどと合致した行動でないと社員が納得できず、変革についていけなくなるからです。(詳しくはリンク記事をお読みください)

ということで、当時の青山商事のミッション・ビジョンとデジタル・ラボの整合性を見ていきましょう。デジタル・ラボは2016年秋に秋葉原1号店オープンなので、その当時のミッション・ビジョンとなります。

02.ミッション とビジョン

※2015年1月「2015-2017中期経営計画」より抜粋

今回で言うと、使命にある「『働く人』に愛される商品と満足される接客」。経営ビジョン にある「投資効率を重視した店舗出店(=コスト削減)」。この辺りがデジタル・ラボ導入の目的と結びつきそうです。


03.DXとの合致性

この図にあるように、デジタル・ラボによるDXの実施により「利用者への接客の向上」かつ「コスト削減」という一見矛盾する内容を両立して実現することが可能となりました。店舗スタッフについても業務が効率化された分、接客に集中できるという好循環も生まれているようです。

青山商事はこの取り組みにより、2016年の秋葉原1号店出店を皮切りに2019年11月に38店を運営。2020年3月期はデジタル・ラボ経由の売上げが前期比で2.5倍になる見込みとのことでした。※参考書籍掲載時点)

まとめ

今回の取り組みによるAS-ISとTo-BEを見ていきましょう。

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今回のDXの取り組みにより大型店舗という投資コストの高い店舗出店形式から、小規模の出店形式が可能となりました。店舗面積の小さな小型店舗なら、これまで出店しにくかった都心の駅前などへの展開も可能となり、小回りの利いた店舗展開計画が可能です。また販売スタッフも必要最低限に抑えられることから、DXの一番のメリットであるレバレッジの効いた企業規模の拡大も実施しやすい状態であるといえます。

以上、青山商事の「デジタル・ラボ」についてのDX事例紹介でした。今回のようなスタイルで次回以降もDX事例を紹介していこうと思いますので、次回も楽しみにしていただければと思います。
タナショー

参考にさせていただいた情報
洋服の青山「AOYAMA DIG-Lab」
https://www.y-aoyama.jp/c/guide/digilab.html
洋服の青山公式チャンネル「デジラボとは」
https://www.youtube.com/watch?v=KROpU2R2RvM&feature=emb_title
日経ETECH「攻めと守りで変革を実現 DX最前線」

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