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[DX事例77]ロボットソリューションが創り出す業務DX_アイリスオーヤマ株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は家電業界からです。家電や寝具、マスクなどの多様な製品を開発・販売するアイリスオーヤマ株式会社のロボットを使った業務DXです。


ロボットを使った「業務DX」とは何か?アイリスオーヤマのDX事例

アイリスオーヤマは国内家電メーカーですが、他社に比べてシンプルな機能で手頃な価格帯の製品を開発販売している企業です。そんなアイリスオーヤマですが昨今配膳ロボットを紹介するCMをよく見かけるようになりました。

アイリスオーヤマはソフトバンクロボティクスグループ株式会社とタッグを組み、2021年2月に合弁会社「アイリスロボティクス株式会社」を設立しています。
国内の深刻な人手不足対応や、コロナ禍における非接触サービスの推進を目的としており、AIロボットで強みを持つソフトバンクロボティクスグループと提携することで様々なロボットサービスを提供しています。
今回はそんなアイリスオーヤマのロボットをご紹介していきます。


①配膳・運搬ロボット「SERVI -IRIS EDITION-」「Keenbot -IRIS EDITION-」

前述のCMで見かけることも多い、ロボットを使った配膳・運搬サービスとなります。SERVI(サービィ)ならびにKeenbot(キーンボット)は飲食店や、ホテル旅館等で使用する配膳・運搬ロボットです。かんたんな操作でロボットが料理や商品の配膳・運搬をしてくれます。

最初に登場したのがSERVIです。ロボット内に備え付けられたタッチパネルで配膳指示をすると、目的のテーブルまで自動運搬をします。3DカメラとLiDARセンサーで周りの人や物を検知することで障害物を避けながらの搬送が可能となっています。操作も簡単で、タッチパネルで席を指定して配膳スタートボタンを押すだけと2ステップの操作で終了です。

アイリスオーヤマ株式会社「配膳・運搬ロボット Servi アイリスエディション製品カタログ」より抜粋

目的地である席に届いたらお客様が直接商品を受け取ったり、食べ終わったお皿を乗せることで食器の片付けも可能となっています。

また2022年2月には新しい配膳ロボットKeenbotが登場しました。Keenbotは中国上海に本社を置くKeenon Robotics株式会社、ソフトバンクロボティクスと共同開発した商品となっており、SERVIより大容量の配膳ができ安価で利用できる商品となっています。

アイリスオーヤマ株式会社「配膳・運搬ロボット Keenbot アイリスエディション製品カタログ」より抜粋


これらの配膳ロボットの特徴はなんといっても、人が行っていた配膳作業を自動で行うことにあります。卓上に注文用のタブレット等を用意すれば、商品の注文から配膳までを非接触で提供できるという強みも出てきます。

SERVIの製品カタログでは、店内スタッフ1.5人分のコスト削減ができる試算を出しており、更に接客時間を増やせることからサービスクオリティ向上とコスト削減の2つの効果が出るとしています。

アイリスオーヤマ株式会社「配膳・運搬ロボット Servi アイリスエディション製品カタログ」より抜粋


②清掃・除菌ロボット「Whiz i -IRIS EDITION-」

アイリスオーヤマは配膳ロボットだけではなく、清掃ロボットも展開しています。こちらもSERVIと同様、ソフトバンクロボティクスの商品をアイリスバージョンとして展開しているサービスとなります。

Whiz iは主に床掃除を行うロボットとなっており、事前に学習させたルート情報をもとに自動清掃を行います。AIを使った自動清掃のため、人が行うより均一な全面清掃を定期的に行うことが可能です。

アイリスオーヤマ株式会社「DX清掃ロボット Whiz i(ウィズアイ)IRIS EDITION」より抜粋

昨今、特に注意が必要になった細菌やウィルスの除菌清掃にも効果が高いようです。細菌やウィルスは空中だけでなく床に付着していることも多いのですが、人が行う清掃では歩くたびに床の細菌が舞い上がってしまい、効果的な清掃ができない場合があります。
Whiz iによる清掃を行うことで、人の手で清掃する場合と比べて浮遊菌量が最大5分の1、床の菌量も2分の1になったという効果が出ているそうです。業務効率化だけでなく、店内や室内の安全性や安心を高める清掃ができます。


経営戦略とDXの関連性について

アイリスオーヤマは非上場企業なのでIRなどの企業情報が少ない状態です。今回はプレスリリースなどの情報をもとに、ロボット事業に焦点をあててお伝えしていきます。

アイリスオーヤマは2022年2月にソフトバンクロボティクスとのさらなる連携を進めるために資本業務連携を行っています。

資本業務提携の目的としては「ロボット市場の需要創造」「社会課題解決」が挙げられています。アイリスオーヤマはロボットソリューションが生み出す省人化や効率化を最大限活かし、ロボットを使った業務効率化である「業務DX」を提供しようとしています。

アイリスオーヤマ株式会社「アイリスオーヤマとソフトバンクロボティクスグループ 資本業務提携 ロボット市場の需要創造と社会課題解決を目指す」より抜粋


アイリスオーヤマは来たる2030年には労働人口が640万人減少することを想定しており、労働人口減少を前提にした経営が必要であると語っています。
人手不足が慢性化・常態化する時代において、ロボットが生み出す業務DXは一つの解決策となります。アイリスオーヤマは引き続き様々なロボットソリューションを提供していくことで、持続可能な社会の実現に向けた活動に取り組んでいます。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は久々のロボットを使った効率化、省人化の事例でした。従来のパソコンやスマホ・ITを使った効率化と比べて、リアルの物体を掴んだり運んだりする作業を効率化できるのがロボットの強みです。

今回の配膳作業といい、本来なら片手間に実施するような雑用レベルの業務をロボットが行う事例が増えてきましたね。
「そんな簡単な作業は誰でもできるし、ロボットではなく手の空いた人がやればいい」という意見もありますが、意外と実際の合計作業時間や人件費が高くなっている場合も少なくありません

簡単な作業や、雑用レベルの業務を積み上げるとどれだけのコストがかかっているのか把握し、他のロボットやIT活用で代替できないか考えてみるといいかもしれませんね♪
タナショー


参考にさせいていただいた情報
アイリスオーヤマ株式会社「配膳・運搬ロボットServi アイリスエディション」
https://www.irisohyama.co.jp/b2b/robotics/products/servi/
アイリスオーヤマ株式会社「配膳・運搬ロボットKeenbot アイリスエディション」
https://www.irisohyama.co.jp/b2b/robotics/products/keenbot/
アイリスオーヤマ株式会社「DX清掃ロボットWhiz i アイリスエディション」
https://www.irisohyama.co.jp/b2b/robotics/products/whiz-i/
アイリスオーヤマ株式会社「アイリスオーヤマとソフトバンクロボティクスグループ 資本業務提携 ロボット市場の需要創造と社会課題解決を目指す」
https://www.irisohyama.co.jp/news/2022/?date=0202_2
ロボスタ「最大4段の大容量トレーが特徴の配膳運搬ロボット「Keenbot アイリスエディション」発売 導入事例を公開 SBRとアイリスオーヤマ」
https://robotstart.info/2022/02/02/keenbot-sbr-iris.html
Impress
 Watch「ロボットでDX化 ソフトバンクとアイリスオーヤマ資本提携」
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1385659.html


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