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3種類のピックアップロボットが、無人化へと続く「歩かない工場」を実現!〜DX事例17_株式会社PALTAC〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。
このnoteでは経営者にITを身近に感じてもらうための記事や、IT活用のヒント、経営者へのお役に立ちそうな記事をお届けしていきます。

今回は大阪に本社を置き、日用品・化粧品の卸売販売を行っており、全国に物流倉庫を抱える「株式会社PALTAC」のピックアップロボットを活用したDXです。


物流倉庫内の人の作業を徹底的に排除

物流倉庫における業務は「メーカーの商品を一時的に保管し、小売店からの発注に併せて出荷する」という流れになります。一見単純な業務内容になりますが、以下の点から自動化しづらい、または人の手が必要な業務になっています。

・広大な倉庫内で商品を移動、ピックアップする手間がある
・種類の違う商品やケースをパレットに載せる(パレタイズ)場合、ロボットアームが対応しておらず自動化しづらい
・ケースから商品を取り出したり、箱詰めする際に、バラ商品は形状が様々なためピッキングに対応できるロボットアームが少ない

また物流業務は、段ボールケースのまま入庫・出荷する「ケース物流」と、ケースの中の物品を一度バラして個別に必要分を組み合わせて出荷する「バラ物流」に大別されますが、バラ物流のほうが出荷の割合が多く、自動化しづらいという難点があります

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物流倉庫の業務の流れ(AS-IS)


上記に挙げた自動化しづらい業務に対して、PALTACはAIとロボット技術を駆使して解決を図ろうとしました。「SPAID」と称される次世代型物流システムを導入した物流センターのRDC埼玉では、下記のような省人化・自動化の取り組みが行われています。

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PALTAC「RDC埼玉」の業務の流れ(TO-BE)

上図にあるように、PALTACは知能ロボットソリューションを提供するスタートアップ3社と協業して、人が行うピッキング作業の自動化を実現しました。「ケース物流」「バラ物流」両方にロボット技術を導入しており、その他検品作業や商品のベルトコンベアによる移動など、物流業務の至るところに自動化や無人化を進めています。一部、人による作業が残っている箇所がありますが、それでも「人は歩かない」ことを前提にした業務設計をすることで生産効率を上げることに抜かり有りません。
2019年より正式稼働したRDC埼玉は、本来なら800人規模のパート従業員が必要になるところ、「SPAID」やピッキングロボットの導入により300名の従業員で運営ができているとのことです。


PALTACの経営戦略「人に優しい物流」の実現

PALTACの経営戦略としても、今回のロボット技術の導入を推進したい意図が伺えます。PALTACは「SPAID」の謳い文句にもあるように、中期経営計画にて「新物流モデルの確立」を目標にあげ、「人員生産性従来比2倍」「人に優しい物流の実現」を目指すと記載しています。

①労働人口減少に伴う人で不足に対応するために、生産性を2倍にあげる
②危険を伴う作業や人への負担が大きい思いものの持ち運びをロボット化して、人に優しい物流を実現する

PALTACは更に統括本部を設置し、ロボット・AI・センサーを開発する「研究開発本部」「物流本部」「情報システム本部」や、協業しているロボット会社と協力しながら、中期計画のVISIONでもある「攻めの投資で流通改革に挑戦」の実現を目指しています。

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株式会社PALTAC「統合報告書2020」より抜粋


まとめ

いかがだったでしょうか?PALTACの記事を調べている際、何度か「人を歩かせない」というキーワードが登場していました。
作業時間の半分が人の「歩行」であり、歩行距離を短くすればするほど生産性が上がるとのことでした。確かに、物流倉庫内で人が歩かなければならない業務が減れば、その分「人の動線」がなくなるということです。

「人の導線」よりは「ロボットの動線」のほうが省スペースなのは間違いないので、人の作業をロボットに置き換えることで省スペースになりますし、ロボットの正確性・高速性による生産性向上も期待できるわけです。

今回のように、反復作業でITで効率化が見込めるにも関わらず、ケースのサイズの違いや重量差により自動化が難しい場合であっても、AIを活用することで自動化が可能なケースは他にもあるかと思います。是非、自社の自動化・IT化ができそうな箇所がないか探してみてくださいね。
タナショー

読んでためになったと思っていただけたらいいねやフォローいただけると嬉しいです!次回も楽しみにしていただければと思います。


参考にさせていただいた情報
株式会社PALTAC
http://www.paltac.co.jp/index.html
株式会社PALTAC「統合報告書2020」
http://www.paltac.co.jp/tomorrow/report.html
株式会社PALTAC「中期経営計画2018」
http://www.paltac.co.jp/tomorrow/pdf/plan_1908.pdf
MDNEXT「池澤あやかの卸売業突撃レポ!PALTACのRDC新潟で最新鋭AIロボに萌える」
https://md-next.jp/11741
MDNEXT「PALTACのRDC埼玉が竣工。ロボット適用範囲拡大し生産性を従来比2.3倍に」
https://md-next.jp/13687
株式会社MUJIN「自動倉庫と連携するデパレタイズロボットケースピッキングを完全自動化」
https://www.mujin.co.jp/case/paltac/
Kyoto Robotics 株式会社
https://www.kyotorobotics.co.jp/index.html
RIGHTHAND ROBOTICS
https://www.righthandrobotics.com


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