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[DX事例86]IoT技術で住民の暮らしを丸ごとサポートするスマートタウン_積水化学工業株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は住宅メーカー業界からです。元々はプラスチックを主力とした化学企業でしたが、積水ハイムというブランドを中心に住宅および関連建材の建築・販売を行なっている積水化学工業株式会社のスマートタウンの取り組みです。


自宅の家電だけじゃない。街全体をIoT化するスマートタウン!積水化学のDX事例

「積水ハウス」と「積水ハイム」は実は違う会社ということを知っていますでしょうか?
積水ハウスは積水化学工業から独立した会社。積水化学内の住宅カンパニー事業が積水ハイム(ブランド名)となります。

積水化学は多様な事業を行っていますが、主に以下の3つのカンパニーがあります。
・高機能プラスチックカンパニー
・配管材料などを中心として水道・電気・ガスのインフラカンパニー
・住宅カンパニー

積水化学は2014年、創業70年ということで3つのカンパニーのノウハウ・ナレッジを結集したまちづくり「リードタウン」というまちづくりプロジェクトを開始しています。すでに「東松山リードタウン」「あさかリードタウン」など複数の地域で展開されています。

リードタウンでは「レジリエンス」に注目しています。積水化学ではレジリエンスを災害に対する「回復力・復元力」という意味で使われています。耐震・耐久に優れた配管基盤や大雨対策用の高機能プラスチックスの雨水浸透槽を用いることで安心安全な街づくりを目指しています。

そんなリードタウンですが、IoTを使ったスマートタウンマネジメント技術が登場しています。今回はその事例を紹介していきます。



①家の家電操作や街の防犯セキュリティまでオールインワン対応するIoTサービス「NiSUMU」

NiSUMUは株式会社Secualと積水化学が共同開発したスマートタウン向け総合サービスとなります。
スマートタウンと銘打っている通り、NiSUMUはリードタウンに住む「自宅専有部」と「共有部」に焦点をあて、IoT製品と組み合わせた便利な機能が用意されています。

まず「自宅占有部」部分は自宅を便利にするホームセキュリティ機能となります。自宅のドアや居住内のさまざまな箇所に備え付けられた「開閉センサー」「人感センサー」「セキュアカメラ」「スマートリモコン」と連動することにより、以下の機能が利用できます。

・外出時でも室内のカメラが確認できる。
・異常を検知すると防犯ブザー発報し、アプリへの通知が飛ぶ。
・室内家電等のリモート操作ができる(スマートリモコン)

株式会社Secual「NiSUMU」より抜粋



次に「共有部」部分ですが、こちらはタウンセキュリティ機能となります。
リードタウン内には「セキュアカメラ」や「大雨洪水警報ランプ」という防犯・防災機能を搭載したSecualスマートポールが設置されています。
このスマートポールは気象情報や防災情報と連動しており、さきほどのホームセキュリティを街周辺に拡張したかのような機能が利用できます。

・スマートポールによる防犯・見守り機能。
 →セキュアカメラが子供やお年寄りに異常がないか監視。もしその人物が防犯タグである「Secual タグ」を持っていた場合、家族のアプリに通知が飛ぶ。
・タウン管理者はカメラの映像の確認や、異常時のスマートポール点灯が管理可能

株式会社Secual「NiSUMU」より抜粋


NiSUMU上記以外にも「宅配ボックスへの投函通知機能」「回覧板機能」「備品や施設の予約機能」など便利な機能があります。マンションや集合住宅に住むときに必要な機能が集約したような形です。
積水化学はIoTや最新のIT技術を活用することで、街全体を管理する「スマートタウンマネジメント」を実現しようとしています。

積水化学工業株式会社「住む人想いの街 Lead town」より抜粋



経営戦略とDXの関連性について

積水化学は中期経営計画である「Vision2030」においてESG経営を戦略の軸として推し進めています。そして、ESG戦略強化のために重点的に取り組む課題の一つとして、デジタル変革「DX」を掲げています。

積水化学が考えるデジタル変革「DX」とは、ESG経営強化などの長期ビジョン実現のための成長戦略・構造改革を加速、下支えすることとしています。

積水化学工業株式会社「長期ビジョンおよび中期経営計画説明会」より抜粋

特に、従来のガバナンス(内部統制)、ビジネス、業務プロセスを見つめ直し、「見える化・標準化」「生産性向上」「高度化」に力を入れています。経営に関わる4つの領域で、DX計画やテーマを設定しています。

グローバル経営基盤改革:経営基盤となる基幹システム(グローバルERP)の刷新
購買:購買業務の標準化と取引データの可視化
営業・マーケティング:営業・マーケティングに関わる業務の標準化・自動化
リモートワーク:在宅勤務における業務の生産性向上と情報セキュリティの確保

積水化学はDXを活用しながらサステナブルな社会の実現に向けて、“未来につづく安心”を創造しつづける活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はセキュアカメラやセンサーを使って自宅だけではなく、自宅周辺という街全体をIoT管理する取り組みでした。

NiSUMUには自宅の家電をリモート操作するという機能がありましたが、スマートリモコン等の製品を使えば個人でも自宅のIoT化は可能ではあります。
ただ、自宅という占有部のIoT化はできても、街全体のIoT化となると話は別です。今回の取り組みで出たようなスマートポールを使った見守り監視などは、個人の力では難しいですよね。

IoT技術を使って自宅だけではなく街全体での暮らしが安全・安心になるという良い事例だったかと思います。
次回の記事も楽しみにしていただければと思います。
タナショー

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参考にさせていただいた情報
積水化学工業株式会社「長期ビジョンおよび中期経営計画説明会」
https://www.sekisui.co.jp/ir/document/vision/__icsFiles/afieldfile/2020/06/15/20200522kg.pdf
積水化学工業株式会社「DX」
https://www.sekisui.co.jp/csr/dx/
積水化学工業株式会社「住まいの街 LeadTown」
https://www.sekisuiheim.com/safeandsound/lead-town/index.html
株式会社Secual「NiSUMU」
https://secual-inc.com/nisumu/
PRTimes「スマートホームセキュリティのSecual(セキュアル)、スマートタウン向け統合サービス「NiSUMU」(ニスム)が分譲マンション向けに対応」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000015181.html



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