[DX事例66]スマートグラスをつかった業務効率化_東京ガス株式会社
ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。
このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。
今回はエネルギー業界からです。関東圏を中心としたガス提供サービスを行っており、日本最大手のガス会社である東京ガス株式会社のカメラを使ったDXです。
現場作業のスマートグラスから、−162℃の極低温化でのカメラ監視まで。東京ガスのDX事例
東京ガスは2020年3月時点で1,195万件の顧客を持つ、日本最大手のガス会社となります。約6.5万kmにも及ぶガス管は関東圏全域を網羅しており、それらの保守・運用にかかるメンテナンスも非常にコストがかかっているものとなります。
東京ガスはカメラを使った業務効率化や省力化対応を行っていますので、今回はそれらの取り組みをお伝えしていきます。
①スマートグラスを使った現場作業の遠隔サポート
ガス管メンテナンスなどの現場作業は、現場の施工担当者と事業所にいる責任者とがコミュニケーションを取りながら作業を進めます。従来はPHS等による手段しかなかったため、詳細状況を伝えるのに苦労し業務効率が悪化している状態でした。
そこで東京ガスはヘルメットに装着できるスマートグラスを導入し、屋外(現場)と屋内とで音声だけでなく映像も共有してコミュニケーションが取れるようにしました。
現在は在宅勤務中の責任者が現場施工担当者に指示をする際にも利用されており、コロナ情勢における外出がしずらい状況や、働き方改革の一環としても活用が進んでいるとのことです。
②車のナンバーを自動認識して入構管理を効率化「車番認証システム」
LNG基地や発電所には毎日大量のローリー車や工事車両が出入りしており、それらの入構管理は警備員が対応していました。特に出入りの激しい朝は受付待ちの車両が行列となっていたため、車番を認識するカメラを使ったシステム「車番認証システム」を開発しています。
「車番認証システム」は入構ゲートにあるカメラがナンバープレートを自動認識し、事前申請された車両情報との自動照合を行います。照合されたらゲートを開閉し、入構記録・受付記録を自動で行うことが可能なため、入構管理が効率化されました。
③-162℃のLNGタンク内部を観察可能なフルハイビジョンカメラを開発
LNG(液化天然ガス)タンクには液体のLNGが貯蔵されていますが、液体の状態を保つために-162℃の極低温で運用されています。
LGタンクは長期間の安全性が確保されているものの、定期的に実施するタンク内部の点検は長期間の運用停止や多額の費用がかかっていました。東京ガスは2000年頃からタンクを稼働したまま内部の状況を確認するカメラ開発に取り組んでおり、現在では80m級の大型タンク内部の広範囲かつ、フルハイビジョンでのカラー撮影ができる観察装置を開発しています。
本装置は照明装置と撮影装置の2種類で構成されており、低温仕様のケーブルリールを通してタンク内を移動させ、内部の詳細画像を撮影します。
LNGタンクだけでなく、LPGやエチレンなど他の低温タンクへの運用が可能ということで、産業界全体への活用が可能だそうです。
DXと経営戦略の関連性について
東京ガスはグループ経営ビジョンである「Compass2030(2019年11月)」を打ち出しており、その施策の一つに「デジタルシフトとリアル補強の両輪で価値創出を加速」というものがあります。
お客様一人ひとりに合わせた最適なサービスを提供していく「価値共創」エコシステム構築のために、デジタルシフトとリアルでの接点を組み合わせて、社会課題解決型ビジネスを進化していきたいとのことです。
DX事例では紹介していませんでしたが、東京ガスは英国の「オクトパスエナジー社」と戦略提携を行っています。2021年11月からは新会社「TGオクトパスエナジー株式会社」を設立し、電気小売事業に関する新サービスを開始しています。
オクトパスエナジーは、再生可能エネルギープラン/時間帯別プラン/市場連動型プラン/ 業務用(低圧動力)プランなどの様々なプランを組み合わせることで、200種類以上の多彩な料金メニューを用意しており、英国以外にも事業エリアを急速に拡大しています。
東京ガスはオクトパスエナジーのデジタルノウハウを活用することで、数種類しかない電力料金メニューを拡充し、柔軟かつ顧客にわかりやすいサービスメニューを作り出すことで、新たな顧客体験を浸透させていきたいとのことです。
東京ガスはITの活用や他社との協業により、業務効率化だけでなく、顧客一人ひとりに合わせた最適なエネルギー・サービスを提供し、お客様満足度・共創価値の向上のための活動を続けています。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回はカメラを使ったDX事例の紹介でした。
以前のJFEの記事では超高温の高炉内をシミュレーションしていましたが、今回は極低温のタンク内の撮影でした。こういった「そもそも通常のやり方では観測ができない」「人が立ち入れない危険エリアの観測」に対しても、IT活用が有効ですね! 同じように「人の目でないと監視が難しい業務」というのもITで自動化できれば、省人化や働き方改革にも繋がります。是非皆さんの会社の業務で効率化できる箇所がないか探してみてくださいね♪
次回の記事も楽しみにしていただければと思います。
タナショー
参考にさせていただいた情報
東京ガス株式会社 HP
https://www.tokyo-gas.co.jp
東京ガス株式会社「統合報告書2021年3月期」
https://www.tokyo-gas.co.jp/IR/library/pdf/anual/21japanese.pdf
東京ガス株式会社「Compass2030(2019年11月)」
https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20211126-02.pdf
東京ガスグループ「2020-2022年度 中期経営計画」
https://www.tokyo-gas.co.jp/vcrhf800000048q0-att/20200325-01.pdf
PRTIMES「エネルギーの世界に、変革を。お客さまには、愛のあるパワフルなサービスを。」オクトパスエナジー、ベータ版でサービス開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000087134.html
octopusenergy BETA HP
https://octopusenergy.co.jp
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