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IoTが組み込まれた産業機械を提供することで顧客の「スマートファクトリー化」を後押し!〜DX事例16_株式会社IHI〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。
このnoteでは経営者にITを身近に感じてもらうための記事や、IT活用のヒント、経営者へのお役に立ちそうな記事をお届けしていきます。


今回は三大重工業の一角であり、産業機械から航空エンジンにロケットまで、幅広い製品を手掛ける「株式会社IHI」のスマートファクトリーに関するDXです。


「スマートファクトリー」とは何か?

IHIにふれる前に、製造業におけるDXの一例としてあげられる「スマートファクトリー」について解説します。
初出はドイツの国家プロジェクトである「インダストリー4.0(第4次産業革命)」になります。この国家プロジェクトは製造業のデジタル化を大方針としており、AIやIoTなどのIT技術を積極的に取り入れ、製造業をIT活用することで抜本的改革していくことを目的としています。

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そして、インダストリー4.0の実現するための中心的な考え方が「スマートファクトリー」となります。「考える工場」と言われることもありますが、上図にも挙げた設計原則をもとに「製造ラインの自動化・省力化」や「作業者の動線・バイタルチェック」、「製品検品の自動化」、「サプライチェーンとの連携による適正な在庫管理」などがスマートファクトリーの定義となります。メリットについては以下のとおり。

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IHIが提供する、IoTを活用した製造装置のアフターサービスとは何か

冒頭でも記載したとおり、IHIは多種多様な製品を提供していますが、工場で使用する産業機械も各種手掛けており、それらにはスマートファクトリー化に必要な機能が用意されています。それがアフターサービス用の共通プラットフォームである「ILIPS」となります。
「ILIPS」はIoTを活用しており、IHI製品の日々の稼働運用データの収集とモニタリング、データ分析が可能となっています。IHI製品導入した企業はこれらの収集データを活用して装置点検や故障の予防保全をすることができます。「ILIPS」は2014年からスタートしたサービスですが、年々改良を繰り返しており、下記のような機能も追加されています。

①API機能の追加
APIを利用することにより、他社のBIツールと連携して高度な分析を行ったり、IHI製品だけでなく他社の産業機械も含めた統合的な情報収集することで、工場内の生産状況を見える化する。
API:Application Programming Interface。共通化・一般化された接続方式、認証手続きにより、外部システムまたはサービスと連携することができる機能。全く関係ない外部会社のシステムとデータのやり取りができたり、外部サービスの機能をAPIで使う(借りる)ことで自社システムに組み込むことが可能。

②IoT通信、制御ユニット「CSIGS」の導入
産業機械に本ユニットを取り付けることにより、現状よりも更に詳細な稼働データや、振動センサー、速度センサーの情報を取得したり、ILIPSへのデータ通信機能を備える。このユニットから得られるデータ結果を装置にフィードバックすることも可能であり、フィードバックを活用することで装置の更なる性能向上が期待できる。

③汎用的かつ安価なデータ収集端末(エッジデバイス)の導入
小型の汎用機器や、広大な工場敷地内での分散的に配置された装置間のデータ収集を目的とした安価なデータ収集端末。ワイヤレスでの通信機能を実装予定であり、大型構造物や工場まるごとのデータ収集を目的としている。

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株式会社IHI「IHI 技報 Vol.60 No.1 ( 2020 )」より抜粋


IHIはこれらのサービスを組み合わせることにより、IHI製品・IHI外の製品の区別に関わらず、工場内の全てをデジタル化(=スマートファクトリー化)するための仕組みを提供しようとしています


まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はIHIの商品サービス紹介となりました。いつもの、「DXで自社を改革した」DX事例とは少し趣旨が異なりますが、「スマートファクトリー」「API」などの話題に触れたかったので紹介させていただきました。

製造業において頻出の課題に「多品種少量生産の実現」や「ニーズの多様化に合わせた商品のスピーディな開発」がありますが、人海戦術や設備投資をしようにも、人材確保の難しさやROIの観点から達成は容易ではありません。やはり、今回紹介したスマートファクトリーなど、IT活用によるデジタル化がどうしても必須なのだと思っています。
例えばですが、これまで感覚に頼っていた職人の技術を、IoTやAIで代替することで技術継承していくことも今後増えていくのではないかと思います。長年にわたって培われてきた技術がデータとして継承され広く活用されることで、日本のものづくりが活発化する一助になったらいいですね♪
次回も楽しみにしていただければと思います。
タナショー


参考にさせていただいた情報
株式会社IHI
https://www.ihi.co.jp
株式会社IHI 「IHI 技報 Vol.60 No.1 ( 2020 )」
https://www.ihi.co.jp/var/ezwebin_site/storage/original/application/07adce32c6d4f56b94e755bc71dc5020.pdf
株式会社IHI 「IHI 技報 Vol.59 No.2 ( 2019 )」
https://www.ihi.co.jp/var/ezwebin_site/storage/original/application/45b4168bbad52f662ee68f6e4a5c110f.pdf
株式会社IHI 「IHI 技報 Vol.56 No.4 ( 2016 )」
https://www.ihi.co.jp/var/ezwebin_site/storage/original/application/8eed33a8ba57a98aa0ec7b01f8a21c77.pdf
ビジネる+IT「IHI 村野 幸哉 執行役員に聞くIoT戦略、グループ共通プラットフォームの狙いと成果は」
https://www.sbbit.jp/article/cont1/33198
デジタルトランスフォーメーションチャンネル「インダストリー4.0とは?製造業の未来を担う第四次産業革命」
https://www.digital-transformation-real.com/blog/industory-40.html
やってみようUpr「インダストリー4.0とは?製造業を自動化・自律化する新たな産業革命」
https://www.upr-net.co.jp/info/iot/industry_40.html



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