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chapter.01(つづき) : フィードバックセッション

2021年9月3日(金)8日(水)、chapter.01フィールドワークの一環として、以前インタビューに協力いただいた方々との「フィードバックセッション」を実施しました。

この「活動リポート」では、2021年7月にUCI Lab.と京都工芸繊維大学 櫛研究室の共同研究として開始した「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクトの活動風景をいち早くお伝えしていきます。
「避難所の衛生ストレス」とは?→「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクト公式サイト


フィードバックセッションとは

フィードバックセッションとは、デザインの過程で協力いただいた方に、その内容に基づき生まれたアイデアをご説明して、率直な感想や疑問点や追加アイデアなどのレスポンスをいただくものです。

実は、このプロジェクトが本格スタートする前、京都工芸繊維大学大学院の「共創デザインアプローチ」の授業で、被災経験者や被災地ボランティアの方々にオンラインインタビューを行い、そこからソリューションアイデアを創造する「0周目」のプロセスを実施していました。
今回は、この時に生まれたアイデアを題材にした対話セッションです。

では、なぜ一度話を聞いた人とまた(何度も)対話をする必要があるのでしょうか。デザインはある技能を持つ専門家がカタチにするものでは?

上平崇仁さんの著書『コ・デザイン』(NTT出版、2020年)では、実際の利用者たちや利害関係者たちがデザインの過程に積極的に加わり何らかの役割を担うことで3つの力・視点が生まれると述べています。

① 見落としがちな視点を提示する力
② 領域の壁やしがらみを破壊する力
③ 当事者自身を力づけ、持続させる力

デザインプロセスを特権化し閉じることなく、民主化してひらいていくことで、つかい手とつくり手の間に対話=相互作用が生まれます。
そのダイナミズムが、今回の避難所の衛生ストレスのような複雑な問題に対しても、予定調和を超えたデザインに到達する可能性につながるのではないでしょうか。

今回のフィードバックセッションは、今回のプロジェクトに協力いただいている現場の皆さんとの、これからも続いていく対話の1往復目です。

2021.9.3 2011年東日本大震災 宮城県・南三陸町 被災経験者:三浦貴裕さん、小野寺翔さんにプレゼンテーション

2021年初めに実施された「共創デザインアプローチ」の授業でお話を伺った宮城県・南三陸町で被災された三浦貴裕さん、小野寺翔さんご両名に再びお時間をいただき、授業でデザインした複数のアイデアを大学院生がプレゼンテーション(オンライン)しました。

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宮城県・南三陸町の被災経験者:三浦貴裕さん(左)、小野寺翔さん(右)

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学生からのプレゼンテーションを真剣な眼差しで聞き入っていた三浦さんと小野寺さん。プレゼンテーションが終わると早速、アイデアをデザインしたチームにたくさんの質問や感想を話されている様子がとても印象的でした。違う避難所を経験したお二人からのフィードバックによって、同じ災害でも地域や避難所によって使える/使えない資源が大きく異なることを実感しました。また、お伝えしたアイデアをきっかけに、当時の水環境やニオイの状況についてこちらから改めて質問する場面も。以前のインタビューよりも細かい状況やエピソードをお伺いできました。

2021.09.08 2016年熊本地震、2020年人吉市豪雨災害ボランティア:坂本洋展さん、橋村さくらさんにプレゼンテーション

日を改め、同じく授業にて貴重な経験談を話してくださったの災害ボランティアの橋村さくらさん、坂本洋展さんにも、お二人のお話からデザインしたソリューションアイデアの数々を、学生からプレゼンテーション(オンライン)させてもらいました。

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橋村さくらさん(左)と坂本洋展さん(右)は、今も熊本で街の復興や活性化のための活動をされています。

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橋村さんと坂本さんからは、昨年の水害におけるコロナ禍での避難所の状況のお話やそれを踏まえてのアイデアへの追加アイデアなどをいただきました。

現場の声をもとに、さらなる分析工程へ

9月下旬から、櫛先生の研究室では、8月のフィールドワーク (オンラインによる代替)と、今回のフィードバックセッションを踏まえて、さらにトピックの抽出や整理、考察を進めています。

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対話の継続で、ひらかれたデザインに

折角フィールドに出て、現場の空気を感じ生の声を聞いても、一度の見聞を“客観的なデータ”に加工して、プロジェクトメンバーだけで分析や創造を進めると、こちらに都合の良い解釈や、現場を誤解して進めることになりがちです。
そこで重要になるのが、今回のようなフィードバックのプロセスです。現場の話から何を受け取ってどんなアイデアを考えたのか、それをまたご本人にお伝えして率直なフィードバックや質問アイデアをもらい、理解やアイデアをより豊かにしていく。
しかも何度も。
それが「共創」の実践であり、現場から乖離しないデザインになるのだと思います。

今回も本プロジェクトの活動に快くご協力いただきました皆様には心よりお礼申し上げます。いただいた貴重なご意見は今後も「避難所の衛生ストレス解決」のための大切な資料として活用させていただきます。

これからも「活動リポート」と題して、いち早く本プロジェクトの活動風景をみなさんにお届けしてまいります。

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