脱走失敗で布団部屋の布団に挟まって眠る
わたしはずっと家が好きだ。
家が好きというよりも、外が怖いから出たくないので、必然的に家が好きなことになる。
子どもの頃は特に、自分の知っているところ以外は外に出たくなかった。
だから、保育園も嫌いだった。
毎日毎日、なぜあんなところに行って過ごさなければいけないのか分からなかった。
母が働いていたから仕方ないと言われても、母の仕事場は祖父のお店。
一緒に行って何が悪い!と思っていた。
嫌々、通っているので、当然、保育園では機嫌が悪い。
悪いだけなら良いのだが、帰りたくて脱走する。
そして、連れ戻されて、布団部屋に閉じ込められていた。
「出せ~!出せ~!」と扉を叩いて大暴れ。
それでも開けてもらえず、泣きわめいて疲れて、布団に挟まって眠る。
目が覚めたら、真っ暗なのと帰りたいのとで、また大泣きする。
そんな繰り返し。
帰りたいのに、お迎えは誰でもいい訳ではない。
父に迎えに来て欲しいのだ。
だから、「おとうさ~ん!」と叫んでいた。
父のことはあまり好きではなかったのに、なぜ父が良かったのか分からない。
多分、車で迎えに来てくれるから泣きながら歩いて帰らなくても良いと思ったのだろう。
毎日、嫌々、保育園に行き、帰りたくて泣いて暴れて布団部屋。
トイレに行きたいと言って、そのすきに、また脱走して連れ戻されて布団部屋。
泣きつかれて布団に挟まって眠る。
本当に布団部屋だったのかも定かではなくなったが、そんな想い出しかない保育園が妙に懐かしく感じることがある。
守られていた時代だった。
感謝いたします。