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つくばのサワガニ【生ラブ#27】

先日,旧筑波山郵便局へ行ってきた。今は使われていない昭和14年に建てられた古い木造の局舎だ。年に2回,友人が公開日を決めて中を見学できるようにしてくれている。

この郵便局の面白いところの1つは車では行けないところだ。つくば道と呼ばれる筑波山神社の参道に面しており、道の途中で石段になってしまう。そのため私はいつも一の鳥居まで車で来て、そこから30分ほどのプチ登山をすることにしている。

一応石段の場所以外は車一台分通れる道路になっている。くねくねした山道ではなく、参道なので神社まで山を垂直に登る感じ。なかなかの急な斜面を車が下りたり登ったりするのは迫力がある。

その道の両脇には筑波山から流れる水路があり、その奥に民家がある。この水路にサワガニがいるのだ。

水路をのぞき込み、目を凝らせばけっこうすぐに見つかる。岩の陰にひそんでいたり、時には大胆に道を歩いていたり。サワガニがいる暮らし。いいなぁ。チョロチョロと心地よい水の音と、斜面から見渡せる関東平野。そしてサワガニ。私はすっかりこのつくば道が気に入ってしまった。


つくばへ来てから何かとサワガニとの接触が多い。別の筑波山麓の沢で出会ったサワガニは、脱皮直後だった。つかんだ瞬間ぐにゅっと柔らかい。

カニは体の外側を硬い殻でおおっているため、成長に合わせて脱皮をしなければならない。脱皮直後は体を大きくするため柔らかく、非常に無防備な状態なのだ。ごめんねごめんねと言いながら、そっと石の下に戻したが大丈夫だっただろうか。

また、とある場所にはなんと青色のサワガニがいることが分かった。青色タイプのサワガニは、稀にいることはいるのだが、茨城県での正式な記録はないそうだ。もしかしたら別種なのかもしれないなんて話もある。今後の調査に期待だ。私も色々な場所で探してみたい。


人と生き物が静かに共存している様を見ると、無性に嬉しくなる。つくばは他所から見ると、近代的な研究学園都市というイメージなのかもしれない。でも実際は筑波山の恩恵を等しく受けながら、人もサワガニも豊かに暮らしてきた自然溢れる場所だ。

この街に来てよかった。自分が好きな場所を自然を生き物を未来へ残していきたいと強く思った。


☆生き物との出会いや体験を綴るエッセイ連載中

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