【ほねなしエッセイ#8】吸い込まれそうなくらい青い奄美大島の海と黒いナマコ
海の生き物好きを自覚したのは中学2年生ぐらいにテレビでタコクラゲの特集を見たときだったけれど(#2参照)、それ以前から海の生き物に惹かれていた証拠が発見された。
実家の自分の部屋を片付けていた時に出てきた、奄美大島への旅日記。
奄美大島へ行ったのは小学6年生の時。しかもまさかの一人で。3つ上の姉が高校受験を控えていたため夏の家族旅行がなくなったので、母が子供だけの体験学習ツアーに申し込んでくれたのだった。
初めての飛行機に初めての南の島。ワクワクドキドキのはずだったのに,まさかの台風直撃。記憶にあるのは飛行機の小さな窓から見えた,風で横倒しになるヤシの木。暴風の中ちゃんと着陸できるのかという非常にスリリングな旅の始まりだった。
台風は次第に遠ざかっていったものの,雨なので半潜水船やカヌーはことごとく中止。それでも私の日記には部屋でカニが行方不明になったとか,野生生物保護センターで見たアカヒゲという鳥が可愛かったとか,絵付きで生き物のことばかり書かれている。
3日目の日記にはヒトデの絵も登場!おそらくカワテブクロ。私が初めて描いたヒトデはこれなんじゃなかろうか?
4日目のことは記憶にも鮮明に残っている。やっと海で泳げた日だったから。
奄美大島の海は本当に青い。そして吸い込まれそうなほどの透明度。船から降りて泳いでいいよ!と言われたものの,透明すぎて落ちてしまいそうで怖い。
珊瑚礁の中をザ・南国という感じのカラフルでキレイな魚が泳いでいる。私もあの中に混ざりたい。勇気を出して海に飛び込もうとした時,黒々としたものが目に入ってギョッとした。
ナマコだ。細長い黒いナマコが3匹ほど海底に群れている。そのナマコがあまりに黒くて,周りのカラフルなものとのギャップに驚いた。怖さと興味とが入り混じって,しばらくそのナマコ達を眺めていたことを覚えている。
その後も貝殻を拾ったり,大きなヤドカリを見つけたり,カニ穴を掘ってみたり,とにかく生き物と遊んでいたようだ。
運命なのか何なのか、私はこの後10年おきに奄美大島へ行くことになる。
2回目は大学院に入って初めて調査船に乗った時。船で奄美大島へ立ち寄ったのだ。小6の時の記憶はほとんどなかったけれど,なぜか「おかえり」と言われているような温かい気持ちになった。
3回目は昨年,家族で。なんと息子も初めての飛行機に初めての南の島は奄美大島ということになった。普段は抱っこ抱っこで怖がりの息子が自ら海にジャブジャブ入り,潮だまりにいた小さな魚を掴み取りしたことには驚きだった。彼の心にも何か残ることはあっただろうか?
また10年後と言わずすぐにでも行きたいぐらいだけれど,どうなることやら。
それでも奄美大島は私と海との繋がりの原点であり続けるだろう。
☆☆生き物からのラブレターを読み解くため、生き物との出会いや体験を綴るエッセイ連載中☆
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