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『おふくろの味』になるのかしら

我が家は自炊らしい自炊をほとんどしていない。かつて娘の離乳食もベビーフードを頼りまくり、今3歳半になった娘の食事も親の食事も、外食・レトルト・冷凍食品のオンパレードである。
それが安いとは思わないものの、自炊をすれば安くなるのかはまた別の話というか……それなら2分のレンチンで出来るものの方が楽というか……良いとは思わないけど、別にいいじゃんとも思いつつ……(ごにょごにょ)。

その程度の料理力ではあるが、娘に時々作るものがある。
ざっくり言えば、ウインナーを炒めて、上から溶き卵を流し込んで卵とじにするやつ。まぁ絶対美味い。大人も子どもも好きに決まってるやつ。

昨日も娘に夕飯のメニューを尋ねた時に、それが良いと言われた。
「卵とウインナーのやつ」。
はいはい、作りましょ。それだけじゃなくてお米もちゃんと食べるのよと言いながら、ボウルとキッチンバサミを取り出す。
その間に、娘が踏み台を運んでくる。

ボウルに卵を落とすのは、ママ。
そこにカブの葉。みじんぎりクラスに刻んで冷凍したものを、パラパラ適当に入れる。この細かい緑色にどの程度『野菜』を名乗らせていいかは怪しいが、まぁなんか野菜を食べてる気にはなれる。
それらを菜箸で掻き混ぜるのは、娘。
ボウルを必ず左手で押さえるようにという指示は8割方守られる。一生懸命卵をかきまぜるという仕事に参加できるのが楽しいのだろう、真面目な顔をして混ぜている。最近『白身』を覚えたご様子。
その横から、ボウルに調味料を入れるのはママ。まずは砂糖。スプーン(大さじでもなく、普通にスプーン使っちゃったりしてる。適当なのだ)ですりきり1杯。娘が「おさとう食べる」「(卵に入れるより)先に食べる」と言うのを「あなたが口にスプーンくわえたらお砂糖入れにスプーン入れられないでしょ。先に卵にお砂糖混ぜてから」と制する。何度やっても、作るたびに毎回このやりとりしてる。で、スプーンの端に残した砂糖を嬉しそうにパクッと食べる。美味しいねぇ。
それから、みりん。入れすぎるとアルコール感があるから、ちょっとだけ。醤油。塩。たまに塩も「食べる」って言われる。はいはい、ちょっとだけだよ。
……えっ、分量?全部適当だよ。
なんとなくだよ。

そこまで入れたら、フライパンに少し油を引いて、コンロの火をつける。
ウインナー(これは業務用だと美味しくないなって思う)を2本、ハサミで薄めにカットしていって、そのままフライパンに放り込む。両面に焼き色がついてきたら、頃合いだ。娘ちゃんそろそろ卵かきまぜるのおわりにしてー。えっ、まだ混ぜるの?

焼けたウインナーの上から卵を流し入れて、固まったらおしまい。ウインナーの塩っ気と、卵の優しい甘みが良いバランス。

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娘と一緒にこれを作った時間を、20年後に思い出してほろっときたりするのかなぁと、なんとなく思ったので日記に残すことにした。踏み台の上で一生懸命卵を混ぜる娘の後ろ姿を、ずっと覚えていたい。
「昔お母さんがよく作ってくれた」なんて言ってもらえそうなメニュー、正直あまり思いつかないんだけど。これくらいは、ずっとずっと作ってあげたいなぁ。

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