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パパと私とカメラの話。

昨日、お義母さんが手作りのスタイを郵送してくれた。ノーマルなデザインのものが1つと、セーラー服のような襟がついたデザインに、リボンが着脱式でデザイン変更できるという凝ったものが1つ。
私は絵は描けるけど手芸枠はボタン付けくらいしか出来ないので、素直に感心と感謝の気持ちしかない。
やー、めちゃめちゃかわいいなこれ。

こちらからすべき御礼は金銭ではなく、娘がそれを装着している超絶カワイイ姿を写真や動画に収めて、あちらにお届けすることだろう。
いそいそと娘にスタイを装着すると、パパがサッとスマホを構えた。
お、君が撮るかい。いいぞいいぞ、日頃ママが写真を撮ることの方が多いので、パパ目線の写真が増えるのは実は結構嬉しい。


娘はセーラースタイを着用したまま、ノーマルスタイを手元でいじって遊んでいる。
セーラーの襟を美しくなびかせながら、まるで編み物でもするかのように手元で布をくるくると回す様は、小さな令嬢のようだ。うるわしゅうございます、お嬢様。
ただ、お顔が下を向いてしまっているのと、手元の布で肝心のスタイが隠れてしまっているのがちょっと勿体ない。パパもかわいい笑顔が撮りたいと思ったのだろう、呼びかけたり指パッチンをしたりして、気を惹かんと苦心する。

パチパチッ。
片手で連続指パッチンができるパパは器用だなぁといつも感心する。ちょっと羨ましい。
パチパチパチン。
なかなか顔をあげない。あっあげた。キョトンとした顔を数秒して、またもどした。欲を言えば、もうちょっと笑顔だと嬉しいけど。
娘ちゃーん。こっちみてー。
パチパチパチン。
あっ、今ちょっといい顔した。また戻した。
よし、ママも補助に入ろう。
パチパチ、拍手。
名前呼び。
最近手に入れたリモコンのおもちゃ。音も出るので色々鳴らす。
娘はあまり反応しなかったり、ちょっと顔を上げたり、少し笑ったり、また俯いたり。
まぁでもこれだけの時間があれば、何枚かはいい写真が


カシャッ



え?


「うーん、パチパチしながらは難しいなー」


いやいや、待て待て。
君あの数分の間、ひょっとしてシャッター切ったの今だけ?私の補助、無視かい。いやまぁそれは私が勝手にやったことだし、自分で興味を惹きたいのもわからんではないけど、それにしても折角片手でパチパチやれるのに、どうやらパチパチして、娘が顔を上げたのを確認してから両手持ちに直して、構えて、シャッターを押しているように見える。
いや遅い、明らかに遅い。そりゃ娘の興味がスタイに戻っててもしょうがない。最早『パチパチしながら』という言葉にも疑問がわく。
写真下手くそか?????


偉そうなことを言っているようだが、私だって、別に写真が上手い訳ではない。
……と、言いたいところだけれど、私の撮った写真が好きだと言ってくれる人は結構いるので(有難いことです)、一応「ちょっと上手いです」くらいは自負している。
ただ、私の『上手い』は、被写体に応じて毎回正しいカメラ設定をやり直すような『上手い』ではない。元々カメラを販売する仕事をしていたこともあって、

①カメラの基本的な機能等の名前はわかる
②スマホと一眼(出来れば良いレンズも)の基本画質が全然違うことを理解している
③漫画を描いて鍛えてきた構図力が多少なりともある

の3つのスキルを駆使しつつ、とりあえずシャッターを切りまくっているだけである。設定はほぼオート。正確には、プログラムオート、明るさ+1.7くらいで撮りたいなとか程度の設定をするならフルオートよりはそっちの方がいい。でも、ほんとに弄るのはその程度。後は全部カメラ様々だ。
最近では、レンズ交換すらろくにしていない。キットレンズ(標準ズーム)、地味に優秀なんだよなぁ。単焦点(換算50mm)くらいは時々使うけど、ほんとはもうちょっと広角での単玉が……


……といった、カメラ講座を開きたい訳ではないのだ。
別に、パパがスマホで撮る、何の設定もしてない、それはいい。全然いい。比べたら絶対私のミラーレス一眼の方が画質はいいけど、それはそれとしてスマホならではの良さというものもあるので、私だってパッと撮るのに手元のスマホを使うことは全然あるし、無理に慣れないカメラに手を伸ばせなんて言うつもりもない。
折角セーラーの襟が可愛いんだからちょっとナナメから撮って前後の襟を両方見せた方が可愛いんじゃないの、とか個人的には思ったりするけど、でもそれだって本人の好みでいい。真正面からの構図はありきたりではあるけどパパが一番かわいいと思う『娘をまっすぐ見つめる構図』でもあるのだから、それはそれで絶対正解だと思う。

ただ、それにしたってあまりにも己の撮影能力を高く見積もりすぎてはいないだろうか。「ここだ!」と思う瞬間にカシャッとやれば一発でいい写真が撮れると、多分彼は無意識に信じている。
そんで正直、カメラに不慣れな人ほどその傾向があるんじゃないかと私は思っている。我が家のパパが極端に下手というのではなく、むしろ一般人あるあるの話なのだ、これは。


随分前に、アメトーーク!という番組で『カメラかじってる芸人』というのをやっていた。いらっしゃった小藪さんが1人『ちょっとかじってる』どころか『ガチ』の人で、品川さんを中心に全員ボロカスにこき下ろされていたのにはちょっと引いたものがあったのだけれど(「かじってる」なんだし、もっとライトに楽しませてあげてほしいと思う)、
それはそれとして、小藪さんが「3000枚撮って、その中で2、3枚使えるのがあれば良い」とおっしゃっていた点については今も深く頷くばかりだ。
多分どこのプロカメラマンに聞いても、ほとんどの人に納得してもらえるだろうと思っている。

被写体が動くスピード。
我々が反応できるスピード。
カメラ(スマホ)が演算処理をして記録するスピード。
そういったものは、我々が「今だ!」と思ってシャッターを押すスピードとは全然ズレたものだと思う。
今はカメラ(スマホ)の処理能力も格段に上がってきているので、狙った瞬間が上手く撮れるケースも随分増えたと思うけれど、それはそれとして、上手く撮れたと思ったらブレてたり、狙ってない意外な表情が撮れていたりという経験は、誰にだってあると思う。我々はゴルゴじゃないので、狙った獲物を一発で絶対に仕留めるなんてそうそう出来っこないのだ。
なら散弾銃で数打ちゃ当たる方式の方が、絶対にヒットの確率が増えるではないか。

勿論、後から何十、何百という写真の中から『これ』を選び出すのは面倒ではあるけれど。そんで可愛い娘の写真ともなると、選外となった写真でもなんとなく消せなくて、ものすごくファイルが溜まったりするんだけど。
でも、最高の1枚を選出する作業も、やると結構楽しかったりするんだよ。


今日も写真の中から良いものを選出して『みてね』(家族間写真共有アプリ)に載せる作業に忙しい。
似たようなショットでも、微妙な表情の違いが捨てきれない。
困りましたね、被写体が良すぎるものだから(デレデレ)。

もしかしてパパと私、足して2で割ると丁度いいのかな、なんてチラと思ったりもするけれど、どうせ相手は娘ファンクラブの会員たち。沢山写真を送りつけても喜ぶだけだと認識しているので、やっぱりパパにはもう少し数を打ってほしいなぁと思う今日この頃である。



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