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絵本レビュー:『おもちちゃん』

今日はnoteで語ることなんかあったかなー、なんもねぇなーなんて考えた結果、『娘のお気に入りの絵本』のレビュー記事なんてどうだろうと考えた。またマガジンが増えてしまうな。

今までこれをやってこなかったのは、単純に『絵本はレビューが難しい』の一言に尽きる。
だって、ストーリーが短いから。あらすじ紹介がほぼ本編ネタバレというか、下手すると全文紹介に近い話になっちゃうから。
私がしたいのは「この絵本良かったぜ!新しい絵本に悩むあなたの選択肢として、参考になれば」くらいの話であって、無断転載がしたいわけではない。別にここのnote、1円も私の得にならんし。
でも絵本なので、絵が全くない紹介も難しい。ぐぬぬ。

というわけで、『絵本ナビ』さんのリンクと画像だけお借りする方針にする(じゃあ絵本ナビで良いじゃんって?自分の言葉でおすすめしたいんだよ!)。
これでやれそうな範囲で書いていきます。よろしく。


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というわけで絵本レビュー第1弾は『おもちちゃん』だ。
先に書くと、めちゃめちゃ良かった。みんな買おう。

作者はきたがわめぐみさん。
ご本人のTwitterによると、ご本人の作品の中でも飛び抜けて元気であかるい絵本に仕上がったとのこと。

私はこの方の他作品はまだ読んだことがないのだけれど、この『おもちちゃん』は本当にものすごく明るくて元気な本。看板に偽りなし。

まず、世界観がしっかりしているのが良い。
表紙の裏側(背表紙ではなく、本の中の方)って一般の人にどう言えば伝わるかな……同人誌描く人だと『2ページ目』で伝わるんだけど……あそこに、宇宙が広がっている。そこは『太陽系』ではなく『INE系』。そこの図を見てるだけでもう楽しい。

※追記
後日アリス館さんがこの記事読んで直接お答えくださいました。
「見返し」って言うんですね、勉強になります……!

麦やら米やら、たくさんの星(えのころ星、はよく発想として行き着いたなと感心した。食べ物系で考えるとなかなか思い至らないよね)の中に、『惑星おもち』がある。
おもちちゃんは、そこからやってきて、みんなにおもちの良さを広めてくれるのだ。


で、いきなり半分以上燃え尽きている。

いや開幕からやってくれよる。
すごいなぁ、『宇宙』と『おもち』を組み合わせる過程で『大気圏突入したらおもち焼けるじゃん?』って発想どこからくるんだよ。
天才だよきたがわめぐみ。開幕1ページでかなり心掴んでくるよ。私の。

おもちちゃんはその後、無事着陸。
更に、おもちちゃんの『仲間たち』もスペースシャトルでやってくる。

「うすです!」
「きねです!」
「むしきです!」
「のりです!」
「きなこです!」


全部書かないけど、この倍くらいの『おもちちゃんの仲間たち』が空から降ってくる。この後パラシュートが木に引っ掛かったり、ちょいちょい小ネタが仕込まれてて隅から隅まで楽しい。

更にそこに、

「おーもーちーちゃーーーん!」
「おもちのすきな、ぼくたちです!」

森の仲間たちも集まってくる。
もう餅好きって言っちゃってるじゃん。美味しさを今更広める必要ないじゃんとか思っちゃうけど、それはそれ、これはこれ。アイドルのコンサートのような心地よい熱がそこにある。
彼らの集合を、おもちちゃんが「すばらしい すばらしい」って褒めながらぴょんぴょん跳ねてるの、めちゃめちゃ好きなんだよね。最近娘を褒める時に「すばらしい すばらしい」って言うようになっちゃった。言いやすいんだわ。

さて、いよいよみんなでおもち☆ショウタイムのスタートだ。
手を洗い、米を研ぎ、ボルテージが最高潮に高まってきたところで、


おもちちゃん「ひとばん待ちます」
動物たち「どぅえーっ、そんなにぃ?!(ズコーッ!)」


このテンションの緩急の作り方がほんと上手。急にスンッ……ってなるじゃん、おもちちゃん。この本を読んだ初日、うちの2歳半がここのズコーッでゲラゲラ笑ってた。

夜、うさぎさんたちがおもちを何で食べようかってヒソヒソ相談するんだけど、そこもめちゃめちゃ良い。「ぼくはのりで食べたい!」とか話すのに対する返しが「いいねえ、とってもいいねえ」なのが、優しくてあったかくて、とてもとても好き。
この「いいねえ、とってもいいねえ」も、私の口癖になってしまった。伝染するきたがわめぐみワールド。

そして、次の朝。
を、「あーさでーすよー!」と元気にスタートしてくれるおひさま、そして蒸し器くん。今更だけど、この『おもちちゃん』という本は、絶対に音読してほしい。黙読だけでは得られない栄養がここにある。ただし、私は読み出した頃が喘息が辛い時期で、娘にエンドレスリピートを求められてほんと困った。静かに落ち着いて読むのは難しい本である。完全に振り切って楽しく読む為の本だ(寝かしつけにも向かないので、読む時間は選んだ方が良い)。

餅米を蒸したら、いよいよお餅つきがスタートだ。
ふわふわに蒸された餅米を「おいしそう!」と集まってくる動物の中に、しれっと「おいしーい!」と言ってるクマさんがいる。娘も一緒に読みながら、よくぱくっと食べる真似をしてくる。こちらも作中の小鳥さんになったつもりで、それを「食べちゃった!」と一緒に笑うのだ。楽しい。
そういえばこの本は、全ページ全キャラがニコニコしているのもすごく良い。たまに「どぅえーっ?!」などと驚く顔があるくらいで、泣いたり怒ったりするキャラが全くいない。つまみぐいするクマさんは叱られるのではなく、ことりさんに「食べちゃった☆」とキャッキャされるだけなのだ。めっちゃ良い。

おもちをつく音は『ぺったん』が基本だと思うけど、この本はそれよりも『おもち!』コールが中心だ。バイブスは最高潮、さあみなさんごいっしょに。

娘もよく本に手をついて、ぺったんぺったんしてくれる


おもちをまるめて、大根、きなこ、のりチーズ。さぁみんななにで食べようか。
ついたおもちをみんなで食べて、動物たちがみんな「ほっぺたおちちゃう〜!」と取るポーズがまた可愛らしい。
きたがわ先生、おもちちゃんのLINEスタンプまだ?買うよ???


我が家の2歳児にも大ヒットだけど、普通に35歳児の私にも大ヒットである。たのしーい!
尚、兄弟本たる『カレーちゃん』があるらしい。もうなんか大体内容に想像がつくけど読みたい欲が出てくるなぁこれ。おもちちゃんの後だと物足りなくなったりするかしら……と思いながら絵本ナビを検索したら、これはこれでちょっと想定してない流れだった。内容に想像つくとか軽率に言ってすみませんでした、今度ちゃんと本屋さんを物色します。


あと、きたがわ先生は『おトイレさんびょうきになる』という絵本も出してるそうで、ママ友たちと「トイレが……?」「トイレがびょうきに……???」とザワザワしたところです。
それもそのうち探してみたいなぁ。

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