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『桃太郎』を自由に話す

以前「『人魚姫』を、ツッコミ入れながら娘に話す」という記事を書いた。


娘もあれから随分大きくなったけど(親目線で)、まだまだ『会話』が出来るほどに大きくなった訳ではないので、相変わらず娘に何を語り掛ければいいのかよく分からずにいる。
最近では『絵本』という手口を手には入れたものの、まぁ永遠にそれを読んでる訳にもいかないし、後まぁNHKを中心にテレビを見せることもしてるんだけど、ずっとそればかり見せる訳にもいかないという訳だ。

で、本もなくとりあえず昔話を思い返しながら語り掛けるのを、久々にやっている。起きてる時は3秒しか話を聞いてくれないので(ちゃんと相手を引きつける『絵本』は強いなぁ)、実行するのは抱っこ紐でゆらゆら揺れる寝かしつけ時。つらつらと、娘にとってはよく分からない言葉が紡がれる事によって眠くなったりしないかなと思ったんだけど、そこは案外寝ない。静かに揺れてる方が寝る。うーん、将来『寝る前にまま本を』みたいなの、やらない方がいいんだろうか。


まぁそこは追々考えるとして。
折角なので、記録していく。ある程度マイク入力にしてから読みやすいように編集し直してるので、割とこんな調子で語り掛けてるんだなと思って頂いて結構です。


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むかしむかし、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
これはね、多分日本一有名なじいさんとばあさん。とりあえずじいさんは山に芝刈りに、ばあさんは川に洗濯に行った。ママ、いつも洗濯機ピッってやってるでしょ、あれをね、昔は川でじゃぶじゃぶやってたの。すごいね、ママにはとてもできない。

そんで、ばあさんが洗濯をしてると、どんぶらこどんぶらこと桃が流れてくる。この『どんぶらこ』と言う言葉は日本でここだけしか使わないっぽいけど、全ての日本人が知ってる単語だから早めに覚えておくといい。作者はワードセンスがある。

びっくりしたばあさんは頑張ってその桃を家に持ち帰るんだけど。
洗濯板と洗濯桶とじいさんとばあさんも2人分の洗濯物とさらに、これはネタバレだけど赤ん坊が入っているでかい桃を抱えて、婆さんの体力で家に帰るの、ちょっと無理があると思うんだよ。おそらくなんだけど、この川はもう家のすぐ真裏とかに流れていたんだと思う。

でも、ばあさんも頑張って、とにもかくにも桃を持って帰ってきた。
そんでじいさんと2人で食べようという話になるんだけどさ。これみんなが言ってるとこなんだけど、まぁよく中の桃太郎無事だったよね。帝王切開もビックリ、桃、一刀両断。めっちゃ上手く避けたよ桃太郎。ちなみに臍の緒とかはないと思っていいのかな。人間ベースというより、桃の種子の突然変異説の方が正しいのかもしれない。

まぁそんな感じで、桃太郎が爆誕。
おじいさんとおばあさんもそりゃびっくりしたんだけれど、まぁでも見捨てることもできないしね、育てるしかないね。ちょっと近所の人に説明もしづらいけどどうしたんだろうな、多分田舎暮らしだと思うからすぐに噂が広まりそうだけど。逆にあれかね、隣の家まで1kmみたいなド田舎だったんかね。
とりあえずそこはまぁ実はみたいな顔をしながらうまくごまかしたんだろね。実は拾った桃からとか人に話しても絶対信じてもらえないし、まあ子どもが欲しかったのも確かだし、これ下手すると誘拐事件を疑われちゃう。まだマイナンバーカードも戸籍登録もなかった時代です(多分)、この子がおばあさんの実子ではなく養子ですとか、そういう点は特に突っ込まれはしません。いい時代ですね。

桃太郎は桃から生まれたけれども特に主食が桃という話ではないらしく、普通にごはんを食べて大きくなっていきました。……やだな、桃から生まれたからって言って庭に挿し木されて水だけぶっかけられて育てられる桃太郎。グロい物語になってしまう。


えーと桃太郎の話はそれでいいんだけど、この頃村では鬼が暴れていたんですね。で、桃太郎が「ぼくが鬼を倒してくる」とか言い出すんですよ、当然おじいさんとおばあさんは反対します、そんな危ないことしなくていいからと、もう我が家の可愛い息子だから、普通に安全第一で家にいてくれっておじいさんたちは言うんだけど、桃太郎は頑として聞きません。ママもね、娘ちゃんが同じこと言い出したらまぁ確実に反対するね。せめて武芸に通じているという根拠を何かしら立ててほしいし、でも空手チャンピオンだったところで、やっぱりそんなことは国の偉い人に任せておくべきではってまだ反対しちゃう。というか国の偉い人たちマジで何やってたんだろうね、ダメな政治家だね。
でも桃太郎は自分が行くと言って聞きません。おじいさんおばあさんはもう若いパワーに押し負けて、せめて旅の支度をと考えます。

おばあさんはきびだんごを作ってくれました。
おじいさんは日本一と書いた旗と服を。

いや待って、おじいさんのセンスがやばい、明らかにおかしい。
とても鬼を退治しに行くための装備とは思えない、その旗で多分位置がバレるので、早めに捨てた方がいいと思う。名の通った大軍勢ならその旗で威圧にもなるんだろうけどなぁ。
でも、桃太郎は優しかったので、おじいさんの気持ちも無駄にしません。もらった日本一の旗とおばあさんのきびだんごを持って(できればもうちょっと武器とかを揃える方向にね、おじいさん達は頑張ってほしいなと思うんだけど、予算もあるのでしょうがないということにしよう)、後は立派な刀を1本用意してもらって、桃太郎は鬼ヶ島に向かいます。


さて、桃太郎は出先で犬に出会います。

犬は言います。
「桃太郎さん桃太郎さんお腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな。家来になります」

だんご1つで家来になってくれる犬、やばくないか。
命を粗末にしすぎている。あるいは、この団子の魅力が異常。
(『コミケ童話全集(作者:おのでらさん)』にそんな感じの解釈あったな)

犬をきびだんごで仲間にした桃太郎。
次は猿がやってきます。
「桃太郎さん桃太郎さんお腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな。家来になります」

今度はキジもやってきます。
「桃太郎さん桃太郎さんお腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな。家来になります」

でも一応、犬も猿も雉も、多分食べて平気な物質だよねキビは。
もしそこまで考えておばあさんがだんごを作ってるんだったら、なかなかすごい話だなと思う。これチョコ団子とかだったら犬にあげることができなかったからね。おばあさんが優秀。おじいさんも見習って。



少ないながら無事お供が出来たので、桃太郎は鬼ヶ島に向かいます。
最近ママ、ワンピース読んだばっかりだからね。世界政府にロビンちゃんを助けに乗り込んでいく麦わら海賊団も少数精鋭だったよねとしみじみしちゃう。いやまぁ、ワンピースはなんだかんだ、もうちょっと現地で仲間を増やしていくけど。流石に桃太郎は少数精鋭すぎると思うけど。

でもたかが動物と舐めてはいけません。
犬はかみつき、猿はひっかき、雉は目玉をえぐります。いや雉えっぐいな。1匹だけちょっと方向性がやばい。
……あっでも待って、ひょっとして犬、狂犬病を持ってる可能性ある……?(名推理)

……娘ちゃんもね、野犬に会ったら近づいちゃいけないよ。
走って逃げると追いかけてくるから、じわじわ逃げるんだよ。
犬、かわいいけどね。

後ね、桃って魔除けの力があるんだって。
なので桃太郎もなんかそういうチートパワーを持ってたんだと思うんだ。
対人間はどうか知らんけど、鬼に対してはめちゃ強みたいなステータス持ちだった可能性があるね。


そんなチート能力をもって、鬼、殲滅。
桃太郎は奪われた宝を取り返して……いやなんか、絵本とかで見る宝ってめちゃめちゃえぐい量の宝なんだけど、あれがあののどかな村に元々あったものだとは思えないんだよな。多分、鬼が元々所持してた宝もまとめて押収している。税務署か???

そんでね、物語はめでたしめでたしって終わるんだけど、この方式は現実で行うと、多分後々鬼サイドからの報復がやってきて泥仕合になるよ。鬼VS人間の全面戦争に発展します。歴史を紐解くと、そういう未来がちゃんと予測できるので、歴史の勉強ってとっても大事だよ娘ちゃん。
一方的な略奪と殲滅は大抵良い結果を生まないから、娘ちゃんならどうすればいいか、また考えていこうね。そのうち。


おわり。

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