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SNSと交流分析。

交流分析という言葉をご存知でしょうか?
E.Berneによって提唱された、心理学の理論のひとつです。
個々の自我の特徴と、それに基づいた他の人とのやりとりを考察する理論で、比較的簡便でわかりやすいことから様々な分野(司法、ケースワーク、福祉、宗教など)で用いられています。

交流分析でSNSを眺めると、色々なことが捉えやすくなります。

①自我状態について
エゴグラムという心理テストがあります。質問に答えていくと、自分の考え方の癖の特徴がチャート化されるものです。日本では東大式エゴグラム(TEG)が最もポピュラーです。

エゴグラムの中での自我の要素は、

P(Parent) 親として振る舞う特徴
A(Adult) 冷静に状況判断する大人の特徴
C(Child) 子どもとして振る舞う特徴

にまずは分類されます。そして親と子の要素はさらに、

CP(Critical Parent) 厳格で批判的な親
NP(Nuturing Parent) 保護的で寛容な親

FC(Free Child) 自由奔放で気ままな子ども
AC(Adapted Child) 相手の顔色を見る子ども

に分類されます。

SNSのやりとりの場合、発言内容がどんな自我状態によるものなのかを考えることが重要です。

誰かの発言に対して、『その考え方は間違っている!〇〇することが当然だ!』とリアクションを返すことは、自我状態としては『CPの要素が強い』と考えると分かりやすいと思います。
また真面目な意見に対して、極端に茶化したり煽ったりする発言は『FCの要素が強い』と考えることもできます。

②対話分析とSNS
対話がどのように交流しているかを分析するのが交流分析です。

次に、対話が噛み合っている(相互的、または補完的)か、噛み合っていないか(交錯)、裏がないか(二重構造)を考えます。

相互的な交流は立場が同じ同士(CとC、AとAなど)、補完的な交流はCとPの交流を指します。
概ね相手と噛み合ったやりとりになりますが、補完的な交流は相手が交流を不快に感じると交錯した交流になります(いわゆる逆ギレ)。補完的な交流が噛み合うのは対話している人間同士の信頼関係が成立している場合に限るのです。

交錯した交流はAとして話している相手にCPで返す(クレームや説教くさい感じ)、AにCで返す(逆ギレ、感情的)などがあります。多くはお互いに不快感を感じる交流です。

二重構造は本当はそう思っていないのに、相手が求める答えを返すことです。相手に好かれたいと思って本来の気持ちと違う答えを返すことなどはここに入ります。本当は嫌なのに、彼氏に求められて断れないなどの齟齬は二重構造から生じているとも言えます。

Twitterでデザートに関するやりとりから生じたセクハラ騒動について、交流分析をしてみようと思います。

Oさん(女性) ロウソクを模したデザートの写真をあげる
Gさん(男性) 『ふーん、H(はちみつ)じゃん(ネットスラングの利用)』

Rさん(男性) 『やってることが昭和セクハラ親父』

ここでの流れとしてはOさんとGさんは自我状態としてはA同士で相互的な交流をしています。
そこにRさんが相手を批判するCPとして割って入ります。
OさんはAとして『やめてください』と返します。

これに対して、

Rさん 『された本人がニコニコしてるけど、どう見てもセクハラというパターン。』

Oさん 『セクハラ認定やめてって言ってるのに無視されるし、なぜだかセクハラにニコニコしてるとか言われてたみたい。』『やめて。』

Rさん 『「我々はセクハラ上等のプレイをしてるんです。放っておいてください」「そうです、私は昭和セクハラ親父の体現者です」と居直るならまだ分かる。』

と繋がります。

OさんはあくまでもAとして、理性的にやめてと返します。RさんはCPとして割って入ったはずが、苛立ってFCのように感情や自分の言い分をOさんにぶつけ出します。

こうなったら、対話ではありません。自分の不満や苛立ちをぶつけるだけです。

SNSでは更に、Rさんを擁護してOさんやGさんの人格否定をする人達が絡み始めてコントロールがつかなくなります。

自分と相手のやりとりが噛み合わない時は、自分が一方的に何かを投げていないかを考える必要があります。自分が正しいと思っている人ほど、最初はCPとして論破しようと試み、反論されると苛立ってFCのように感情的に相手を責め立てる傾向があるように感じます。

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