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ヒットの法則:弱みを強みに変える法則

インターネットの普及によって、私たちの消費スタイルは大きく変わりました。大きな世の中の流れをうまく使って、自分たちの弱みを強みに変えたことで、ヒットにつながった商品を紹介します。

サロニア ストレートヘアアイロンの例

美容家電の中でヘアアレンジに使われるヘアアイロン。そのヘアアイロンの中で、人気があり、様々なランキングでも上位にランクインしているモデルの一つが株式会社I-neが「サロニア」ブランドで展開する「ストレートヘアアイロン」です。
後発のサロニア ストレートヘアアイロンが、なぜヒット商品になることができたのか、探っていきます。

「弱みを強みに変える法則」

「弱みを強みに変える法則」は、「自社が持っていないものや、持っているけれども価値がないと思われているものを、強みに変えてヒットにつなげる法則」です。マーケティングではよく聞く戦略ですので、いまさら法則というほどでもないかもしれません。

では、サロニアはどんな弱みを強みに変えたのでしょうか。今回ポイントになるのは、商流です。
家電の販売は、今でこそネット販売も増えましたが、主流はヤマダ電機やビックカメラといった家電量販店です。
https://dpoint.docomo.ne.jp/enq/research/research20220114.html
サロニアはブランド展開10周年を迎えますが、展開当初の10年前は、今よりも家電量販店での購入比率が高かったと思われます。

長い取引の中で、家電量販店と家電メーカーは直接、あるいは中間の卸業者を通してつながりを持っています。後発となるサロニアには、当然つながりはありません。
そこで、サロニアはインターネット・SNSに着目します。SNSを活用し、直接顧客にアプローチして認知を上げ、自社ECサイトや楽天などのネット通販で購入してもらう流れを構築しました。つまり、旧態依然としていた家電業界に、D2Cマーケティングを持ち込んだのです。
家電量販店で販売する大手メーカーは、マスメディアで認知を上げ、店頭に顧客を引っ張ってきますが、SNSであれば、マスメディアほどの広告費はかかりません。自社ECサイトでの販売であれば、家電量販店や中間業者のマージンも不要になるので、売上の効率は高まり、価格競争面でも有利になります。
さらに、ネット通販での販売は購入者の口コミを集めていきます。購入者の生の声である口コミが、購入検討者を後押しして購入につなげ、さらに購入者の口コミが増える・・・という家電量販店では起こらないサイクルを作り出し、ヘアアイロンカテゴリーでトップ商品に育っていきます。
商品の認知が高まれば、家電量販店の店頭でもサロニアの商品が欲しいという人が出てきます。お客様が求めている以上は、家電量販店もサロニアの存在を無視することはできず、家電量販店側から取引を申し出ることになります。この時、すでに販売ルートを確立出来ているサロニアは、強気の商談ができたと思われます。

一方の既存メーカーはこの状況に対して、動きを取れなかったのでしょうか?実は、既存メーカーにはしがらみがあり、自社ECサイトの展開を簡単にはできなかったのです。自社ECサイトの展開は、大事な取引先である家電量販店から売上・利益を、自社ECサイトで奪うことになり、関係が悪化する可能性があるからです。(今は時代の流れもあって、各社自社ECサイトを展開しています。)

まとめると「伝統的な商流を持つ、家電量販店へのつながりを持っていない弱みを、しがらみに囚われない強み」に転換したと言えるでしょう。

堅実なマーケティング

株式会社I-neはもともと、モバイル通販事業とインターネット広告代理事業から始まっています。同社がメディアで取り上げられるときには、独自のトレンド分析AI「KIYOKO」がセットで紹介されることが多いです。広告・宣伝マーケティングには特に強みがあるのでしょう。
「サロニア ストレートヘアアイロン」は、女子高生など初めてヘアアイロンを買う人をターゲットにしていたようです。SNSだけでなく、通学に使うバス停での広告など、ターゲットと一貫性の取れていたマーケティングが行われています。ただD2Cマーケティングを持ち込むだけでなく、最初から堅実なマーケティングが行われていたことも、重要なポイントでしょう。

(画像出典:サロニアHP  https://salonia.jp/product/hair/iron/straight/


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