見出し画像

ヒットの法則:一段上がってみる法則

今日もご覧いただきありがとうございます。
今回は日経TRENDY2023年上半期ヒット大賞(文房具・雑貨部門)を受賞した、リヒトラブの「一冊でも倒れないブックスタンド」を見ていきたいと思います。
(トップ画像引用元:https://www.felissimo.co.jp/fp/783759.html

ヒット商品がヒットした要因は様々あると思います。自分はこう考える、といった意見がありましたら、ぜひコメントに残していただければと思います。皆様のコメントによって、より多角的な分析に繋がると思います。

一冊でも倒れないブックスタンドについて

一冊でも倒れないブックスタンドは、昭和13年に創業、事務用品の製造販売を行う株式会社リヒトラブが、2022年に発売したブックスタンドです。可動するストッパーを持つ独自の構造で、その名の通り、一冊だけ本を置いた時でも倒れないブックスタンドになっています。
22年10月の発売から、半年で年間販売目標の3倍となる約1万7,600台を販売、日経トレンディだけでなく、GetNaviの文具総選挙2023でも大賞を取るヒット商品となっています。

可動するストッパーが本を支える(画像引用元:https://www.lihit-lab.com/products/catalog/a-3575.html)

一段上がってみる法則

さて、この「一冊でも倒れないブックスタンド」がヒットした要因はどこにあるのでしょうか?
僭越ながら、商品企画に携わっている私が想像するに、この商品はブックスタンドとして企画されたのではなく、メディアを収納するツールとして企画されたのではないかと思っています。
世の中の背景として、電子書籍の市場規模が年々伸びており、ブックスタンドのニーズは減少していると思われます(私は依然紙派ですが・・・)。
その一方で、普段電子書籍を読んでいる人も、大切な本は紙の本を買っている人がいます。

アナログの紙であることの価値は、所有欲のような形に変わっていることがわかります。ここまでから、電子書籍に移行が進む中でも、本当に大切な本を少数保管する、というニーズが存在することが予想されます。
ここで、視座を一段高めてみて、メディアという観点で見まわしてみます。すると、本以外の分野でも同様のことが起きていそうな分野があります。CDはSpotifyといった配信に代わり、DVDなどの映像コンテンツもNetFlixなどやはり配信に代わっています。こちらも、本当に好きな音楽や映画はCDやDVDで保管したいというシーンがありそうです。
このように、ブックスタンドではなく、一段視座を高めて、メディアを収納するツールとして考えることで、柔軟性が高まり、対象とする収納ニーズを広げることができたのだろうと思います。
また、この点が、見せる収納といったインテリアの潮流とも合致し、ヒットの後押しになっていると考えられます。

柔軟な考えでユーザーを広げる

アマゾンのユーザーレビューを見てみると、実際に「本だけでなく、Blue-RayやDVDも収納できる」といった声や、中にはパソコンのキーボードを立てて収納している方もいらっしゃいました。
少子化で市場全体が狭くなる中で、これまでの延長のモデルチェンジでは販売数量は当然落ちていきます。今回の一冊でも倒れないブックスタンドは、ユーザーの使用シーンを明確にしながらも、対象を広げることでヒットに繋げる、これからの商品企画で必要な考え方の良い一例だと思いました。
柔軟な考え方をするために、一段視座を上げてみるのはいかがでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?