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誰でも簡単にアイデアを大量生産できる方法とは

今まで会社や学校で「何かいいアイデアない?」と言われて困った経験はありませんか。

この記事では、そんな場面で役立つアイデアを大量生産できるフレームワークとその使い方について説明していきます。


【1】 アイデアを大量生産できるフレームワークとは


アイデアを生み出すフレームワークはいくつかありますが、その中でも特にオススメなのが「SCAMPER(スキャンパー)」です。

「SCAMPER」は、7つの質問で構成されるフレームワークで、質問に答えていくだけで誰でも簡単にアイデアを大量生産できるという素晴らしい効果を持っています。

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※「SCAMPER」は英語で「跳ね回る、駆け回る」という意味があります。

■SCAMPERの起源
SCAMPERは実業家のアレックス・F・オズボーン(1888年-1966年)が「オズボーンのチェックリスト」というものを作ったことが始まりです。これは9つのチェックリストで構成されているアイデア出しのツールです。それをボブ・イバールが改良して7つのリストに変更し使いやすい形にしたものが「SCAMPER」です。


■SCAMPERでアイデアを大量生産できる理由

一般的に、アイデア作りのトレーニングをしていないほとんどの人は、発想がワンパターンになりがちです。

それも、PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)に代表されるようなCombine(組み合わせ)の発想ばかりになってしまうことが多いです。

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出典:PPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen Official)(PPAP)ペンパイナッポーアッポーペン/PIKOTARO(ピコ太郎) – YouTube


一方、身の回りのヒット商品を分析してみると、Combine(組み合わせ)だけではなくSCAMPERの様々な分類に当てはめられる商品も多いことがわかります。

有名なもので言うと「ポストイット」がその典型例です。

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アメリカの化学メーカー3M(スリーエム)社が「よくくっつく接着剤」を開発していましたが、失敗作として「よくくっつくがすぐ剥がれる接着剤」ができてしまいました。

一見、その接着剤は役に立たないように思えましたが「Put to other uses(他の使い方をする)」に分類される発想法を用いることで、事務連絡用のメモやアイデア出し用のコミュニケーションツールとして今でも人気の「ポストイット」に生まれ変わったのです。

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そのほかの例もいくつか見てみましょう。

■消しゴム
湿ったパンで文字を消していた時代にその素材を天然ゴムにSubstitute(代える)することで消しゴムが誕生画像8



■配送ドローン
空撮で使われていたドローン技術を配送にAdapt(適応)することで配送ドローンが誕生画像11


■360°カメラ
カメラのレンズ数を1つから複数にModify(修正)することで360°カメラが誕生画像10


■スマートフォン
ガラケーの文字盤をEliminate(削除)することでスマートフォンが誕生画像11



■逆さに開く傘

傘の持ち手をReverse(逆転)することで手が濡れにくい逆さに開く傘が誕生画像9



このように、世の中でヒット商品と言われているアイデアはそのほとんどがSCAMPERのいずれかの分類に当てはめられることがわかります。

つまり、発想がCombine(組み合わせ)だけになってしまう人でも、SCAMPERを使えばワンパターンの発想から脱却し、アイデアを大量生産できるようになるのです。

言い換えれば、もしあなたがアイデア出しに自信がないとしたら、それは、アイデアを生む才能がないのではなくアイデアを生む方法を知らないだけなのです。


【2】SCAMPERを実際に使うには


初心者でもアイデアを発想しやすいように、SCAMPERをより細分化した7分類48の質問リストにまとめました。

慣れないうちはこのリストを手元に置いてアイデア出しをしてみてください。

※スプレッドシートは閲覧のみに設定してあるので、コピーして使ってください。

SCAMPERを使ったアイデア出しのステップ
1. テーマになる商品を決める
2. 7分類48の質問リストを参考にしながらアイデアを発想する
SCAMPERを使ったアイデア出しのポイント
・発想しやすい質問からはじめてOK
・アイデアが浮かばなかったらスキップしてOK
・アイデアの質にこだわり過ぎない


■グループワークでSCAMPERを使う効果

SCAMPERは、グループワークで行うことで効果をさらに高めることができます。

以下に記載するのは、ヒット商品分析ラボが企画したグループワークで「ノート」をテーマにSCAMPERでアイデア出しを行った時のものです。

アセット 121@1000x

<Substitute(代える)>

ターゲットを代えるとどうか
漫画に出てくる成金が好みそうな全ページ金箔が貼られたゴージャスなノート

ルールを代えるとどうか
方眼の代わりに三角形や六角形が描かれているノート

他の成分や材料に代えるとどうか
水をはじく紙によってできた防水性のあるノート

他のプロセスや手順に代えるとどうか
表紙が絵の描きやすい無地材になっていることで、購入後に自分の好きな表紙にできるノート

人、時間、場所、方法を代えるとどうか
10万年間ずっと残り続ける超耐久性を誇るノート

形状を代えるとどうか
楕円形のノート

色・ディテール・音・匂いを代えるとどうか
カラー折り紙のように全ページ色が違うことで「色彩を楽しむ感覚」を日常にもたらすノート
<Combine(組み合わせる)>

合体、統合、混ぜ合わせるとどうか
RFIDと組み合わせることで保管場所からすぐに発見できるノート

技術を組み合わせるとどうか
中二病でも安心!生体認証によって本人以外に開けることができないノート

一部を組み合わせるとどうか
パワーストーンをノートの一部に埋め込むことで、使うたびにスピリチュアルな効果を感じられるノート

目的を組み合わせるとどうか
全ページに手書き文字の見本が書かれていることで、ただ書くだけでなく綺麗な文字を書こうという意識もつくノート

用途を組み合わせるとどうか
ページの端に目盛りがついていて定規としても使えるノート

素材を組み合わせるとどうか
表紙がヒノキ素材で作られた森林浴効果のあるノート

サービスを組み合わせるとどうか
広告が入っている代わりに無料で使えるノート
<Adapt(適応する)>

他社のものを当てはめたり真似するとどうか
表紙がトレーティングカードになっているノート

過去のアイデアを当てはめるとどうか
巻き物型のノート

生き物の特性を当てはめるとどうか
モルフォ蝶の特性から生まれた光学繊維を用いることで、見る角度や光の強度によって色が異なって見えるノート

他業種のアイデアを当てはめるとどうか
駄菓子のように当たりがでたらもう一冊もらえるくじ付きのノート

意味が似ているもののアイデアを当てはめるとどうか
アート用のキャンバス素材でできたノート
<Modify(修正する)>

拡大、縮小するとどうか
「ミウラ折り」を応用したことで持ち運ぶときは小さく、書くときは大きく広げられるノート

強く、高く、長く、重くするとどうか
金属の板で構成されていてアートとして残すことができるノート

弱く、低く、短く、軽くするとどうか
一定の筆圧を超えると破れてしまうため強すぎる筆圧を矯正できるノート

色、形、動作、匂い、意味などを強調するとどうか
アロマセラピー効果があるノート

複製するとどうか
授業ノートを共有するWebサービス

新たな機能を追加するとどうか
紛失防止タグ付きでなくなってもGPSで場所を特定できるノート

頻度を変えるとどうか
ノートが定期的に届くサービス

音楽・音声・効果音を変えるとどうか
万年筆を書くときの音の心地よさにこだわったノート
<Put to other uses(他の使い方をする)>

他の人に使うとどうか
外国人が日本語を勉強できる縦書きノート

年齢層や性別が違う人が使うとどうか
シニア層向けに昔懐かしい書体や素材でできたノート

他の市場や業界で使うとどうか
企画マンがPCを使うよりも早くドラフトを作成できる各種フレームワークやテンプレートが印刷されたノート

立場が違う人が使うとどうか
富裕層向けに高級紙で作られたノート

目的を変えるとどうか
インテリアにもなるおしゃれなノート

一部を変えると生まれる他の用途はないか
ページの中にくり抜きがあって何かを隠しておけるノート
<Eliminate(削除する)>

不要な要素はないか
表紙も中も一切の装飾のない真っ白なノート

簡略化するとどうか
持ち運ぶ手間や買い換える手間をなくしたノート=Evernoteなどのクラウドノート

一部を削除するとどうか
角を丸くすることで角折れを起こりにくくしたノート

コンパクトにするとどうか
スマホサイズでスマホカバーに収まるノート

省略、分割するとどうか
ミシン目がたくさん入っていて自由に切り取れるノート

時間を短くするとどうか
よく使う公式や元素記号表などが裏表紙に記載してあり、教科書や参考書を調べる時間を短くできるノート

ルールを排除するとどうか
ページごとに普通のノートとは違う書き方が指示されることで脳トレやエンタメになるノート

プロセスを排除するとどうか
しおり紐がついているため前回書いていたページを探すプロセスを省けるノート
<Reverse・Rearrange(逆転・再編成)>

順番を並び替えるとどうか

表紙が中にもあることで1冊で何科目分も対応できるノート

何かを逆さにするとどうか
ページに黒い紙を用いることで、白ペンや蛍光ペンが映えるノート

一部を交換するとどうか
紙やカバーがオーダーメイドできるノート

パターンやレイアウトを並び替えるとどうか
方眼の代わりに黄金比のマス目が描かれていることで黄金比の感覚が身につくノート

原因と結果を逆さにするとどうか
消しゴムでこすることで逆に文字が書けるノート

上下逆さまにしたらどうなるか
ページ番号が逆に書かれているカウントダウンノート

裏返すとどうか
各ページが透明になっていることで、版画や窓への装飾など裏返す必要があるデザインがすぐに確認できるノート


グループワークで面白いのは、一人が生み出したアイデアをきっかけに別の人が新しいアイデアを生み出す可能性があることです。

下の図は、元々は「筋トレのためのアイデア」が「アート作品」に変わっていった例です。

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このように、連想されていくことでアイデアが磨き上げられるのもグループワークならではの醍醐味と言えます。

参加者の声として

「自分以外の人のアイデアが学びになって自分の発想する視点が広がった」
「みんなで連想しながらアイデアを作り上げるのが面白かった」
「すでに商品化されていたけどヒットレベルのアイデアを出せて自信になった」

といったものがあり、やはりグループワークが効果的であることがうかがえます。

興味のある人は、ぜひ友達や会社の人と一緒にSCAMPERを使ったグループワークを実践してみてください。

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【3】 おわりに


ほとんどの人にとって、いきなり新しいアイデアを生むことは至難の技です。まして、アイデアの大量生産となるとなおさら難しいことです。

しかし、SCAMPERを使えば、誰でも簡単にアイデアを大量生産できるようになるのです。

ぜひ、SCAMPERにチャレンジしてみてください。


ところで、実はSCAMPERの凄さはアイデアを大量生産できるだけには止まりません。

世の中ではほとんど知られていないことですが、SCAMPERはアイデアを分析するのにも非常に役立つフレームワークでもあるのです。

そしてさらに、SCAMPERで分析を行い続けると「知的生産能力が向上する」という素晴らしい効果があることもわかりました。

次回の記事では、SCAMPERを使った分析についても徹底解説していきたいと思います。

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