未発売映画劇場「百福星」

長らく続いてきた福星シリーズの第7弾にして最終作となる1996年の「運財五福星」です(例によって邦題はオレ製)

もともとはシリーズのパイオニアであるサモ・ハンも、このころにはこのシリーズから心が離れていたのか、前々作では不参加、前作で復帰したものの、今回も出番は極少であります。

そのサモ・ハンが冒頭にいきなり出てきたと思ったら、あれ、なんか様子が変だぞ。

サモ・ハンか演じているのに、この男はこれまでの役柄(キッド〔鷓鴣菜〕)ではなく、別人の警官だそうで、なんでそんなことにしたのか意味不明。肝心のキッドは入院中とかで、以後は最後まで姿を見せません(ラストで、ああなるほどそうだったのかと思わせる仕掛けらしきものはありますが)

なので五福星は数が揃わず……ではカッコつかないと思ったのか、ビンセント・ラウ〔劉徳〕が演じる少林寺僧が新たに参入し、アクション部分を担当します。なぜそこでカンフー坊さんなのかは不明。

残りのメンツ、すなわちフォン・ツイファン〔馮淬帆〕、リチャード・ン〔呉耀漢〕、エリック・ツァン〔曾志偉〕は、前回までとまるで同じ。残る「色男」も前にチャールス・チン〔秦祥林〕から交替したミウ・キウワイ〔苗僑偉〕なので新味なし。ま、そこが安心感でもあるんだが。

前作は香港ホラー映画を取り入れた筋立てだったのが、今回は「ゴッド・ギャンブラー」ばりのギャンブル映画がネタ。

ポーカー選手権で、イカサマを駆使する女賭博師にやられた賭博師の娘が復讐するのを、五福星が掩護するというストーリー。もちろん賭博師の娘相手にセクハラ三昧。

しかし、ギャンブル映画が流行ったのは、本作公開から見ても、すでにはるかな過去。なにしろ「ゴッド・ギャンブラー」は1989年の作品ですからね。とっくにブームは過ぎ去っているのに、なぜまたこんなネタを。

そして「賭神」(チョウ・ユンファ)や「賭聖」(チャウ・シンチー)といった大物が顔を出すならともかく、一同のコーチ役で参加するのは「賭覇」 

「ゴッド・ギャンブラー リターンズ」という「賭聖」の続編(ウジャウジャある)のひとつで、賭聖の姉と女賭博師が活躍する映画の主人公が「賭覇」で、ファッションなどはそっくりなのだが、演じているのは本家のアニタ・ムイやドウ・ドウ・チェンでは、もちろんない(こちらで演じたのは、ベテラン大物のチェン・ペイペイ〔鄭佩佩〕ではあるが)

肝心のギャンブルシーンも、工夫を凝らしたトリックとかではなく、ちょちょいのちょいと指を動かしただけでカードがすり替わるだけ。しかもタネ明かしはなく「イカサマでした」って、超能力かい(まぁ「賭聖」がそうだったからいいのか)

あいかわらず、にぎやかにオールスターキャストっぽく(無駄な)ゲスト出演は多いし、くだらないギャグも多いし、ドタバタするだけのシーンも多いけど、そこがそれ、福星シリーズなのだから、文句は言いっこなし。

とはいえ、前作まではけっこう壮絶なアクションが盛り込まれていたのに、今回はそれがなしなので、ちょっと損した気はする。

そのへんが香港の観客に鋭く察知されたのか、興行的には大コケ。以後誰も作ろうとしなくなったらしく、福星シリーズはこれで打ち止めとなったわけです。めでたしめでたし(違うか)

そういえば、作中で流れる陽気な主題歌、どっかで聞きなれた感じがすると思ったら、サミュエル・ホイが「Mr.Boo! ギャンブル大将」で歌っていた主題歌(鬼馬雙星)の替え歌だった。いやなぜここでこの曲なのか、ちょっと問い詰めてみたい気がするけど。ちなみに歌っていた(というよりもガナっていただけ)のはエリック・ツァン。

そんなこんなの福星シリーズを、ここんとこでダーッと見たわけなので、まあ以下のリンクで復習してみてください。得ることは何もないだろうけど(笑)

 ジャッキー・チェンと勝負する(18)「五福星」(1984)

 ジャッキー・チェンと勝負する(29)「大福星」(1985)

 ジャッキー・チェンと勝負する(35)「七福星」(1985)

 未発売映画劇場「十五福星」(「十福星」ふくむ)(1992)

 未発売映画劇場「五十福星」(1996)

ということで、福星シリーズは「劇終」

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