見出し画像

ジャッキー・チェンと勝負する・追撃戦(13)

すでにお気づきかとも思いますが、2014年5月から延々と続けているこの「ジャッキー・チェンと勝負する」、じつはとっくにジャッキーの主演映画を紹介しつくしています。

残すは昨年から今年にかけて劇場公開された新作3本のみ。この作品との勝負は、まだちょっと先にします。終わっちゃうのが惜しいからでもありますが、そもそも本欄はディアゴスティーニ社のDVDコレクションから端を発したもので、紹介するジャッキー映画もすべてDVDを購入し、鑑賞して書いているからなのです。

もうわかりますね、新作のソフトは、まだ高いんです(笑) 廉価版が出るか、ブックオフで出逢うまでちょっと待ってね。

といっても、前にも紹介したように、ジャッキー・チェンの出演映画には、じつはまだ膨大な鉱脈が眠っているのです。

そう、ジャッキーがブレイクする以前の無名時代に出演などした「アーリー・アーリー・ジャッキー・チェン」ですね。主演どころか脇役ですらなく、チョイ役やスタントマンで出ている、たくさんの映画群(こちら参照)

ここまで来たら、そんな映画でのジャッキーの姿をも、確認してみたくなるじゃないですか。

有名なのは、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」「ドラゴン怒りの鉄拳」への出演。前者では比較的顔がはっきり見えていて確認可能だし(要塞での乱闘でブルースに首を折られる)、後者はジャッキーご自慢の、庭に吹っ飛ぶスタントシーン(ブルースに褒められた) こういうのはいまさら確認でもないですが。

ただし、その膨大な「アーリー・アーリー・ジャッキー・チェン」映画の大部分は日本ではソフト未発売。まあ当時の香港映画は、大部分がそうですから仕方ない。

そんななかで、日本でもポピュラーに販売されている国内盤で見ることが出来る1作が、今回のお題である「レディ・ブレイド」です。1971年の作品で、日本では劇場未公開。2008年にDVD化されたのが初めてなのかな。

原題の「刀不留人」は「刀を留めない人」 どんな相手にも容赦なく冷酷にとどめを刺す、主人公の女剣士のことですね。英語題も同じような意味の「THE BLADE SPARES NONE」

ジャケット裏の説明などでは「ジャッキーの映画デビュー作」とか書かれていますが、そうではないです。これ以前にも子役時代から何本もの映画に出ていることは前にも書きましたね。

主演のノラ・ミャオ(苗可秀)といえば、ブルース・リーの相手役で、日本でも早くから人気があった名女優。ゴールデンハーベスト社の初期を代表するスーパースターであります。新興のゴールデンハーベスト社が1970年の設立に際して催した新人オーディションで合格して、その初主演作がこの「レディ・ブレイド」です。ブルース・リーとの競演以前で、凛々しくも美しいそのお姿だけでも一見の価値はあります。

ジャッキーとはこのあとも「レッド・ドラゴン」(1976年)「蛇鶴八拳」(1977年)「龍拳」(1978年)と3本で共演。当時まだ駆け出しの新人俳優だったジャッキーにとっては「姉のような存在」だったそうです。

ではこの「レディ・ブレイド」でのジャッキー・チェンの雄姿は?

いやいや、残念ですが、きちんと確認はできません。DVDの解説文で「草むらのシーンで絡み役の一人」だと記されているのと、ネット上にキャプチャ画像と思われるものが出回っているのを手掛かりに捜しましたが、けっきょくよくわからないんですね。

「草むらのシーン」というのは、映画の中盤、二人の剣士(ジェームズ・ティエン〔田俊〕パトリック・ツェー〔謝賢〕)が、多数の黒装束の盗賊団と戦うシーン。夜霧を利用した二人はゲリラ戦法で圧倒的な敵を次々と倒してゆくのですが、その中にどうもジャッキーがいたらしい。

だが、そもそも夜霧のシーンで暗いうえ、やられる側の盗賊団はろくに姿が見えないように撮られています。くだんのキャプチャ画像を信じるなら、二人が危うく同士討ちをしかかるカットの直後、パトリック・ツェーにまとめてやられる4人ほどの集団のいちばん左端がそうではないかと思われますが、判然としません。そのキャプチャ画像にしても不鮮明なので、ホントにこれがジャッキーかどうかも怪しいし。

まあこれがジャッキーだったとしたら、出演時間は10秒未満くらいですね。

ただこの映画、こうした少数対多数の乱闘シーンがやたらと多く、すごい数の敵がいっぺんに登場するシーンが多いので、そうした中で2度3度出てきていたのかもしれませんね。

じつはこの作品、前にご紹介したジャッキーの自伝『I AM JACKY CHAN』に収録されている、ジャッキー自身によるフィルモグラフィからは抜け落ちているので、ジャッキー自身もよく覚えていないんじゃなかろうか(IMDBやHKMDBでは出演作として記載)

ちなみにジャッキーの盟友であるサモ・ハンもこの映画に出演しています。ジャッキーよりも先に映画界に入っていたサモ師兄は、この映画では武術指導を担当していて、ちゃんとクレジットされていますが(名前は朱元龍)ジャッキーと同様にチョイ役で出ていたそうです。でもこちらも確認不能。まあ、まだそれほどデブになってなかったからですかね。

私が大いに驚いたのは、この映画に原作(原著)があって、それを書いたのがニー・クワン(倪匡)だったこと。ウェスリー(衛斯理 )シリーズの原作者である大作家であります。へえ、こんな仕事もしてたんだ。ほんとに多才多作のオッサンなんだなぁ(こちら参照

というようにいろいろ発見もありましたし、映画としてもまずまず以上に楽しめました。

この時期の香港映画はほとんど日本ではソフト化されていないと書きましたが、それでも名作を中心にボツボツ国内発売されています。そっちも見てみたいと思うのですが、これも相当な「魔窟」なんですよねえ。

【画像のリンク先はamazon.co.jp】

ジャッキー・チェンと勝負する 目次

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?