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史上最強の年間最多勝2023

10月30日に新番付が発表され、いよいよ納めの九州場所が近づいてきました。

場所の最大の焦点は、先場所優勝の大関・貴景勝の綱盗りなるかでしょうか。もちろん横綱・照ノ富士の復活なるか(そもそも出場できるのかがまだ不明)、豊昇龍霧島の両大関の巻き返しはいかに、ふたたびチャンスを迎えた大栄翔をはじめ琴ノ若若元春の関脇陣の大関盗り、一気に4人も誕生した新入幕勢の活躍……などなど見どころは豊富です。

そして、九州場所となればやはり毎年気になるのが、「年間最多勝」の行方です。

ここのところ毎年のように混戦がくりひろげられる年間最多勝争い。さあ現在はどんな情勢になっているのでしょうか? 例によって見づらい表でご覧ください。

四股名が黒字が6場所在籍、赤字は幕内優勝、シャドウは十両以下

年間最多勝争い、先頭は横綱でも大関でもなく、関脇の大栄翔。秋場所までで51勝と、1場所平均10勝のラインをただ1人クリアしています。ここまでの成績を見ると、とっくに大関に昇進していてもおかしくないですよね。

大栄翔を追うのは、2勝差の49勝を挙げている豊昇龍霧島の両大関。大関だから当然ですが、まあ2人とも今年昇進したばかりの新米大関ですから誉めてやりましょう。優勝のなかった大栄翔に対して霧島(当時は霧馬山)が春場所、豊昇龍が名古屋場所で優勝しているのだから、最多勝の資格は充分でしょう。

同じ大関で、しかも初場所と秋場所の2場所を制している貴景勝は、優勝場所以外がまったくダメで34勝と大きく遅れています。仮に九州場所で全勝しても49勝止まりだから、すでに最多勝の可能性はありません。さらにいうなら、全勝しても1場所平均10勝に届かないんですから、さてこの成績をどう見るかは綱盗りにも影響しそうですね。

年間最多勝は6場所すべてで幕内に在籍しているのが条件です。上記の表でその有資格力士を見ていくと、なんと最下位は横綱・照ノ富士です。夏場所で優勝したものの、それ以外では休場続きで、年間勝ち星は15勝だけ。出場休場にかかわらず、どうやら年間最下位は確定的。ただし、これは休場しても番付が下がらない横綱の特権ゆえ。普通の力士だったらこの成績では幕内が維持できないでしょうからね。過去にも年間成績で最下位になった横綱はけっこういます。

普通に考えると、大栄翔と両大関、トップと3勝差の関脇・若元春あたりまでが最多勝獲得圏内でしょうか。それに続く関脇・琴ノ若45勝で6勝差なのでかなり苦しいところ(琴ノ若が全勝しても大栄翔が10勝したら追いつけない) 奇しくも九州場所で東西の小結に並ぶ、40勝阿炎北勝富士は上位の面々が全員休みでもしないかぎり無理でしょうね。でも諦めすに頑張ってください。ちなみにここまで35勝以下の面々は、すでに圏外です(ここに照ノ富士や貴景勝が含まれています)

昨年、初の年間最多勝に輝いた若隆景は、残念ながら負傷による休場中で、今年は16勝止まり(それでも横綱よりも上) 九州場所は幕下まで降下してしまいました。実力者だけに負傷が癒えればすぐに復活してくるでしょうが、2回目の年間最多勝獲得は再来年以降になりますね。

表を見ていると、幕内在籍場所数が6場所に達していないのにランクを伸ばしている若手が目立ちます。在籍4場所で33勝の北青鵬、同じく31勝の金峰山、2場所で19勝の豪ノ山や17勝の湘南乃海らです。彼らが九州場所でどのくらいの上積みをしてくるかも注目ですし、来年は年間最多勝争いに食い込んでくるのも期待できそうです。

さて千秋楽に年間最多勝を獲得して、西日本新聞社の表彰を受けるのは誰なのか? 初日は11月12日(日)です。

大相撲/丸いジャングル 目次

スポーツ雑記帳 目次

【2023/11/19】 前半戦が終わりました。場所前までトップの大栄翔は前半5勝3敗でここまで56勝。大関盗りへ向かうには物足りない成績ですがトップを堅持しています。追う大関陣、豊昇龍と霧島はともに6勝を上積みして55勝と大栄翔との差を1勝に詰めてきました。続く若元春は不調で3勝しか上積みできず、6勝を挙げてきた琴ノ若と並ぶ51勝まで後退してしまいました。大栄翔と5勝差は圏外へ脱落でしょうか。どうやら年間最多勝争いは上位3力士に絞られてきたようですが、まだ互いの直接対決が残っているだけに、優勝争いともども後半戦も目が離せません。ちなみに横綱・照ノ富士は全休で今年の年間最多勝争いでは最下位が確定しました。

【2023/11/26】 九州場所は、熱海富士との競り合いを制した大関・霧島の優勝で幕を閉じました。13勝を上積みした霧島は、トータル62勝で初の年間最多勝も獲得。1場所平均10勝の60勝を上回る成績で、堂々の初制覇ですね。おめでとう。
場所前までトップで中日までリードしていた大栄翔でしたが、後半失速して9勝に終わり、トータル60勝で惜しくも2位。とはいえ、全6場所勝ち越して1場所平均でも10勝なのだから、これで大関になっていないのはやはりおかしいですよね。
一時はトップに肉薄していた豊昇龍も後半戦4勝に終わりトータル59勝で第3位。来年はもう一段階上を目指したいところ。
この3者に続いていた若元春は意外にも負け越しで6勝の上積みに終わりトータル54勝止まり。大関盗りはいったん白紙ですね。
逆に11勝を挙げた琴ノ若がトータル56勝として逆転で第4位となり、こちらは新年早々には大関盗りにチャレンジですね。
なお全6場所勝ち越したのは、大栄翔、豊昇龍、琴ノ若の3人のみ。年間通算での勝ち越しであるトータル45勝以上をクリアしたのは、上記した5人のほかには、宇良、剣翔、錦木、阿炎(以上46勝組)、翠富士、北勝富士(以上45勝組)で、計11人だけが年間勝ち越しでした。
ちなみに大関・貴景勝は、勝ち越し組に続くトータル44勝の平戸海、翔猿に続くトータル43勝で14位タイ(宝富士と同点)です。
さてさて、2024年の大相撲界はどうなるのか? ではまた来年秋場所後にお会いしましょう。

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