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未発売映画劇場「サント対絞殺魔の亡霊」

サント映画完全チェック、続けざまの第11弾。「Santo contra el espectro de el estrangulador」は1965年11月にメキシコで公開されている。前作から3カ月弱での連続公開。

タイトルからもわかるように、前作「サント対絞殺魔」の完全なる続編。いや、わざわざ続編を作るような傑作ではなかった気がするが、この公開ペースから考えると、最初から正続編みたいな構想だったのかもしれない。わからんけど。

ということで、駆けつける救急車がタイトルバック。前作のラストで墜落死した絞殺魔を収容しにきたらしい。で、その事件の新聞記事を見たマッチョな兄ちゃんが、何を思ったかいきなり死体安置所を襲撃し、死体を強奪する。どうやら絞殺魔の手下だったらしい。そして、どんな秘術を使ったか知らんが(特に描写がない)絞殺魔が復活するのだ。

前作では「オペラ座の怪人」よろしく劇場の地下に棲んでいた絞殺魔なのに、今回は最初からパイプオルガン付きの隠れ家がちゃんとあり、あまつさえマッチョ兄ちゃんという手下までいるのだから、前作と設定ちがい過ぎないか?

ちなみにこの絞殺魔、それほど絞殺に固執するわけではないので、むしろ「怪人」くらいのイメージだが、まあそんなことはどうでもいいだろう。

ということで、問答無用で復活した絞殺魔が狙うのは、恨み重なるサントへの復讐だ(ついでに劇場関係者への襲撃も忘れない)

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その結果、今作のサントは、サント映画史上、もっとも多くの回数ピンチに見舞われる。

とはいえ、とはいえこの絞殺魔、わきが甘いというか、手ぬるい。再三サントをとらえ、意識不明に追い込むのに、そのまま始末せず、プレス機で押しつぶそうとしたり、墓場に生き埋めにしようとしたり、わざわざ余計な手間をかけ過ぎるせいで、楽々とサントに逃げられてしまうのだ。

もっともサントのほうも工夫がないというか、つねに力まかせだ。拘束された枷を素手で引きちぎり、墓穴からは腕立て伏せで土を押しのけて脱出、鉄製の檻からは剛腕で鋼鉄(だと思う)の檻をネジ曲げて脱出、落とし穴も難なくよじ登る。いやそれこそが、サントの魅力なのだろうが。

前作では物語の大半が劇場で展開されるので、まだ少しは必然性のあったミュージカルシーンだが、今作ではもう劇場はあんまり関係ないのに、強引に10曲ほど組み込まれている。なかでも4曲連続で披露される歌謡ショーは、自分が何の映画を見ているのかわからなくなるほど、長い。

しかし、前作でもそうだったが、この歌謡ショーの出来栄えは非常によろしい。セットもダンスも衣裳も歌も、まずまず以上なのだ。おかげで今作でも、サントの試合はショボく見えてしかたがない。

最後は、少年歌手を誘拐した絞殺魔を追い詰め、罠にかかるも力技で脱出し、絞殺魔のアジト内で路上プロレスならぬ大乱闘。混乱のうちに火災が発生するが、火に巻かれて絶叫する絞殺魔を放置してサントは脱出。少年歌手とともにさっさと立ち去ってしまう。どうもサントさん、ヒーローというには少々非情すぎる気がしないでもないがねえ。

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意外とがんばるのが、怪人・絞殺魔の手下のマッチョ兄ちゃん。セリフはなく(口がきけない?)黙々とご主人に従うだけだが、大奮戦。格闘でメキシコのプロレス王サントを圧倒。おまけに対戦相手に変装してリングで対峙すると、なんとサントからピンフォールで1本奪うのだから、大したものだ(試合はノーコンテストらしい) 扮した俳優の名がよくわからないのが惜しい。ただ最後はあっけなくやられちゃうけど。

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さて、どういうわけか、ここらの数作はDVDソフトの入手が難しい。今作も前作に続いてソフト入手ができず、ネットにアップロードされたものを鑑賞することになった。

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アマゾンにあったことはあったこのソフト、なんと700ドル以上の値がついていた。さすがに私もそんな大金は払えませんよ(笑)

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