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11月1日〜13日の詩(Nos. 183~192)

作品No. 183(11月2日)

死の刃を前にした生き物は
世界の喪失の予感に震える
人が 故郷が 大地が 空が
霧に呑まれて消え去るように
たった一人残される

その痛みと孤独の先に

残された者が
死者の魂の残り香と
安らかな眠りを夢見るように
死者もまた
愛した世界の永遠と
生者の命燃える明日を願う
きっと


作品No. 184(11月3日)

辛かったって言ってもいいとか
笑わせんなよ
俺はあんなモノに屈しはしない
俺はあんなモノに殺されはしない
むしろ利用してやったんだ
寛大に許してやったんだ

だからそんな
痛ましいものを見るような目で
慈しむのはやめてくれ
流れ出る血に気付かせないでくれ


作品No. 185(11月5日)

甘いカフェオレ
小鳥のさえずり
抱きしめる腕
愛された子

濁った泥水
猫撫で声の呪詛
しがみ付く爪
破れたぬいぐるみ

苦いを甘いと信じていれば
干からびるまで綺麗な蜃気楼にいられたのに


作品No. 186(11月6日)「救済者への手紙


作品No. 187(11月8日)「あなたの片腕


作品No. 188(11月10日)

いつの頃からか
透明な殻を纏っていた
薄蒼い羊水で満たされた
軟らかくて頑丈な殻

時々手を伸ばして
誰かの体温に触れてみる
殻越しの温度
凍傷あるいは火傷を負う
剥けた肌

僕はまた自分を抱いて
水流に踊る砂糖の羽根を眺める
それが瘡蓋だとわかっていても
丈夫な皮膚が育つまでは


作品No. 189(11月10日)「ぐるぐる吹きこぼれ脳内


作品No. 190(11月12日)「人間になりたい


作品No. 191(11月12日)「娘じゃなくてすみません


作品No. 192(11月13日)「綺麗な言葉の裏側にあなたは気付いていないでしょう

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