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世界設定資料集 3.2 混沌


 世界は人が思うより混沌としている。人間社会のルールは所詮人間が勝手に決めたものであり、聖域の内側でのみ通用する。あるいは通用することになっている。

 人間は人間が設計したものではないため、意識の表面では人間のルールに従っていても、もっと深い身体のレベルでは従っていない。

 人間は人間のことをよく知らない。理解するには複雑過ぎるのである。曖昧さ、わからなさ、不確実さに耐えかねて、人は人を類型化し、単純化して理解する。最初から相手をありのまま理解しようとするのは大変過ぎるので、ステレオタイプは実生活上で必要とも言える。しかし類型は類型に過ぎないことも人は忘れがちである。

 実際の人間は他人の想像もつかないような思考や行動をとることがある。それは理解も共感もできない、居心地の悪いものである。同様に自分も他の誰かにとっては気持ち悪い部分を持っている。

 嫌悪感にも種類があるが、それが純粋に理解のできなさに起因するなら、適当に距離を取りつつ共存するしかない。仲良くする必要もないが迫害もするべきではない。いくらわかり合えなくとも、相手も世界の大切な一部分なのである。

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