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世界設定資料集 4.4 自分を大切にすること


 自分のしてほしいことを相手にしてあげようとか、自分を愛するように人を愛そうとか言われるが、そもそも自分のことを大切にできなければ誰かを大切にするのも難しいものである。

 ハンバーグという料理の存在を知らなければ誰かに美味しいハンバーグを作ってあげることもできないように、愛というものを知らなければ誰かを愛することもできない。ただしハンバーグを食べたことがなくともレシピがあればそれらしいものを作ることはできる。いつだって学ぶことはできるのである。

 相手の心を大切にしたい、幸せを感じてほしいと願うなら、まずは大切にされるとはどういうことか知らなければならない。自分で自分の心を尊重してやるのである。自分の想いを踏みにじってはならない。

 こうあるべきという先入観を一旦捨てて、自分の心の声に耳を澄ますこと。聞こえた声を否定せず、「そうなんだね」と受け止めること。

 その願いが奥底からのものか、それとも他の願いから来る二次的なものか見極めること。例えばむしゃくしゃしてお酒を飲みたくなった時、本当の願いはお酒を飲むことではなく、その時に感じている失望や無力感を癒やすことである。二次的な願いではなく本来の願いを満たしてやること。死にたいという感情も恐らく二次的なものである。

 自分の感情をきちんと感じ取るのは難しいことである。しかし自分に受け取られなかった感情は宙吊りにされたまま雲となり、心に雨を降らせる。

 想いを置いてけぼりにすることなく、今この瞬間にある感情を今この瞬間に充分に感じつつ生きていくのが理想である。それはきっと獣だった頃の生の状態、ただ開かれてそこにある生である。

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