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小麦畑から想う事。

かなり久々です。多分忘れられてると思いますが自分の忘備録という事で記しておきます。

カンパーニュで使わしてもらってるイマフンさんの小麦畑見学に大阪のシュクレクールさん、東京のブリコラージュブレッドさん、広島のシェジョルジュ山本さんといっしょに同行させてもらいました。

パンを作ってる人でも小麦畑を見た事がある人は少ないと思います。
国内の小麦の消費量で国産の小麦粉はわずか10数%でパン用小麦に至っては3%程。

空の青さと小麦の黄色。
まさにウクライナの国旗の色ですね。

この時期は小麦の収穫と梅雨の雨が重なりやすい時期。
小麦の水分量が一定量まで減ったら刈り取るんですが雨が降ってしまうと穂発芽してしまう恐れがあります。穂になったまま種が発芽してしまうんですね。

小麦が穂発芽してしまうと、どういう影響があるかというと、発芽した小麦は、芽が育つエネルギーを作るために、どんどん酵素を出して、デンプンやタンパク質を分解していきます。

デンプンやタンパク質は、パン作りには欠かせない要素です。
もしそれが分解されてしまったら、パン作りには向かない小麦になると一般的に言われてます。生地が繋がりにくくなっちゃうんですね。

なので天気予報を見て最適な収穫時期を決めるそうですが刈り取りも1日で終わる量ではないのでリスクが常に付き纏います。

この畑の1メートル四方の小麦を刈って粉にするとどの位の小麦粉が出来るか分かりますか?

………なんとたったのうどん1杯程だそうです。

パン作りの時の手粉を贅沢に使ってた自分をぶん殴ってやりたいです。

収穫の忙しい時に時間を使って頂いて説明してくださいました。

お昼はシュクレクールのスタッフが大阪から持って来てくれたお昼ご飯。(写真下手ですいません、美味しかったです!)
箸が無かったんですが、竹でさっと箸を作ってしまう応用力。買う事しか選択肢が無い現代人の頭をまたもやぶん殴られました。

こうして生産者さんを回って見せてもらって思うのは、僕達が使う材料も皆さんが家庭で使う材料も質の良し悪し関係無く、勝手に湧き出てる訳ではなくて、何処かで誰かが長い年月をかけて育ててくれている事。
台風が来たら一年間の収入が一発で吹き飛ぶリスクも抱えながらやらなきゃいけません。

生産者さんの苦労や背景が分かれば安易に食べ物を捨てたり無駄にする事も無くなると思うんですけどね。

僕達は分業制が行くとこまで行き着き、目の前の食材の背景を想う事が無くなりました。

野菜は虫食いも泥も付いてなく、同じ大きさの物がビニール袋に入って、魚とお肉は切り身になってパックに入った姿しか見た事が無い。

それは僕達パン屋も例外では無く、大手のチェーン店は卵の殻も割った事も無く10リットルのバケツに入った液卵で、カスタードクリームから餡子まで何でもクリームやフィリングはビニールに入った袋から絞って使い、野菜も炒めた物がパックで何種類もあります。飴色玉ねぎも炒め具合で何種類もあるんですよ。

個人店に入って卵の殻を割るのが、野菜を茹でたり刻んだりがとても新鮮だったのを覚えています。

ただ、効率を求め続けるとそうなってしまうのは仕方ないんです。
規模が大きくなれば食材の管理と処理の手間を避ける為に外注業者に頼み、セントラルキッチンでまとめて作った方が絶対に効率も食中毒のリスクも減ります。

そしていつしかその袋詰めされた光景しか知らない人は、その食材の背景を想うキッカケを知る機会が極端に少ないんです。学校でもあまり教えてもらえません。

だからこんな小さな小さなパン屋ですが、色んな方に現場を見せてもらってる以上、ピーチクパーチクと伝える義務はあると勝手に思ってます。

いつかその中で1人でも何かを考えるキッカケになれば幸いです。

一年が半分過ぎて思う目標は年内にあと1、2回は投稿頑張ります……。


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