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マンダリン航空搭乗記(台湾ぐるっと一周記②)

 どうも今回の旅の旅行記は進みが悪い。理由はおそらく夜遅くまで出歩いているせいである。カンボジアやベトナムでは夜遅くまで出歩く気にならず、19時くらいにはホテルに戻ってのんびりしていたのだが台湾では夜市があるので必然的にホテルに戻ってくるのが20時くらいになる。台湾の治安は私の体感としては日本とあまり変わらないので、日本にいるような感覚で出歩けるのは良い反面、旅行記の進捗はあまり芳しくなくなってしまうようである。治安が良いと言っても例えばスタバの店外に並べられたテーブルにMacBookを置いたまま席を離れる気にはならないし、おそらくスマホをどこかに置き忘れたら返ってくることはないのだが、街の穏やかさと綺麗さは日本のそれとほとんど変わらないような気がする。
 それはさておき、今日はマンダリン航空搭乗記を執筆することにしたい。読者の中でマンダリン航空と言われて「ああ、あの航空会社だよね!」となる人はおそらくほとんどいないと思うのだが、台湾にある小さな航空会社である。おそらく国内線しか飛ばしていないと思う。国際線の予約をしようとするとCHINA AIRLINESのホームページに飛ばされるので、多分間違いない。「多分間違いない」という言葉遣いは「主体的に学ぶよう指導する」と同じくらい矛盾している気がしなくもないが、まあいいことにしておこう。
 ちなみに保有機材はATR72-600だけで、総数は納入待ちのものを入れると10機だそうだ。CHINA AIRLINESの子会社で、かつては747も飛ばしていたようだが、国際線はCHINA AIRLINESに吸収されたらしい。国際線をCHINA AIRLINESが運航し、国内線をマンダリン航空が運航するというのがグループ内での一つの区切り方のようである。たとえて言うならJALとJ-AIRの関係のようなものだろうか。

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航空券を予約

 さて、私は今回澎湖諸島というほとんどの日本人が下関条約でしか聞いたことがないであろう離島を訪問することにした。澎湖諸島滞在記は気力が持てばそのうち執筆するので読んで欲しいのだが、今回はとりあえず移動手段の話である。今回私はスターラックスで台北(桃園)に飛び、台北に一泊して台北(松山)から澎湖諸島の馬公空港に飛ぶことにした。
 出発地と目的地を決めたのはいいものの、どこの航空会社が飛んでいるのか見当もつかないのでおなじみのSkyScannerで調べてみたらCHINA AIRLINES、エバー航空、マンダリン航空が就航しているということが分かった。どの会社でも値段はほとんど同じで、片道8000~9000円くらいだったと思う。どれを選んでもほとんど変わらないということが分かった私は、聞いたことのなかったマンダリン航空という会社に惹かれて予約することにしたのである。ちなみに澎湖諸島に行こうと思ったら桃園発の便はないので自動的に松山空港を使うことになる。3レターは松山がTSA、馬公がMZGなので参考にしてほしい。TSAと言うとスーツケースの鍵が連想されるが、おそらくというか絶対に無関係である。
 チケットを買うときに座席指定をしようとしたらできなかったので空港で指定することになったのだが、そのせいで行きの飛行機では通路側に座ることになってしまった。松山空港は市街地のど真ん中にある空港なので離着陸の際に外を眺めるのが楽しいのだが、仕方のない話である。行きには来なかったオンラインチェックインのメールが帰りの時にはなぜか来たので帰りは窓側に座ることができた。

澎湖諸島で見た夕焼け。

いざ、松山空港へ

 松山空港へのアクセスは超便利である。路線バスでも行けるし、MRTでも行ける。もちろんタクシーでも行けるし、ホテルの場所によっては歩いても行ける。桃園に歩いていくのはおそらく無理だし、タクシーで行ったらそれなりの金額がかかるのでやはり市内の空港というのは便利である。日本で言うところの福岡空港のような感じだろうか。伊丹は確かに市街地の真ん中にはあるが大阪中心部からのアクセスがイマイチであることを考えると、立地もアクセスの良さも福岡空港である。
 桃園と松山はどういう使い分けなのかというと、基本的には国際線は桃園、国内線は松山という使い分け方をされているらしい。あと、有名人が使うのは松山が比較的多いとか多くないとかいう話を聞いた。この有名人が使うというのが後で事件を引き起こすのだが、それはまた別の話である。
 この日の私はバスで空港に行くことにした。ホテルが環状線沿いにあったので、空港に行く文湖線へのアクセスが悪かったからそうしたのだが、台北のバスはなかなかハードモードである。運転手に英語が通じないとか、ドアが閉まる前に走り出すとか、停車する前にドアが開くなどというのは最早当然なのでどうでもいいのだが、とにかく発進と停車が荒かったという印象が残っている。小さい子が吹っ飛ばされるのも見たくらいなので、気を付けた方が良い。ベトナムのバスの方が遥かに穏やかな運転だった。
 空港に無事に着いて、国内線のターミナルに向かって歩いていたら大泣きしている子どもが視界に入ってきた。よく聞くと日本語で叫んでいる。ああ迷子か、と思って声をかけてみたらパパとママが有名人を探しにどこかに行っちゃった、と言うのである。放っておくわけにはいかないからインフォメーションに連れて行き、迷子だと伝えて名前やら年齢やらを聞き出していたらスタッフが「探すのを手伝ってくれないか」などと言いだした。この子は日本語しかできないので、通訳できる私がいないと困るというのである。でも私もこれからフライトだから私が「これからフライトだから残念だけどそれは無理だ」と答えたら「わかった、3分だけ待ってくれ」と言うので、カップラーメンでも出てくるのかと思っていたら日本語ができるスタッフが出てきた。かなり流暢な日本語を話す人だったのであとを託して私はチェックインに向かったのだが、海外で子どもから目を離すのはやめて欲しいものである。今回はたまたま治安のいい国で、たまたま(自称)善良な人が通りかかり、その人がたまたま日本語を話せて、たまたま子どもの扱いがうまい人だったから良かったが、何か一つでも条件が違っていたらどうなっていたかわからない。どうしても台湾にいると日本にいるような感覚になりがちだが、ここは海外だということを肝に銘じて欲しいものだ。

白菜でも見て癒されましょう。

 チェックインの手続き自体は他の航空会社と違うところはなかった。パスポートを渡してCheck in please.と言えば航空券と一緒に返却されてくる。ちなみに国内線であっても身分証を呈示する必要があって、台湾人なら台湾のIDを見せるように掲示があった。搭乗口には出発の20分前までに来るようにと言われたのでセキュリティチェックを通過し、たまたま見つけたパン屋でパンを買ってその辺のベンチで齧っていると、搭乗のアナウンスが入った。と言っても英語のアナウンスはないのでみんなが立ち上がったから何となく自分も立ち上がってゲートに行っただけである。そういえば、台湾の国内線では水を客席に持ち込むことができるようで、飲みかけの水をリュックに入れていたが何も言われなかった。
 飛行機に乗り込んでみると、それはCHINA AIRLINESの737-800だった。コードシェア便だったのかリースなのかはよくわからないが、CAもおしぼりもマンダリン航空のものだった。機材はCHINA AIRLINESのもので、安全ビデオもそうだった。フライトレーダーを見ていると、マンダリン航空のATR72で運航されている日とCHINA AIRLINESの737-800で運航されている日があったので、どちらが来るかは運次第である。それはさておき、飛行機は定刻通りに動き出して無事に松山空港を離陸した。

機内は完全にCHINA AIRLINESである。

 馬公空港までは30分ほどの空の旅である。ジェット機に乗って30分だけ飛ぶというのは変な感じがするが、なかなかレアな経験をすることができた。ベルトサインが消えるとCAが手際よくジュースとおしぼりを配って回り、配り終わった途端にごみを回収しに回ってきた。とにかく短時間勝負なので仕方ないというか、むしろこんな短距離フライトでよく飲み物を出すというサービスをしようと思ったなというのが私の感想である。
 飛行高度は16000ftくらいだったが、飛行機は水平飛行に入った直後に降下を開始し、馬公空港に着陸した。着陸直前には「Magong Airport is also used as a military base. Taking photos, videos, and any other recording is strictly prohibited by law.」という放送が入った。要するに、馬公空港は台湾空軍の馬公基地を兼ねているから離着陸時の写真撮影が禁止されているのである。松山空港も空軍基地なのだが、出発の時には何もアナウンスが入らなかった。台湾の空港は官民共用のところが多くて、松山・馬公の他にも花蓮空港もそうだった。このような空港では写真撮影に気を付けないととっても大変非常に面倒なことになるので注意が必要である。滑走路の方向にカメラを向けないのはもちろん、基地に隣接した公園での撮影にも気を遣っておいた方が良い。別に公園を見回りに来るということはないのだが、過去には花蓮空港で飛行機を撮影していた日本人が一時的に拘束されたこともあったようなので気を遣っておくに越したことはない。
 馬公空港はほとんど海上にあるような空港なので着陸前にはずいぶん大きく揺れた。ただ、接地寸前にはピタリと安定した姿勢に戻り、軽い衝撃と共に着陸した。着陸したときに確かにアラートハンガーが見えたのだが、中には何も止まっていなかった。台湾空軍はF-16を飛ばしているのでおそらくF-16用のアラートハンガーである。実際、翌朝には轟音を立てて次から次へと戦闘機が離着陸しているのを見たので、やはり隣にある某赤い国との間で小競り合いがあるのかもしれない。馬公空港は台湾防衛の最前線ともいえる場所にあるだけに、日ごろの訓練にも力が入っていることが見て取れた。
 小さな空港なので預け入れ荷物もすぐに出てきて、タクシーでホテルに向かうことができた。普段ならバスで行くところだが、送迎付きのホテルを予約しておいたおかげでタクシー代をホテル代から引いてくれるというのでタクシーに乗ったわけである。シンガポールでもそうだったが、人の金で乗るタクシーほど乗り心地の良い車もなかなかあるものではない。タクシーに揺られること約20分、私は無事にホテルに到着し、チェックインすることができた。

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台湾本島へ帰る

 さて、今度は帰りの便である。先述の通り往路では座席指定がうまくできなくて通路側に座ることになってしまったが、復路はオンラインチェックインができたので窓側に座ることができた。座席は7列目を指定しておいた。もう少し前でも良かったかもしれない。カンボジア・アンコール航空の同型機に乗った時には座席が前過ぎたので少し後ろ目にしてみたのだが今度は後ろ過ぎてしまった。なかなか難しいものである。
 機材はATR72-600というプロペラ機である。日本でも天草エアラインズなどの離島メインの航空会社が運航している機材だ。日本だとDHC8-Q400を使っている会社が多いが、最近じわじわと増えてきているような気がする。ボンバルディアよりも機内が広い(ような気がする)ので好きな機材なのだが、ボンバルディアと違ってメインギアが胴体下部に付いているせいでギアの挙動を見られないのが玉に瑕である。
 帰りの便は沖止めになっていた。というかATR72の時点で沖止めは確定である。この機材はコクピットの後ろが貨物室で、その後ろに客席があり、乗降用のドアが機体最後部に付いているという構造上、前からではなく後ろから乗り降りすることになるので、ボーディングブリッジは使えないのだ。カンボジア航空に乗った時には機体に付いている階段を使って搭乗したが、今回はスロープが接続されていた。車いすの乗客がいたのでその人がそのまま乗れるようにという配慮らしい。台湾はこのあたりが非常に進んでいて、台鉄でもMRTでもバスでも、バリアフリーが進んでいるというのが印象に残っている。日本よりもバリアフリーが進んでいる国というのも珍しいかもしれない。私が渡航している国が発展途上国ばかりだからかもしれないが、日本と同レベルかそれ以上にバリアフリー化されている国というとシンガポールと台湾くらいしか思いつかない。

上昇が遅いので景色を楽しめる時間が長いのはプロペラ機ならではだ。

 帰りのフライトは機材も乗務員もおしぼりもマンダリン航空だった。結果的に、往復で違う機材に乗ることができたので私としては何の問題もない。今回の旅行ではスターラックスのA350-900・A330-900neo、CHINA AIRLINESの737-800、マンダリン航空のATR72-600に乗ることになった(A330-900neoは予定)のだが、4区間で4機種に乗れるというのは航空機オタクとしては慶賀の至りであって、クリスマスと大晦日とお正月と誕生日が同時に来たくらいおめでたいことである。ちなみに年始から振り返ってみると777-300ER×1、737-800×2、737MAX8×1、A350-900×1、A330-900neo×1、A380-800×1、ATR72-600×2と、予想外に多くの機種に乗ることができている。そもそも年始から3か月で8回もフライトしているとは我ながら驚きである。その辺のサラリーマンよりはるかに多い回数、飛行機に乗っている気がする。
 馬公空港を離陸する前にはまた例の如く撮影禁止のアナウンスが入り、ビデオではない安全のための案デモンストレーションを見てから飛行機はプロペラ音を轟かせて離陸した。やはりと言うべきか何というべきか、プロペラ機はうるさいものである。まあ、プロペラ機を静かにさせるのはライオンに草を食べさせるくらいには難しいことなので今更どうということもない。飛行時間も40分程度だったので、外の景色を眺めていたら松山空港に到着した。ちなみに例によってジュースとおしぼりが配られる以外の機内サービスはない。

機上から台北市内を望む。

 松山空港に着陸するときは外を眺めているのがオススメである。前述の通り市街地の空港だし、向きによっては台北101を見ることもできる。撮影禁止とアナウンスが入っていたので着陸する瞬間の動画を撮るのは諦めたが、空港が見えるようになるまでの間には何枚か写真を撮影することにした。ルールの趣旨は軍用機や軍事施設を撮るなということだろうし、「着陸時」という言葉をどう解釈するかという程度の問題である。周りの乗客も普通に写真を撮っていたので上空でとっている分には問題ないのだろう。着陸する間際にはF-16も見えたが、要するにそれを撮らなければまあOK、という運用らしい。
 スポットに着いた後は例によってバスでターミナルまで送り届けられた。いつも私は他の乗客が降りるのを待ってから降機するのだが、このバス送迎があるとあまりのんびりもしていられないので正直なところこの方式はあまり好きではない。エミレーツのA380に乗った時にはA380に乗れた感傷に浸っていたらCA(カルシウム)が忙しく後片付けを始めていたということもあったし、JALに乗った時にはのんびりしていたらCAが人を殺すようなホスピタリティ溢れる笑顔で近寄ってきて「お疲れ様でございましたァ⤴」と声をかけてきたこともあったし、また別のタイミングでJALに乗った時には小さい子が「あのお兄さん、席でボーっとして何やってるのかなあ」と言っているのが聞こえてきたこともあったのだが、飛行機が目的地について「よーし、これから観光だ」「やっと日本に着いたぞ」「あぁ、また仕事だ」というようないろいろな思いが交錯しているあの時間が好きなのである。ちなみに最後のケースではお母さんが「あの人はね、今余韻に浸ってるのよ」と言っていたので心の中で喝采を送っておいた。

どさくさ紛れに搭乗機を撮影。

 小さい子と言えば、ミスドでドーナツを選んでいたら前にいた男の子(推定5歳)に実況中継されたこともある。「ママ、後ろのお兄ちゃんはまだ1個しか取ってないよ。おなか減ってないのかな」「あ、2個目を取った。やっぱりおなか減ってたんだね」「ママ、3個目も取ってるよ。たくさん食べるんだね」と一生懸命おしゃべりしていたのでこちらも笑うしかないのである。別にその子に悪気があるわけでもないし、誰も困らないのでニコニコしながらこちらを見ている子に「じゃあ3個にしておこうかな」などと言っていたらお母さんが恐縮していた。
 そんなどうでもいいことまで思い出したところで、文字数が6000字を超えていることに気づいてしまった。ちょうど飛行機が松山空港に到着したところでもあるし、今日の記事はこれくらいで終わりにしておこう。次の記事が澎湖諸島滞在記なのか、太魯閣渓谷訪問記なのか、A330-900neo搭乗記なのか、それとも力尽きて何もアップロードされないのか定かではないが、ひとまず今日の記事はこれで終わりということにしておく。

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