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『ビジネスで使ってみたい英語!:Cancel culture(キャンセル・カルチャー)』

Cancel cultureをあえて日本語にすると「消去の文化」や「抹殺文化」あたりでしょうか。

Cancel culture: the popular practice of withdrawing support for (canceling) public figures and companies after they have done or said something considered objectionable or offensive.

芸能人が失言をしたり失態をしでかしたりすると、その後芸能界から干されてしまうということがありますね。結果、その人を「キャンセル」してしまう、無かったものとする、ということです。

いくつも例を思いちゃいますねぇ。昨今はインターネットに過去の発言が残っていて、何かの拍子に浮上してくることもあります。失言が拡散され、炎上し・・・で、負のスパイラルに一気に突入!スポンサー企業からは「こんな人を使っていると企業イメージが悪くなる」というわけで出演キャンセルされちゃうわけですね。

確かに犯罪行為や、激しい差別発言など、許しがたい行為・発言がある一方、口が滑った・魔が差した・若気の至りでアホなことをやってしまったということもあります。どういう状況下でその発言をしたかを考慮せずに、一部分だけ切り取って問題視することがアンフェアな場合もあります。


さて、今年の7月にハリー・ポッターシリーズの著者であるJ.K.ローリングが150名ほどの作家や学者の著名入りで、cancel cultureを批判する記事を雑誌Harper's Magazineに寄稿しました。社会にはある程度の寛容さがないと自由な議論ができなくなりますよ、という主張ですね。

その1か月ほど前に、彼女自身はトランスジェンダーを揶揄する発言をしたとしてバッシングを受け、ハリポタ役を演じたダニエル・ラドクリフやハーマイオニー役を演じたエマ・ワトソンからもその発言を批判する声明が出されています。

どこまでを許し、どこから先は許さないのか。

ものごとの大半はケースバイケースです。単純に白か黒かじゃないんですよね。生まれてこの方清廉潔白、天使のような発言しかしてこない人はいないと思うし、いたらいたで「人間らしさがない」「表面的」とこれまた批判されそうです。

J.K.ローリングの発言を許す・許さないに絶対的な社会的基準は(少なくとも今のところは)なく、個々人の判断があるのみです。

彼女のTwitterの短い文章は差別的発言に聞こえるので、私には不快なのですが、その後の説明を読むと単純に白黒がつく内容でもない・・・割に複雑な議論です。

だからこうやっていろんな人が意見をだし、侃侃諤諤やること自体に価値があるんじゃないかな。というか、炎上する場合って実は発言内容をしっかり読まずリツイートする人がすごく多いらしいです。

仕事柄、人って自分の聞きたいことしか聞いてないんだなとつくづく思うことも多いですし。一語一句聞いてるんじゃなくて全体の印象で聞いていたり、自分が信じがたいことは耳に入ってこなかったり、なんですよね。

まあ、過去の自分を思えば失言ばかりで穴があったら入りたいともだえることの多いワタクシは、周囲のみなさまの忘却という能力に頼って生きるのみですが!

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