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週刊少年サンデー連載の『龍と苺』。
このマンガが、スゴい…!!

本記事は、この作品の紹介を。

「将棋漫画」と言えば読者の皆様は
どんな作品を思い浮かべるでしょう?

「…やはり『月下の棋士』でしょ! 端歩!」
「いやいや『ハチワンダイバー』では?」
『3月のライオン』も、いい味出してます」
『将棋めし』のご飯、めっちゃ美味しそう」
「奨励会を辞めさせられた『リボーンの棋士』
『ふたりっこ』しかないっしょ」

…最後の『ふたりっこ』は漫画ではなく、
双子のマナカナさんが出てきた
朝ドラ
なんですが(ネタが古くてすみません)

これ以外にも、将棋を題材にした
漫画や作品は多くある。それぞれに面白い。
しかし『龍と苺』には、これらの作品とは
また違う面白さが、あるんです。

やはり週刊連載、というのが大きい。
爽快なほどサクサク進むんですよ。
次回への「引き」も、強い。

…将棋漫画はどうしても
盤面でじっくり勝負という場面が多いので
展開が「じっくり」になりやすいんです。
しかも、室内で対面で対局していく。
絵面が似たようなものになる。
「動き」がつけづらい、という難点があります。
漫画の題材としては難しい部類だと思います。

それを「バトルマンガ」風にしたのが
『ハチワンダイバー』。しかし、
ビジュアル面ではダイナミックになる反面、
いささか『ドラゴンボール』路線に
進んでしまった面もある。
(「かめはめ波」的な、わかりやすいバトル)

かと言って、奨励会を辞めたところから始まる
『リボーンの棋士』になりますと、
「コンビニでバイトしながら将棋をする」など
凄まじいリアリティが出てくる反面で、
ちょっと生活感があり過ぎ。
心理描写に偏り、内面に入り込む傾向がある。
(それはそれでとても面白いのですが)

「肉弾戦」と「心理戦」との兼ね合い!

このバランスが、爽快なテンポと合わさって
絶妙なストーリーとなっているのが
『龍と苺』という漫画、です。

「龍」という漢字がタイトルに
含まれていることから分かるように、
「竜王戦」「飛車から龍に成る」
そのあたりのイメージが想起されますね。

主人公は女子中学生です。その名も「苺」!
十代前半の彼女は、将棋の天才。
性別も年齢も肩書も全く何も関係なく、
ただ実力だけで、盤面でバトルする漫画!

1巻のストーリーの紹介文を引用します。

(ここから引用)

『『響 ~小説家になる方法~』
柳本光晴最新作

命懸けで闘うものが見つからず
退屈した日々を送る、藍田苺、14歳。

将棋好きの元校長に、
才能を見いだされた苺は初心者のまま、
将棋の市大会に参加することに!!!
そこは女だから、子供だから、
と言われるような
「見えない壁」がある場所だったが…

そんなことは関係ない。

苺は真っすぐ、
自由に、猛烈に、暴れまわる!!!
連載開始直後から、大大反響!
一手一手、強くなる。
“闘う”将棋マンガ、開幕!!

【編集担当からのおすすめ情報】

「盤上では、年齢も、性別も、
棋歴だって関係ない。」

芯強く、まっすぐ生きる14歳女子が
理屈をこねる”大人”を
ばったばったとなぎ倒し、
猛者ひしめく将棋界を駆け上がります。

将棋ファンはもちろん、
バトルやアクション好きの方、
昨今の将棋ブームで
将棋に興味を持ち始めた
ライトな将棋好きも楽しめる、
王道少年マンガです!

『響 ~小説家になる方法~』で
天才を描ききりマンガ大賞2017大賞受賞、
実写映画化など大旋風を巻き起こした
柳本光晴、満を持しての最新作!』

(引用終わり)

…どうでしょう。
そろそろ、読みたくなってきましたか?

なお、私は中年世代ですので、
『理屈をこねる”大人”』のほうですね。
バッタバッタとなぎ倒されるほう(笑)。
主人公の苺は、そういう分別臭い大人を、
盤面で容赦なく叩き潰していきます。

はっきり言って最初のあたりの主人公は
めちゃめちゃ尖っているんですよ。
礼儀も、何もない。
「ジャックナイフ」レベルです。
いきなり、同級生を椅子で殴りつける。
負けたら命を絶つ覚悟。喧嘩上等。
中二病、と言われても、おかしくはない。
(実際に「中二」という設定なのは
そのあたりも計算してあると思います)

その猛獣のような主人公に、おじいさんの
元校長先生(スクールカウンセラー)が
「将棋」を与えます。

恐ろしいほどの才能と闘争心を持つ苺を
ルールのある戦いへといざなっていく!

このおじいさんが、またいいんだ。
例えて言えば、名作ボクシング漫画
『はじめの一歩』の「鴨川会長」を
マイルドにした感じ。

(この例えだと、苺は「一歩」ではなくて
ワイルドな「鷹村」になりますが…)

ストーリー展開も、名作野球漫画
『ドカベン』を彷彿とさせる感じです。
常勝チームの明訓高校が快進撃!
山田太郎、ホームラン打ち過ぎ!
どこで負けるのか、と思わせる、あれです。

『はじめの一歩』『ドカベン』など
王道のストーリー漫画を彷彿とさせつつも、
しっかりと読者の意表を突くまさかの展開。
ファンタジーとリアルの、絶妙な綱渡り!

おっと、すみませんでした。
あまりに先走って書き過ぎると
ネタバレになってしまいそうなので、
このあたりで留めておきます。

…一応、フォローもしておきますね。
凶暴な主人公、苺も、いつまでも
ジャックナイフではない。
少年誌っぽい「成長物語」でもあります。

特に、2023年5月31日発売のサンデー連載版。
最後のコマに、私はぐっと来てしまいました。
あの傍若無人の苺が、まさか、あんな行動を…!
読者のほうがなんだか「保護者目線」に
なってしまいがちな漫画
でもあるのです。
(私が中年世代だからかもしれませんが)

最後に、まとめます。

本記事では『龍と苺』という
とても面白い(と私が思っている)
将棋漫画を紹介しました。

もしかしたら「いや、これ、無理…」と
賛否両論のある漫画かもしれません。
「読者を選ぶ作品」かも。
(無理でしたら、すみません)

でもだからこそ惹きつけるものが、ある。
少なくとも、私は面白く読んでいます。
物語は、キャラとストーリーに尽きる。

作者の柳本光晴さんは
青年誌で「小説」を題材にして
前作を描かれていましたが、

今回は少年誌で、勝ち負けのはっきりする
「将棋」を題材にすることで、前作とは違った
魅力を発揮しているように感じます。

現実の将棋の世界においても、
「若き天才」がバッタバッタと
先輩棋士たちをなぎ倒している、昨今。

ぜひ、興味が出ましたらご一読を!

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