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何十年もコンビニ業界のトップリーダーとして
走り続けてきた「セブンイレブン」

ローソン、ファミマ、ミニストップなど
ライバル店は多々ありますが、
その全国ネットワークと商品力は圧倒的!
まさに「王者の風格」さえありますよね。

しかしその成長の裏では、
本部とフランチャイズ店との、言わば
『鉄の掟』があったのです。

◆他のコンビニに比べて高いロイヤリティー
◆値引きなどの柔軟度が低い契約
◆「二十四時間営業」という厳然としたルール

これを全国津々浦々の店に守らせてきたからこそ、
セブンイレブンは、業界の頂点を極めてきた、
とも言えます。

…しかし、ですね。

最近、その「鉄の掟」が緩んでいる、
とは思いませんか?


具体的には、二十四時間営業をやめたお店、
値引き商品を置いているお店、
独自の取り組みをしているお店、
そういうセブンが増えてきている…?!
とは、皆様は感じないでしょうか。

その裏には、ある「時代の変わり目」となる
事件があったそうなのです。

本記事は、セブンの変化について書きます。
(参考記事はこちら↓)。

2019年末のことです。
大阪府東大阪市にあるセブンイレブン店と
本部との間で、トラブルが起きました。

店長は、二十四時間営業をやめて
(本部の許しを得ずに)時短営業を始めます。
本部はこれに怒り、フランチャイズ契約を解除!
店長は駐車場にプレハブを建てて営業して抵抗…。
双方が提訴し合い、泥沼の戦いになったのです。

判決では、本部の主張が認められます。

しかし、この「本部対お店」の法廷闘争は、
それぞれの思惑や、本部側に有利な契約などを
社会に改めて広く知らしめることになりました。

「…そもそも二十四時間営業、必要なのか?」
「…お店側を、無理に働かせているのでは?」

折りしもコロナ禍となり、経済への影響が
如実にあらわれてきた時期です。
コンビニ店のかなり辛い労働環境も、
だんだんと知られてきました。

お店は、実際にお客に「密に」「接する」役目。
いわば「接客最前線」の現場。
それを、本部が縛りに縛るのはいかがなものか…?

またセブンの本部側、本社でも、
セブンイレブンの育ての親、鈴木敏文さんが
2016年に退任していた。
これもまた、変化へと拍車をかけています。

「もし鈴木さんがいたのなら、
そもそもこの事件は日の目を見なかっただろう」


鈴木さんは「全国津々浦々、どこでも
同じような商品が買えてサービスが受けられる」
その原則を、とても重視していました。

ゆえに、加盟店への締め付けが、とても厳しかった。
上意下達、ピラミッド型、本部は上・お店は下!
そのような組織に慣れている警察や自衛隊のOBを
積極的に登用していたことでも知られています。

その締め付けが、緩くなりました。

判決に対する社会の目、批判、昨今のコロナ禍…。
そう、最近のセブンイレブンは、お店に対して
各店での柔軟な対応を認めるようになった
のです。

ただしまだ、ロイヤリティー問題は残っています。
これを引き下げるかどうか?

セブンイレブンは、
これからのコンビニ業界の行き先をにらみながら、
難しい判断を迫られることになりそうです。

以上を踏まえて、私の考えを書いてみます。

コンビニは、平成時代を象徴するビジネスです。
コンビニが普及していった時代、
=平成時代、と言っても過言ではない↓

もちろんコンビニビジネス自体の萌芽は
昭和時代にはすでに生まれていましたが、
まだその頃は「パパママショップ」
各地にたくさんありました。

それが徐々に消失していき、
代わりにコンビニが進出していく…。
それが、平成経済の一断面だったのです。

バブル経済崩壊後の日本。
その地殻変動をとらえて
大きく成長したのが「IT」と「コンビニ」。

ITは、どんな企業でも使える
とても「便利」な技術。
コンビニは、どんな場所でも買える
とても「便利」な商売。

そう、この二つは、似ている。
コンビニエンス、便利、なのです。

『頑張ったら必ず報われる』経済が終わった…。
何をしていいかわからない…。
そんな「一億総迷走時代」にあって、
これをすれば大丈夫だよ、と闇に光を掲げたもの。
揺るがぬ新時代の光!
それが、ITとコンビニ、だったように思います
(事実、どちらも『夜』に発展しましたので…)↓

ただし、この二つは、
決定的に違うところがあります。

それは、ITが「共通のベースの上での個性」を
許容する傾向があったのに対し、
コンビニは「共通のベースの上での没個性」を
強制する傾向があった
のです。

IT、情報化の波は、ほぼすべての企業を覆いました。
メールやホームページ、みんなが使い出した。

しかし、その「中の人」の精神性は、
各企業によって千差万別で、
いまだに「DX」だ「デジタル庁」だと
騒がれているような状態です。
つまり皮相上滑りの技術、いいとこどりだけ進んで、
精神性は全く変わっていない企業も、まだ多い。
「各個人間の差」も、とても大きい。

一方、コンビニの波も、ほぼすべての土地を覆った。
今ではコンビニの無い市町村を
探すほうが難しいでしょう。

しかしこちらは「各地の没個性」を促しました。
どこのセブンでも、同じおにぎりが買える…。
肉まんやおでんも、置いてある…。
「セブンプレミアム」という統一ブランド…。
二十四時間営業、同じ価格・商品・サービスという
『鉄の掟』の下、かつてのパパママ商店が持っていた
「小売業の多様性」は失われていったのです。

…その状況が、ついに、変わろうとしています。

鈴木敏文さんという巨星が去った後のセブン。
規制緩和、個性伸長、千差万別。
ピラミッド型から、
各店が凸凹の特色を持つジグソー型へ!

しかし、何でもかんでも自由にさせては、
「セブンイレブン」ブランドの
失墜につながりかねませんよね。
その手綱をどう緩めて、どう絞ってくのか?

さあ、読者の皆様の近くの
セブンイレブンは、どうでしょう?

夜の闇に、こうこうと輝くコンビニ…。
その光をあえて消すのか、
それとも灯し続けるのか?
令和のセブンの、明日はどっちだ?
また、他のコンビニたちの戦略やいかに?

そんなことを考えながら私は、

セブンで買った
「パリっとしたおにぎり」を食べているのです。

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