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我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか

ポール・ゴーギャンの絵のタイトル。
「D'où Venons Nous Que Sommes
Nous Où Allons Nous」
の仏語が原題。
さすがは希代のアーティスト!
こんなタイトルを絵につけるとは…。

来し方と正体と行く末。
過去と現在と未来…!
これは尽きることのない難問、
永遠の問いかけ、なのかもしれません。

決まった答えなどない。

ただ、結論が出ないからと言って
問うことを止めるのは
人間であることをやめるのと同じ。
問いかけ、考えて、
現時点での暫定的な答え、仮説を
「自分なりに」持っておく
のが
大事なのではないでしょうか?

さて、このような問いの一つとして、
「日本語はどうやって生まれたのか?」
という論題があります。
これはひいては、日本人の
「ルーツ」を探る問題にもつながる。

日本語は私も日常的に使っていますが
これほど奥深く、
難解な側面のある言語もなかなかない。

表記は、ひらがな、カタカナ、漢字。
あとアルファベットなどの外来字でも
表記することができます。
主語、目的語、述語、が基本の語順。
SVOの英語とは、語順が違う。
文末で結論を言う言語。

◇「私はカレーが好きだ」
◆「私はカレーが好きではない」

最後までよく聞かないと、
結論がわからない言葉
ですよね。
(もちろん倒置法だと違いますが)

あと、英語のように
単語と単語を空白で空けるのではなく、
助詞がくっついて(膠着語と言います)
意味をそれぞれに付与していく…。

「私 本」だけだと、意味が分かりにくい。
「私の本」のように、「の」などの
助詞をくっつけて、文をつなげていく。

この日本語はどこからやってきて、
どのように生まれ、今後どうなるのか?
本記事では、日本語のルーツに関する
色々な仮説
などを紹介していきます。

日本語の起源でよく言われるのが
「アルタイ諸語」の一つではないか?
という仮説です。

アルタイ諸語。

アルタイ、とは西シベリア、
モンゴル、カザフスタン、そのあたりに
またがる山脈の名前から由来している
言語学上のグループのこと。
モンゴル語で「金の山」の意味です。
アルタイ諸語には、以下の
三つの語族が属している、と言われます。

◆テュルク語族
◆モンゴル語族
◆ツングース語族

テュルク語族はトルコ語やウイグル語など。
モンゴル語族はモンゴル語など。
ツングース語族は満州語など。

アルタイ諸語には特徴があり、
先述した「膠着語」であること、
主語・目的語・述語のSOV型であること、
その他に「母音調和」という癖があること、
語頭に「R」の音がつくことを嫌うこと、
などが挙げられます。

…うーん、確かに「らりるれろ」が
最初につく言葉は
固有の日本語には少なめ
ですね。
「理科」「リレー」「レレレのおじさん」
など、いずれも外来語由来か創作語。

朝鮮語にもこのような特徴があるそうです。
ゆえに、日琉語族(日本語・琉球語)は
朝鮮語族(朝鮮語・済州語)とともに
アルタイ語に属していたのではないか…?
そんな仮説が、アルタイ諸語起源仮説。

…ただし、文法や音韻は似ていますが、
「語彙」となると、類似性が少ない。
ゆえに、絶対アルタイ起源!だ
とも断言はしにくい。

他の仮説も、たくさんあります。

◆「オーストロネシア語族」との関係
◆「ドラヴィダ語族」との関係
◆「アイヌ語」との関係
◆「中国語(古典中国語)」との関係

台湾や東南アジア由来では?
いや、インドのほうからの言葉では?
北海道のアイヌの言葉の影響は?
中国語からの影響も強いのでは…?

言われてみれば、どれも一理ありそう。
しかしどれか一つ「だけ」
とも言い切れない…。

そもそも日本列島はユーラシア大陸の
東の海に浮かぶ列島です。
朝鮮半島からも、南北の島々からも、
インド・東南アジア方面、
中国大陸からも、海を渡れさえすれば
来ることができる場所
にあります。

色んな場所から色んな人がやって来て、
何世代もわたって列島で生活する中で
「共通の言葉」が形成されてきた。
異なる場所の人の言葉も取り込んで
かき混ぜられ、発酵し、日本語として
醸成されていったのではないか…

素人の私などは思うのです。

ただ、それにしても
「言葉が生まれていくきっかけ」という
歴史的な出来事はあるのではないか?
『遣隋使』『勘合貿易』『文明開化』など
象徴的な出来事に留まらずに。
たとえ、間接的なものでも。

例えば「稲作の伝来」
例えば「朝鮮半島の百済の滅亡」
例えば「スペイン・ポルトガルとの貿易」
例えば「戦後のGHQの占領」。などなど。

イネは温帯・熱帯的な植物です。
田で栽培するには「協力」が大事。
それを栽培する中では、様々な
共通の言葉が必要になったことでしょう。
「田」が名字に多いのも、影響の一つ。
(名前や地名は、言語の象徴です)

百済の滅亡後、日本(倭国)は
百済復興運動に力を貸すため
朝鮮半島に出兵をしましたが、
「白村江の戦い」(663年)で惨敗…。
国家体制を整備していきます。
「日本」という国号を定めて、
701年には大宝律令を制定。

…その整備には、百済から脱出してきた
王族や知識人たちの助力もあったはず。
持統天皇は、百済の王族たちに
「百済王(くだらのこにきし)」という
姓を与えて、官職につけています。
飛鳥~奈良時代は国際的な時代だった。

戦国時代の貿易の際には
キリスト教などの伝来とともに、
その考え方、言葉なども同時に伝来。
これは大きな影響を与えていったはずです。
コンペイトウ、カステラ、ばかりではなく。

戦後のGHQ占領時の影響は言うまでもない。
アメリカ流の「カタカナ英語」が
現代日本語には溢れかえっています
よね。
(戦中には「敵性語」として英語が
禁止され、野球の「ストライク」も
「良し!」と宣告されたのですが…)

終わりの見えない論題ですが、
最後に無理やりまとめます。

本記事では、日本語の起源についての
あれこれを書いてみました。

日々何気なく使っている「日本語」は、
中国由来の漢字や漢語、
欧米由来の英語なども取り混ぜつつも、
アルタイ山脈、朝鮮半島、南北の島々、
東南アジアやインド、色んな場所の
色んな文化を踏まえてできている
可能性がある。

ましてや各地の方言まで考えれば、
それこそ多種多彩で複雑な
言語だと言えるでしょう。

…我々はどこから来て、
何者で、どこへ行くのか?

そんな来し方行く末を考える時、
何気なくいま
自分が使っている「言葉」や
「歴史・地理」から紐解いていく
のも
一つの方策ではないでしょうか?

「国」レベルだけの話ではない。
自分個人、家族、地域、組織など、
少し狭い範囲においても…。
(「社内語」もありますもんね)

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